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[1597] 黒鯛はどこまで黒い? 
2002/7/16 (火) 18:18:36 坊津灘
お初どぇ〜す。m(__;)m>ALL
黒鯛について、教えてほしい事があり、ここへ質問すれば、運よければ画像も見られるかもと教えられ(^^;)、やってきました。 で、質問内容は…

黒鯛(チヌ)は名前から黒い鯛であるが、実際はむしろ銀色かかった灰色に見える方である事は、釣り人なら良く知っていると思います。しかし、こないだボクは7/12釣りへ行った時、真っ黒い黒鯛(チヌ)(?)を目撃しました。釣った訳ではないのですが(^^;)、これは本当に黒鯛(チヌ)だったのだろうかと疑問が沸き、家に帰ってからも、さかな大図鑑(旧版)等の写真を確認しましたが、みな違うのです。横縞の出る黒鯛(チヌ)は良く見かけますが、横縞の黒い部分が、口先から尾びれまで全て黒い黒鯛(チヌ)ってのは居るのでしょうか?他にも周辺に3匹チヌが居たですが、それらとはコントラストが明らかに違いました。

なお目撃した黒鯛(チヌ)の大きさは約35センチで、場所は瀬戸内海西部の海水浴場(砂浜が多く、磯は少ない)です。

ではでは。

                        坊津灘@防府(山口)

[1598] クロダイ>婚姻色?>顔が黒くなる 
2002/7/16 (火) 18:59:04 小西英人
◆画像拡大
※写真説明=クロダイ 1999年3月10日 長崎県大瀬戸

▼ 坊津灘さん

 おひさです。釣りフォーラムの【さかな会議室】からの転載すみませんでした。

 ぼくは、全角でやりとりするのはエチケットに反する。みんなが読めるように半角カナで書けと脅すような理科系おっさんがいたころから「パソコン通信」をしていますので、NiftyのTTY環境には愛着があるのですが、画像のやりとりを始めますと、もうあきませぬ。

 そんなこんなで、ここをぼくのホームにしますので、よろしくお願いいたします。

 さてさて。

 黒いクロダイですね。

 ええと。 まあ、坊津灘さんの見たクロダイは水中だから、どの程度黒いか分かりませんよね。

 とりあえず、この写真に掲げた大瀬戸のクロダイを見てください。

 顔が黒くなっていますよね。そして体の背側も、かなり黒いと思います。これは死んで黒いのではありません。生きています。坊津灘さんが見はったのは、水の中で泳いでいるのを見たのだから、このクロダイを上から見ると、頭から尻尾まで真っ黒けに見えるでしょう。

 こういう顔の黒いクロダイについて、週刊釣りサンデーでは、当時、大阪府立水産試験場にいて(いまは大阪府立淡水魚試験場です)クロダイの人工ふ化の研究などをやってはった鍋島靖信さんに聞いて、1999年4月18日号で記事にまとめています。

 それを参考に書いてみます。

 鍋島さんはクロダイの顔が黒くなるのは、雄の婚姻色だといってはります。

 クロダイの性というのは、ちょっとややこしいのですが、簡単に書いちゃいますね。はじめは雄で雌に性転換するのがクロダイだと書いている人がいれば、その人を信用しないこと。

 クロダイは、はじめは雌雄両方の性巣をそなえるのです。外側に精巣があり内側に卵巣があります。そして生殖期には、精子を放出して、雄として機能することが多いのです。3歳になると、雌雄の性巣が分離して、雄か雌か、どちらかになるのです。体長でいえば20〜30cmのころに性は分化してしまうのです。大きいのは雌が多く、雄は少なくなります。

 黒鯛の顔が黒くなるのは、鍋島さんによると、この分化が完了した大きな雄の婚姻色だということです。

 雌に対するアピールだということです。

 水槽内の観察だと、クロダイの産卵は、雌が水面まで急上昇すると、複数尾の雄が追尾し、雌が水面に達して頭部を水上に出し、体をやや傾けて放卵すると、すべての雄は卵に向かって体をひねって放精するようです。自然産卵の観察例はありません。

 この顔が黒くなるのは、クロダイの雄の婚姻色である…というのを、鍋島さんに、お会いして、きちんと聞いて、まとめておかなければいけないなと思いつつ、まだ、機会がありません。

 実際、どうなんでしょうね。みなさんは見たことがありますか?

