タコベラ

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標準和名:タコベラ
学名:Oxycheilinus bimaculatus (Valenciennes,1840 )
属:スズキ目ベラ科ホホスジモチノウオ属
宮崎地方名:?

撮影者:あらら※釣り人マリトコ氏
撮影場所:日南市大島
撮影日:2009年6月
写真の魚のサイズ:11Cm

釣れた時、不思議な魚だと釣人と会話した。模様で言えばブダイようで、尾鰭が変わっている。お互いにモチノウオという名が浮かんだようだが見たことはない。ブダイの幼魚も見た事はあるがたぶん違う。写真持ち帰りとなり調べた結果タコベラに落ち着いた。

決め手は尾鰭の後縁の形状で、中央部の軟条が伸びて三つ又になっていること。地域的な色彩変異が多いようで、「日本の海水魚」で見ると色んな色彩があるのが判るのだが、その多くに、中心に小さい黒斑がある。しかし写真の魚では見えないというか目立たない。
逆に背鰭最前部に青と赤の模様がある。これまた不思議な模様だ。

モチノウオ科の代表としてはナポレオンフィッシュと言われる「メガネモチノウオ」が有名で、体長2mにもなるのだが、この魚の場合は約12Cmで成魚のようだ。
ただ、なんとなくベラ科なんだけど品格を感じてしまう。

最初に見た事がないと記載したが、仲間としては石垣島の釣行の際に「ヤシャベラ」は見た。これも同じグループのよう。

ホンソメワケベラ

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標準和名:ホンソメワケベラ
学名:Labroides dimidiatus (Valenciennes,1839 )
属:スズキ目ベラ科ソメワケベラ属
宮崎地方名:?

撮影者:H.Tanaka
撮影場所:宮崎市・宮崎サン・マリーナ
撮影日:2006年7月
写真の魚のサイズ:7Cm

特徴など:
12cmになります。海のお掃除屋さんとして有名で、他の魚の表面についた寄生虫などを好んで食べてくれる有難い魚です。
サン・マリーナでは一度しか見ていませんが、大きめのチョウチョウウオのからだをクリーニングしている様子が観察されました。
他の魚にとってこの白地に口から伸びる黒い帯はある種のシグナルに見えるようで、掃除して欲しい時はこのベラのそばに寄っていきます。
ハタやウツボといった大きく貪欲な魚でさえ、このベラが近づくと身動きせずに掃除してもらい、決してこのベラを襲ったりしません。時には相手の口やエラの中にまで入ってクリーニングします。水族館や水槽でも人気の魚ですが人工餌を拒否する事が多くて長生きせず、また自然環境保護の観点からこの仲間の採集を禁止しようとする動きも活発です。
南日本から太平洋・インド洋にかけて広く分布します。この魚がいない海には別にクリーニングする種類がそれぞれ棲んでいます。(H.Tanaka)

カミナリベラ

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標準和名:カミナリベラ
学名:Stethojulis interrupta terina Jordan and Snyder,1902
属:スズキ目ベラ科カミナリベラ属
宮崎地方名:?

撮影者:H.Tanaka
撮影場所:宮崎市・宮崎サン・マリーナ
撮影日:2006年7月
写真の魚のサイズ:7Cm

特徴など:
14cmになります。雄は全体に緑色で青いスジが目立ちます。雄、雌ともに胸鰭の近くにある赤い斑点が目印になっています。

雄を見た事はありませんし、雌もそう多くは見られません。泳ぎは速く活発で岩場から離れて行動する事もあります。この属では唯一温帯に適した種で本州でもごく普通に見られます。南日本から西部太平洋にかけて分布します。(H.Tanaka)

ホシササノハベラ

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標準和名:ホシササノハベラ
学名:Pseudolabrus sieboldi Mabuchi and Nakabo,1997
属:スズキ目ベラ科ササノハベラ属
宮崎地方名:?

特徴など:
この魚が話題になるのは、もともと、アカササノハベラと混同されていて、学名の後ろに表記してあるが京都大学の中坊博士らが1997年にきちんと分離されて学名を登録されるまでは一緒の魚として扱われていたのだ。今(2008年)からわずか10年ちょっと前の話。

この魚は宮崎では少ないと思っていた。
主に釣れるのはアカササノハベラで、これは西日本の磯場では普通にもっとも見られるが、ホシササノハはほとんど見ない。どちらかと言えば内湾傾向のようだ。
写真の魚が釣れたのは、日向工業港からちょっと出た内海で、キス釣りの外道として釣れた。
それなりに認識があったので写真に残したけど、18Cm程度。
図鑑での紹介サイズは22Cmとある。

眼の下を通る暗色帯が胸鰭基底の上端にとどかないということと、体に多くの白斑点があることで区別ができる。

アカ・ホシいずれも味はよいものの、リリースされてしまう可愛そうな魚だ。リリースされるのは魚にとっては良いことか。

カンムリベラ

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標準和名:カンムリベラ
学名:Coris aygula Lacepède,1801
属:スズキ目ベラ科カンムリベラ属
宮崎地方名:?

