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[6052] アイゴの毒 
  【魚図鑑参照】
2003/4/24 (木) 00:50:06 きくやの常連
◆画像拡大
これは僕がいきつけの島根県島根町沖泊で釣ったアイゴです。

最近、防波堤から海中を見るとアイゴまみれで底がアイゴで見えないほどの状況です。
この時期アイゴは多いのでしょうか?

ところで、サビキで釣って、もって帰る前に棘が危ないということで、ハサミを用いヒレを切り落としていたところ、失敗して棘が指に刺さってしまいました。←ホント意味ないじゃん!

よく図鑑などに、「刺されたら釣りにならない」と脅し文句が書かれているので、あわてて傷口を吸って血を出しました。
地元のおじさんに聞くと、刺されて20分はえらい(つらい)けど、そのあとは楽になるからと教えてくれました。
おじさんの言ったとおり、15分くらい局部を強くつねるような痛みが脈を打ち、そのあとは普通に釣りができました。
しかし、その後二日間はミツバチに刺された次の日くらい(ちょっとわかりにくい...)のハレが残りました。

要するに、大したことなかったです。
刺されてすぐに血を吸いだす行為がよかったのかもしれません。
刺されたのはアンラッキーですが、いったいどんな痛さか気になってはいたので、よい経験でした。

そういえば、メバルって刺されたとき結構痛くないですか?
カサゴの棘に刺されても刺される痛さだけですが、メバルはアイゴの痛みを5分の1くらいにしたような痛みを感じます。
メバルにも毒があるんでしょうか?
結構メバルに刺された人はいると思います。

[6056] 図鑑>アイゴ>登録しました 
2003/4/24 (木) 08:25:36 小西英人HomePage
▼ きくやの常連さん

 アイゴの図鑑へのアップありがとうございました。登録しておきました。

 刺毒は個人差があるようです。たいしたことがなくてよかったですね。

 ぼく、アイゴに刺されたことがないので、どれくらい痛いか、よくわかりませんけど。

 また、あとで、ちょっと詳しく書きたいと思います。

                            英人

[6058] 刺毒>メバルのこと 
2003/4/24 (木) 10:19:37 小西英人
▼ きくやの常連さん

 あとで、ぼくの書いた『釣魚図鑑』(週刊釣りサンデー・2000年)から刺毒魚の項目を転載しますけど、刺毒は蛋白毒ですが非常に微量なのと分解しやすく、研究が難しくて、わからないことが多いのです。

 フサカサゴ科の魚は、棘が鋭くて、指されるとけっこう、じんじん痛みが長引くことがありますが、魚の棘は鋭く、複雑な構造をしているものが多くて、ちょっと切ったと思っても、傷の深いことが多いのです。そのために海洋性の雑菌にやられて痛むことがあるかもしれません。

 メバルの刺毒は、聞いたことがないです。、みなさんどうでしょうか?

 カサゴは中国の学術書で有毒魚と薬用魚の本が出ており、それを恒星社厚生閣が翻訳しています。

 『中国産有毒魚類および薬用魚類』(伍漢霖ほか著・野口玉雄・橋本周久監訳・1999年)なのですが、これには、えええええ! こんなのに毒があるのと驚くものがいますが、カサゴも刺毒魚とされ、カサゴの前側溝のある毒棘の図まで掲げてあります。

 次に図鑑を編むときに、この辺をどうするか…、悩みどころです。ほんま。

                              英人

[6059] 刺毒魚>釣魚図鑑より>転載します 
2003/4/24 (木) 10:25:46 小西英人
 それでは刺毒魚のこと…。

                         英人

『釣魚図鑑』(小西英人著・週刊釣りサンデー・2000年)より転載
===============================================================
魚あれこれ
ぎょぎょ事典D