                             英人

[1599] クロダイ>婚姻色?>顔が黒い個体の2 
2002/7/16 (火) 19:01:08 小西英人
◆画像拡大
※写真説明=クロダイ 1999年4月11日 兵庫県神戸和田防波堤

▼ 坊津灘さん

 もう1個体、顔の黒いクロダイを掲げておきます。これも生きています。

                           英人

[1602] 黒いですね 
2002/7/16 (火) 20:06:26 坊津灘
画像は、どうもありがとうございました。
参考になりました。

まさに黒い黒鯛ですね。
ボクが目撃したのは、2番目の参考画像からみると、顔部分はほぼ同じでしたが、胴体部分も顔部分と同程度の黒さでした。快晴で波もなく、澄明な水深1mもない所を突堤から10mの距離で見たものですから、それ以上の特徴は判りませんが、ほぼ真っ黒けの黒鯛であったと納得しました。ありがとうございました。

                  坊津灘@防府(山口)


[1600] 参考>棘鯛の系譜…クロダイ>転載します 
2002/7/16 (火) 19:12:25 小西英人
 タイ科のクロダイ属は学名で Acanthopagrus といいます。読むとアカントパグルスですね。これはギリシャ語で「棘の鯛」という意味です。『棘鯛の系譜』という連載を、ぼく、むかし『ちぬ倶楽部』でやっていて、これを書き直して『釣魚図鑑』に再録しました。日本産クロダイ属5種について書いたので5本あります。しかし、オーストラリアキチヌの項など、ちょっと古くなってしまっています。

 5本すべてを転載するかどうかわかりませんが、とりあえず、このうちのクロダイの項を、参考のために転載しておきます。

                          英人


■『釣魚図鑑』(小西英人・2000年)より転載
==============================================
魚あれこれ■棘鯛の系譜A