特徴など:
この魚が釣れたときはびっくりした。2002年3月末、60Cm3.5Kgの大きな変な魚が釣れた。(釣ったのは同行者のSさんだけど)とても不気味で触るのもためらわれた。

図鑑を調べ魚名は判ったものの詳細が判らずWEBで検索。
なんとなく魚名が判り、再度深く調べるために検索すると、そこには写真の魚とは似ても似つかぬ白ベースに黒斑点・真ん中に赤い大斑点があるお魚。そしてほとんどの紹介ページがダイビング関連ページ。
このお魚、成長するにつけて黒っぽくなるようだ。大きいものは1mに達するよう。
頻繁に釣れる魚ではない。ちなみに大型のベラ科の魚には、この魚やコブダイなどがあり、私はこの日のことを超大型ベラが釣れたとして自慢げに人に話している。ベラ科には違いないのだ。

写真でも真っ黒にも見えるけど、よく見ると体の中央にちょと幅のある横帯が見える。
水中写真だと黒というより深い緑色の体色だ。

その様子から、知人の釣人はドラキュラというあだ名をつけているが、これが地方名とは言えず、また釣りでそんなに出会うこともないだろう。

ニシキベラ

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標準和名:ニシキベラ
学名:Thalassoma cupido (Temminck and Schlegel,1845 )
属:スズキ目ベラ科ニシキベラ属
宮崎地方名:?

特徴など:
防波堤などの釣りでは、ごく普通に見られる魚で、壁際に仕掛を入れると簡単に釣れる。
その名の通り、錦模様のカラフルなベラで、本州中部以南から朝鮮半島や台湾に分布するとのことだが、琉球列島ではめずらしいそうだ。
ベラの仲間にしては雄・雌の体色差は少ないようで、写真の魚も区別不能。
大きさは図鑑上は20Cmとなっているが、見たことがあるサイズはだいたい15Cm程度。

その姿から食べる気はしないけど、食べた方の評価では、まあ不味くもなく普通に食べられるそうだ。まあだけど、この模様だから鑑賞用として楽しんだほうがよいかも。

イラ

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標準和名:イラ
学名:Choerodon azurio (Jordan and Snyder,1901 )
属:スズキ目ベラ科イラ属
宮崎地方名:?

特徴など:
釣り魚写真を収集しだした当初に出会った魚で、「イラ」という名は結構自然に出てくる。いらいらする魚?などと語源を調べてみると、「イラ」の語源にたどり着く。
「イラ」という言葉は魚の背びれにあるトゲも意味し、うろこと形状の似た「いらか(甍)」も、この「イラ」に由来するとも考えられているそうだ。だけどトゲ(棘のことかな?)が発達している様子も伺えず、更に調べていくとその性質が苛々していることから「苛魚」の意味という説と、イザ(斑紋)の転訛という説があるようだ。

この魚は漁師も手を出さない。(私の知る人は)
毒がなくてそんな扱いの魚はよほど不味いのかと思われ、私も持ち帰った事はない。最初に出会ったときの情報がインプットされ、私にとっては微妙な感じを受けている部類だけど、その独特な姿は面白いと思っている。

ところが・・・な、お話だけど、私がお世話になっている「WEB魚図鑑」では、投稿の評価では5段階中の4とのこと。身はユルいが、味は良く、柔らかいタラのような感じだという記事を筆頭に、だいたいそんな意見だ。
基本的にベラ科の魚は美味しいけど、そのカラフルな容姿で敬遠されてしまう。昔からの定説としてまずいが前に出すぎた魚なのかもしれない。

身体的な特徴としては、成魚は体側に黒と白が接する斜走帯と頭の張り出し方が他魚との区別方法。

成魚で45Cmほどにはなるベラ科としては大型な部類だけど、写真の魚は35Cmほどで、斜走帯も目だってない。若魚だろう。もしくは、水中だと目立つけど陸ではぼけるのかもしれない。

ホンベラ

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標準和名:ホンベラ
学名:Halichoeres tenuispinnis (Günther,1862 )
属:スズキ目ベラ科キュウセン属
宮崎地方名:?