それ大先輩の怒りである! のかもしれない
刺毒魚■


■海は危険に満ち満ちている。釣りとは危険な遊びなのである。「アウトドアスポーツ」「フィッシング」なんでもカタカナにしてしまったら明るく楽しいなんて思っている人は大きな間違い。自然とは「剣呑」なものであってすきあらば「あなた」を殺そうとするのである。
            ■
■魚たちも可愛くはない。すべて「剣呑」なのだ。
■古生代シルル紀後期、4億年あまりの大昔に硬骨魚類は出現している。原始哺乳類の出現は三畳紀後期、やっと2億年前で、ほそぼそ暮らしていたのが6400万年前に恐竜が絶滅し大きな顔ができた。「裸のサル」として放りだされたのは、どんなに古くみても1000万年前。魚類とは「鍛えられた」時間がまったく違うのである。そんな魚たち、ただおとなしく「裸のサル」には食べられないぞ。すきあらば、あなたを倒そうとする…。
            ■
■というわけで、刺毒の話をしよう。刺毒ってなあに?いうあなた。「棘があって刺されて毒が注入されて痛いよお」というのを「刺毒」と、ここでは考えよう。そんなので死ぬの?というあなた。死ぬこともある。
            ■
■オニダルマオコゼをご存じだろうか。日本では奄美大島以南にすみ、サンゴ礁や岩礁の浅いところに潜んでいる。魚というよりは石にしか見えない変な魚で、そのため釣り人よりも水遊びの人やダイバーが踏んで事故になることが多い。このオニダルマオコゼの毒は、いまのところ刺されて痛む毒としては最強のものであり死亡例もある。毒性を魚1尾で殺せる体重20gのマウスの匹数であらわすと、オニダルマオコゼは11800〜26000匹になる。ハナミノカサゴは650匹、キリンミノは280匹、オニオコゼは230匹。けたがふたつくらい違う。それほど強い毒なのだ。ヒトの毒に対する「感受性」がもしマウスと同じなら、オニダルマオコゼ1尾で、体重60sのヒトを4人殺せる。オニダルマオコゼの背鰭の毒棘は14本あるので3本の棘の毒が体内にはいると死ぬ可能性がある。
            ■
■魚の刺毒はタンパク質からできている。ただ非常に不安定で、すぐに毒性が消えてしまううえに魚1尾あたりの毒もごく微量であり、研究は非常に難しく詳しいことは分かっていない。タンパク質でできた毒が、「痛み」をもたらし、「致死性」と「溶血性」をもたらす。ヒトが刺毒で死ぬこともあるのは、その毒性によるもの、異種タンパク質によるアレルギー性ショック、それに痛みによるショックなどが複雑にからみあっている。
■オニダルマオコゼの毒は強力なので、よく研究されており、毒も精製され抗血清も開発されて、オーストラリアでは「ストーンフィッシュ・アンチヴェノム」という市販薬にもなっている。この抗血清、日本のオニオコゼやミノカサゴにも、ある程度効くことが確かめられている。でも刺されてオーストラリアに買いに行くわけにいかない。刺毒魚にやられたら効く薬は日本にはない。
            ■
■「あなた」を狙う24本の「毒棘」って、な〜んだ?
■アイゴね。これ磯師の通過儀礼。このアイゴがふつうに扱えるようになれば「男」なんだ。刺されて泣いてから「一人前」になるという説もある。ぼくは刺されていないから「一人前」になれていないのだろうか。アイゴの棘にはすべて毒があり、背鰭に13本、臀鰭に7本、腹鰭に2本(×2ね)の毒棘がある。ぼくは「一人前」ではないから知らないけれど「死ぬほど」痛いとか「泣くほど」痛いとか、オーバーな訴えを聞く。実際どうなんだろう。ただ未解明の複雑なタンパク毒であり、感受性はヒトにより違うから、刺されて痛みが激しかったり、浮腫や発赤のある場合は大事をとって医者に行くこと。
            ■
■我慢できない場合の一般的な対処法を書いておく。
■傷口をきれいに洗い、できるだけ熱いお湯に1時間から1時間半、痛みがとれるまでを目安につける。これは痛みをのぞくのと血管の収縮を防ぐ。痛みに気をとられ火傷しないように、つける前に刺されていない方の手をつけて熱さを確かめること。激痛がとれなければ病院で局所麻酔をしてもらう。棘が残っていないかレントゲン検査もしてもらう。破傷風などの注射もしてもらう。
            ■
■毒腺がある…といえば、棘の根本に毒液の「袋」でもあるのだろうと想像するが、オニダルマオコゼなどの特殊な例をのぞいて、刺毒魚の棘の構造はとても簡単なものだ。ふつう鋭い棘があり、棘には溝があって毒腺はその溝に沿ってある。表皮に覆われ、毒腺から体表に通じる開口部や導管はない。毒腺は、ただ「ある」のだ。
■それでは、なぜ、ヒトの体内に「注射」できるのだろう。刺毒魚の毒棘は「刺毒装置」と呼ばれるが、それは棘が他の動物に刺さり、その衝撃で表皮が破れると、毒腺も破れ、流出した毒が傷口から流入するのだ。
            ■
■魚にはぬるぬるがある。「粘液」である。表皮に粘液細胞という細胞があり、そこから分泌される。体表粘液は泳ぐときの水の抵抗を減らす(だから水着メーカーが魚のぬるを研究したりする)こともあるが、捕食者や微生物、寄生虫などから体を化学的に守る役目もある。魚の体表粘液にはレクチンと呼ばれるタンパク質が多く含まれており、これは微生物を凝集することになり、それにより生体の防御をしていると思われる。
■この生体防御を一歩進めたのが「毒」だ。ウナギ類はぬるぬるだが、この粘液1gで体重20gのマウスを2000〜8000匹も殺せる毒性があると最近になって分かった。
■ゴンズイの体表粘液にも毒があると分かってきた。ところがゴンズイの「刺毒装置」の毒腺は真皮の内側にあり、この毒腺を採取しようとすると体表粘液毒も混じって、どちらも免疫学的には似ており分離できない。
■1973年にオーストラリアのキャメロンとエンディーンは「魚類刺毒は体表粘液毒から進化した」という仮説をたてた。鰭の棘などが防衛のため発達し、そこに体表粘液毒が発達したのが「刺毒装置」なのかもしれない。
■毒が報告されていない魚でも鋭い棘で傷つけられてしまうと、ずきずき激しく痛むことがある。これらは体表粘液の「毒性」のためかもしれない。まだまだ隠された魚たちの「毒」はあるのだろうと思われる。
            ■
■魚を踏みつけてハリを外す癖のあるあなた、危ない。アカエイ、マダラエイ、ヒラタエイなどの棘は尾棘と呼ばれ尾に後ろ向きについている。これは両側が鋸の歯のようになっており、そこに毒腺がある。尾をムチのように振り回し、この大きな毒棘で傷つける。踏んづけてしまうと靴の上からでも足をざっくり切られる。この裂傷は、大怪我になることが多い。気をつけよう。
            ■
■エイ。アイゴ。ゴンズイ…。だいたい魚を踏みつけたりするのは失礼なんだ。地球の新参者の「裸のサル」としては、もっともっと謙虚にならなければね。