南の海から北の吹き溜まりに。食べるマシンの旅
クロダイ■


■いちばん北に棲む黒鯛


==============================================
■マダイとクロダイの違いを、いえるだろうか。
■赤いか黒いか。顔が違う…。まあ、そんなとこなんだろうけど、もっと違うところはないのだろうか…。
            ■
■タイ科魚類を大きく分けるために研究者たちがよく使うのは歯だ。世界のタイ科は見直さなければならないのだろうけど6亜科いるとされ、日本にはヘダイ亜科、マダイ亜科、キダイ亜科の3亜科の魚が棲む。これを分ける形質で、いちばん決め手になるのは「歯」である。
            ■
■ヘダイ亜科。日本産で、ヘダイ、クロダイ、キチヌ、ミナミクロダイ、オーストラリアキチヌ、ナンヨウチヌの6種。マダイ亜科。日本産で、マダイ、チダイ、ヒレコダイ、タイワンダイの4種。キダイ亜科。日本産で、キダイ、ホシレンコ、キビレアカレンコの3種。
■以上の3亜科に分けて歯を見てみる。ヘダイ亜科の前部には上下それぞれ6本の「門歯状犬歯」がある。犬歯とは先のとがった歯であり、門歯とは鑿のようになった前歯であるが、ヘダイ亜科の前部の犬歯は基部の断面が楕円であり門歯状といってもいいくらい発達している。対してマダイ亜科、キダイ亜科の両顎の前部は、4〜6本のただの「犬歯」になっている。(5ページ参照)
■ヘダイ亜科とマダイ亜科の上下の顎の側部の外側には先のとがった犬歯が並んでいる。その内側には臼歯列があるが、ヘダイ亜科は片側3〜5列で、かなり発達している。マダイ亜科は片側2列である。キダイ亜科には臼歯列も犬歯列もなく、小さな円錐歯列があるだけだ。
■ヘダイ亜科の臼歯列は、こんなものに噛まれたくないと思うくらい凄い。見たことのない人は、こんど釣ったら、よく見て欲しい。ちなみに、この臼歯列の大きさがほぼそろっているのがクロダイ属で、後部の方に一本だけ、でかいのがあるとヘダイ属になる。
            ■
■門歯と犬歯と臼歯。まるで人の歯のように、この3セットがそろうのがヘダイ亜科、クロダイたちだ。門歯で噛み切り、犬歯でくわえ込み、臼歯で貝やカニなどを割り、殻などは吐きだして、中身だけ食べるというような高等な「食事」ができるように進化した、恐るべきクロダイたち。クロダイの稚魚は体長4pになると、臼歯が形成されると報告されている。そんな小さな時代から、さまざまな餌を追いかける。まさに「食べるためのマシン」が、タイ科ヘダイ亜科の魚たちなのだ。
            ■
■クロダイは琉球列島をのぞく北海道以南の日本各地、朝鮮半島南部、中国北中部、台湾に分布する。あまりにも、日本人になじみのある魚であること、外洋向きより内湾に多いこと、いぶし銀の渋い色であること、などなどから、温帯特有の魚であると思われているようだが、クロダイ属は南方系の魚。クロダイは、いちばん北にまで分布する「北限のクロダイ」ということになる。
            ■
■「大地中海」とか、「古地中海」とか、聞いたことがあるだろうか。これは「テーチス海」という古生代から古第三紀に、チモール、スマトラ、インドシナ半島、ヒマラヤ、パミール、ヒンズークシ、小アジア、地中海方面にひろがっていた古海洋のことで、アンガラ大陸とゴンドワナ大陸にはさまれた広大なこの海は、浅く、温暖な時代が多くて、熱帯から亜熱帯の海洋動物群が多く生息した。第三紀の中頃に北上したインド亜大陸がユーラシア大陸にぶつかり、ヒマラヤができ、東西に分断された。いまの地中海はテーチス海の名残だとされる。エベレストから浅海性の海洋動物の化石が発見されるのは、海底が持ち上がったのがエベレストだからである。
■『地理的分布から見たタイ型魚類の分散』(赤崎正人、1970)を参考に、クロダイ属の長い長い旅路を見てみよう。タイ科魚類は白亜紀の終わりから第三紀のはじめに、テーチス海で出現したらしい。白亜紀なら恐竜に原始タイ科魚類は喰われちゃったかもしれない。地中海にタイ科魚類の種数が多くタイ科の原型に近い形質を持ったものが多いのは、テーチス海起源の証拠とされる。
■クロダイ属は、東南アジア、東インド諸島を小さな分散の中心として、インド洋、オーストラリア、および日本の、いろいろな方向に分散したといわれる。東太平洋には深海があり強い海流もあったので、これらが「東太平洋障壁」となり、分散を遮断したので、日本とオーストラリアが分布の限界になった。
■一般に、各大洋の西岸に部分的な分布の中心地があるといわれる。それは暖流がそれらの沿岸にぶつかり、魚類の移動の終末地域になっていたこととテーチス海からの「分散」の影響が残っているためだといわれている。つまり日本は分布の中心から、どんどん送り込まれる周辺地域、「吹き溜まり」にあたるわけだ。日本近海が約四千種の魚類の生息する豊かな海になっているのは、こういう地理的に恵まれた特性があったためなのだ。日本に生まれ落ちたことを釣り師は感謝しなければ。
            ■
■クロダイには謎が多い。これだけふつうに見られ親しまれている魚なのに生態などの基礎的な情報は、ほとんどない。クロダイは「性転換する魚」として有名ではあるが、実際の詳しいところは分かっていないし、「性転換」という言葉さえ不適切なのかもしれない。
            ■
■魚は、ふつう雌雄異体とされているが、かなりの魚種で、さまざまな雌雄同体現象が知られている。1個体に雌雄双方の性機能があらわれるのを「機能的雌雄同体現象」とよぶ。それらのうち雄から雌に性転換するものを「雄性先熟」という。クロダイは一般に「雄性先熟の機能的雌雄同体魚」だとされている。
■『魚類の性転換』(中園明信・桑村哲生、1987)からおもな日本産タイ科魚類の雌雄性を抜く。クロダイ、キチヌ、ミナミクロダイ、ヘダイは雄性先熟の機能的雌雄同体魚になっている。マダイとチダイは、痕跡的雌雄同体魚になっている。「痕跡的雌雄同体魚」とは、機能的には雌雄異体であるが、将来雄になる個体の生殖腺が未成魚期に卵巣様の構造をみせてから満2歳までに精巣になるからそう呼ばれる。ただし、台湾産のマダイでは、雌性先熟の機能的な雌雄同体魚だという報告もある。キダイは雌性先熟の機能的雌雄同体魚とされる。赤い鯛は雌性先熟、銀色の鯛は雄性先熟が多いといわれる。
■『タイ型魚類の研究』(赤崎正人、1962)から、簡単にクロダイ、キチヌ、ミナミクロダイ、ヘダイなどの性を見てみると、体長が14〜25pくらいまで、雌雄の性巣をそなえ、外側の精巣と内側の卵巣は、ほぼ同じ大きさになる。両性巣の精巣は、生殖期には精子を放出して雄の機能を備えるが、卵巣の部分に季節的な変化は見られず、雌の機能も持たない。クロダイは体長20pくらいになると、両性巣が分離して雌か雄になるが、体長35.6pで両性巣のクロダイが採れたこともある。ヘダイ亜科の生殖巣の分化はふつう体長20〜30pの時期に起こる。
■簡単にまとめてしまうと、とにかく幼魚の頃は卵巣部と精巣部をあわせ持った雌雄同体魚であり、はじめは雄として機能するものが多く、成長するに従って、雄と雌に分化して、5歳以上の大きな個体の生殖腺は、卵巣か精巣であり「性の分化」は完了しているらしい。
            ■
■性転換というよりは雌雄同体魚の性分化という方がいいようだ。なぜ、こんなややこしい性をヘダイ亜科は持つのだろう。ギスリンの考えた「体長・有利性モデル」というのが、性転換する機能的雌雄同体現象の説明とされる。体が小さいときと、大きいときで、雌雄が変わった方が多くの子孫が残せる場合、このモデルになる。たとえば大きな雄が多数の雌を独占する場合は雌性先熟が進化しやすい。ベラ科の魚などがそうだ。逆に雄の繁殖の機会が体の大小に関係なければ、体の大きい方が雌の産卵能力が増加するので、雄性先熟が進化しやすい。また雌雄がランダムにペアをつくって産卵する魚種は雄性先熟が進化するという説もある。
            ■
■クロダイ属の自然産卵を見た人はいない。婚姻システムはまったく分かっていないのだ。