特徴など:
ちょっと存在感薄い魚だなぁ。なんて思っていたら、写真を整理しようとして探すけど出てこない。何年か経過して、その存在すら忘れていたけど、最近ここに自分の写した写真を整理しようとして出てきた。あったんだなぁ。

イトベラとインプットしてしまい、いろいろ調べていたけど、どうもピンとこない。そして図鑑を探っていたら、いました!ピンときた魚。そしてWEBさかな図鑑を見たら、ちゃんと登録もしてた。

この魚は四国・九州では普通に見られる魚だそうで内湾性、海藻が茂った岩礁付近に多いんだそうだ。若魚(稚魚)には背鰭の後方に大きな緑(縁が黄色)の斑点がある。ちなみに写真の魚は雌で、雄はキュウセンに似ている。

リュウグウベラ

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標準和名:リュウグウベラ
学名:Thalassoma trilobatum (Lacepède,1801 )
属:スズキ目ベラ科ニシキベラ属
宮崎地方名:?

特徴など:
ベラ科の魚はとくに種類が豊富で、カラフルで面白い。ニシキベラ属グループの魚はベラ科の中でもカラフルだけど、その中でもこのリュウグウベラは格別だ。
なんてったって3原色の色(赤・青・黄)が全体に催されているし、対照的な色が交互だ。

生息域が八丈島・沖縄島以南という分布のようだが、私は宮崎で釣った。いつも行く南郷町大島の磯場だ。分布に反して釣れる魚は嬉しい。もしかして北限が変わるのではないかという期待感があるのだが、正直温暖化が進んでいる証拠だともいえるし、海はつながっているから渡ってくるのは自然なことだ。ちなみに図鑑等に記載してある分布は「おおよそ」である。
よっぽど北分布の魚が宮崎で釣れたり、その逆で沖縄生息の魚が北海道で出たらちょっとした騒ぎにはなるんだろうけど、宮崎の海は熱帯域ともいえる。

25Cmほどが標準サイズだが、写真の魚は27Cmだった。この標準的なサイズっていうのもいい加減だ。成魚でだいたいこの程度で成長がとまるのではないかというサイズだ。

ベラの仲間の多くがそうであるように、このベラも雄・雌で模様が違う。写真の魚は雄型だ。
雌の場合はもう少し色が落ち着いていて、頭部には目立つ斑紋がある。

アカササノハベラ

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標準和名:アカササノハベラ
学名:Pseudolabrus eoethinus (Richardson,1846 )
属:スズキ目ベラ科ササノハベラ属
宮崎地方名:?
特徴など:
冬になると、フカセ釣りで底の方に仕掛が行くにつれて相手してくれる頼もしい魚である。私が釣りを始め、もっとも身近に感じている魚かも知れない。

ベラ科の魚も種類が多いが、冬の磯場でもっとも見かける魚であることには間違いないのだが、昨今の軽い仕掛で海の表層からゆっくりと仕掛(餌)を落としていく釣りではあまり見かけなくなってしまった。
私がイメージする海の状態は、表層には小さなイワシの仲間などがたむろし、中層にメジナとか各種の魚がグループを作って動き回っていて、底の方にこのベラ類やカワハギの仲間が待ち受けていると思うので、これが釣れると上の方には魚がいないか、うまいこと他の魚には餌が悟られずに落ちていったかのいずれかである。

アカササノハベラという呼び名は標準和名だが、この名は割りと最近つけられた名前なのだ。1997年に分けられたのだが、それまでは現在別種とされる「ホシササノハベラ」と混同されていて「ササノハベラ」として紹介されていた。
宮崎だと圧倒的にアカササノハベラが多いと思うのだが、外洋に面している場所だとこの魚が居る。逆に内湾だとホシササノハベラが多いようだ。いずれも生息していて、パッと見た目には区別しにくい事が多い。
いずれも最大で25Cm程度となるが、私は以前、30Cmに達するだろうという固体を釣った事がある。
宮崎って成長しやすいのか、小型魚が大きくなる気がするけど、気のせいかな?

区別は判ってしまうと簡単なんだけど、専門的な表現では眼の下を通る暗色帯が胸鰭基底の上端にとどくと、この魚だ。
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標準的な個体(雌?)

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雄個体

ヤマブキベラ

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標準和名:ヤマブキベラ
学名:Thalassoma lutescens (Lay and Bennett,1839 )
属:スズキ目ベラ科ニシキベラ属
宮崎地方名:?