初出●『磯釣りスペシャル』2000年3月号

[6063] Re:刺毒魚>釣魚図鑑より>転載します 
2003/4/24 (木) 13:52:49 きくやの常連
▼ 小西英人さん

非常に丁寧なご指導ありがとうございました。

納得です。

体表の粘液にも毒性があること、感受性が人によって違うことから僕にとってメバルは刺毒魚だったんですね。
僕の父も「メバルには絶対毒がある!」って言ってたので親子で体質が似たのでしょうね。
確かにメバル刺されてもなんともない人もいました。

刺毒魚ちゃんたちは、誰から身を守るために毒を装備したんですかね?
裸のサル?
マウスにも効くってことはどれにでも効くのかな。
トンビ(方言かな?ワシみたいな鳥)はアイゴをあげると喜んで持っていくけど...

[6066] Re2:メバルの毒 
2003/4/24 (木) 21:05:42 はこふぐ
▼ きくやの常連さん
▼ 小西英人さん


横から失礼します。
僕もメバルにはメバルには弱い毒があるのでは、と思ってました。
瀬戸内(広島県尾道)のメバルは刺されるとジンジンしました。後に引く痛さです。
しかし、関東のメバルには刺されても痺れるような痛さを感じたことはありません。
場所によって毒が有ったり、無かったりするんですかね。

[6068] Re3:メバルの毒 
2003/4/24 (木) 22:15:59 小西英人HomePage
▼ はこふぐさん

 メバルは、このボードにも書いておるように、3種に分かれます。

 なぜ、日本の沿岸に3種に種分化しながらひろがっていったのか…。

 謎は多いです。

 場所なのか、種なのか、食性なのか、季節なのか、わからないし、だいたい毒があるかどうかもわからない。

 魚って、基本的には、謎ばかりです。

 だからこそ、ぼくらが、わあわあと騒いで楽しめるのですけどね。

                       英人

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