初出●『ちぬ倶楽部』1999年8月号

[1601] 全面的に真っ黒けのクロダイ 
2002/7/16 (火) 19:26:58 JUN
▼ 小西英人さん

アップしていただいたクロダイの顔の黒いのが、
全身まんべんなくいきわたって黒い、というクロダイを見たことがあります。
宮崎県耳川の河口で、サイズは40センチくらいでした。

「地着きのやろうか。こんなのが時々釣れる」と、釣り人は話していました。

けっこうふつうにいるのかと思っていましたけど、
英人さん、まっ黒けのクロダイの写真、撮ったことありません?


[1603] Re:全面的に真っ黒けのクロダイ 
2002/7/16 (火) 20:29:18 小西英人
▼ JUNさん

 ぼくは、黒っぽいのは見たことあるけど、あきらかに黒いのは見たことがないです。

 この記事の時に鍋島さんに取材に行ったのが、魚に詳しくない編集部員で、どうも、はっきりしないところもあるのですが、鍋島さんによると、全身が真っ黒になるのも珍しいけどいるみたいで、ふつうは顔が黒く、それも、わからないくらい薄かったりするそうです。

 しかし、鍋島さんのは、たぶん水槽観察なので、また実際とは違うとも思われます。ぼくの勉強不足かもしれないのですが、鍋島さん以外で、黒鯛の雄の婚姻色という話を聞いたことがないのです。

 JUNさんの、その真っ黒けのクロダイは、産卵期と合うのですか?

                           英人

[1604] Re:全面的に真っ黒けのクロダイ 
2002/7/16 (火) 20:40:57 JUN
▼ 小西英人さん

魚を見た季節を、はっきりと思い出せません。
増水して非常に濁っていたのだけを覚えています。

ほんと、墨を塗ったみたいに真っ黒けでしたよ。

P.S.
「大きさのわりには引かなかった」と釣り人はいっていました。
いわれてみれば、抱卵していたような気も・・・?。

[1607] Re:クロダイ>婚姻色?>顔が黒くなる 
2002/7/17 (水) 14:34:02 たっちゃん
▼ 小西英人さん

>  実際、どうなんでしょうね。みなさんは見たことがありますか?

僕が釣りをはじめたばかリの頃、一度だけ真っ黒な43cmの黒鯛(白いのは腹だけ)を釣ったことがあります。
5月の初め頃、愛媛県津波島の砂浜で、エサはすなもぐりでした。
藻に絡まって上がらなかったので、腰まで入って取り込んだので良く覚えています。
当時釣り暦20年あまりの同行者達も、異様な黒さに驚いていました。
それ依頼一度も出会っていません。


[1608] Re2:クロダイ>婚姻色?>顔が黒くなる 
2002/7/17 (水) 17:35:00 小西英人
▼ たっちゃん

 情報ありがとうございます。

 やはり少ないようですね。そんなに珍しくて婚姻色なのかなとも思います。

                       英人

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