特徴など:
ヤマブキベラでGoogleってみると「オレンジ色」の縦筋がある魚がでてくる。それは雌。写真の魚は雄なのだ。磯場ではごく普通に見られる魚らしいが、釣り暦6年目で初めて釣った。人が釣った姿は見た事がある。

ベラ科の魚は美味しいようだ。この魚も食べて美味しかったという記事も見た。大きくて25Cm程度のようだ。

ぜひ大きな写真も見てほしい。とてもカラフルというか綺麗な魚だ。ベラ科の魚は模様も派手だが種類も多く、大型の魚も居る。通称「ナポレオンフィッシュ」と呼ばれるメガネモチノウオもそうだ。

ベラ科の日本産種はおおよそ145種。おおよそとは私が数え違いしているかも知れないからだが、とにかく多い。

雄はオトメベラにも似ているが胸鰭が黄色くその後方が青い。また雌は始めの記載のとおり全体が黄色(ヤマブキ色)で、その色が名の由来らしい。幼魚(5Cm程度)は中央に幅の広い1本の縦帯がある。多分幼魚を見ても私は判断できないな。

キュウセン

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標準和名:キュウセン
学名:Halichoeres poecilopterus (Temminck and Schlegel,1845 )
属:スズキ目ベラ科キュウセン属
宮崎地方名:?

特徴など:
ベラ科の魚は種類が豊富で簡単な身体的特徴として色がとてもカラフルである事があるが、上唇から細い歯がちょこんと飛び出していることでもおおむね判断できてしまう。(すべてのベラ科がそうだという事ではない)
まあ、感覚的にベラ科の魚だ・・・と感じてしまうんだな。
でも侮るなかれ、中には全長2mを超える通称「ナポレオンフィッシュ」※標準和名「メガネモチノウオ」なども属するし、私が見た最大の魚では、同行者が釣り上げたカンムリベラなどは60Cmを超える大物だった。
九州では大分の防波堤などで「カンダイ」として騒がれる大物、標準和名「コブダイ」もベラ科に属する。
この大物達だが、幼魚と成魚では姿・模様が大きく変わるのも特徴的で、また雄と雌の模様が違うという事も面白い。

写真の魚はキュウセンというが雄である。
キュウセンの名の由来は、雌の体の様子から付いたという説がある。雌は中央に太いたて筋が1本あり、その上下に赤褐色の点線が8本あるため合計「9本の線」ということからだ。
ベラ科の魚は磯場や防波堤の壁に居ついている事が多いが、このキュウセンはちょっと小岩があるような砂浜で釣れる。私は磯が中心の釣りなのでほとんど釣った事がなかったが、先日の船キス狙いの釣りで久しぶりに釣れた。
宮崎でも内湾の砂地なら何処でも釣れるのかもしれないが意外と見かけない魚である。関西や瀬戸内では食材としても珍重され、京都では京料理のネタにもされるそうだ。私は食べた事がない。
もっとも低温に強いんだそうだ。ベラ科の魚達はカラフルだが、カラフル=南方の魚というイメージもある。恐らく生息域がサンゴや海草などが鮮やかな海底の場合に魚も擬態として色を近いものに変える進化をしているのだろう。しかしキュウセンは私が見た魚の中でも1・2を争うほどカラフルだ。砂浜でこんなに鮮やかだと、狙われ易いのではないかと危惧しちゃうけど、実際写真の魚は25Cmというかなりの大型のせいか、お腹の下に傷があった。1度は何がしかと戦った証拠だ。
ベラ科の魚は性転換するものが多いが、キュウセンもその魚の1つだ。雌から雄への変異である。従って赤褐色の模様を持つ雌は小型のものが多く雄は大型が多いということであるが、この魚は最初から雄の個体もいて、これは一次雄といい雌と同じ姿をしているのだそうだ。転換したものが青(写真のような色)になるそうで、そのような個体を2次雄という。
釣手法のせいかもしれないが、次は雌の姿も一度拝みたいもんだ。

オトメベラ

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標準和名:オトメベラ
学名:Thalassoma lunare (Linnaeus,1758 )
属:スズキ目ベラ科ニシキベラ属
宮崎地方名:?

特徴など:
割と防波堤の釣りで際を狙うと時々釣れるお魚なんだけど、似たような魚に「ニシキベラ」という種もいる。
かなりカラフルな魚で、頭部・尾部にカラー絵の具で塗ったような赤・青・黄の模様ががあるが、この魚の名の由来は、こんな色合いの可愛らしさからだろう。
成魚は写真のような濃い青緑ベースの色合いだが幼魚だとまったく別魚のような色合いで、婚姻色の雄は水色になるという。

私の場合は釣れたらそれなりに嬉しいんだけど、普通の釣り人なら即リリース魚だ。でもダイバーには喜ばれる魚かもしれない。
体長は10~20Cm程度でさほど大きくはならないと思われる。

ベラ科の魚が面白いのは、雄・雌の模様が微妙に(ときには大胆に)違うのではっきり判ること。子供の頃と成魚でも随分色合いが変わる事。
この魚も雌で生まれて雄に変態するようだ。