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[6144] 新刊>『新顔の魚 1970-1995 復刻版』 
2003/4/27 (日) 19:53:29 小西英人HomePage
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『新顔の魚 1970-1995 復刻版』■監修・上田一夫 編集・坂本一男 制作・財団法人伊藤魚学研究振興財団■発行・まんぼう社 発売・新泉社 定価4800円■2003年

 1996年に亡くなりはった阿部宗明博士は、さまざまな図鑑類をてがけて、魚の普及に努力しはりました。とくに最後は東京築地の「おさかな普及センター資料館」にいてはって、さまざまな研究をされています。

 このボードでも、話題になっているJAS法の外国産魚の和名の問題も、阿部博士は1970年からてがけてはって、伊藤魚学研究振興財団から、『新顔の魚』というリーフレットを発行し、1995年までに、25集だして190種の魚を紹介しています。

 外国産魚で、この『新顔の魚』で和名をつけられたものは多く、いろいろと参考文献で見ていたのですが、リーフレットなので、手に入れられなくて、残念に思っていました。

 それが25集まとめた復刻版ででたのです。

 300ページで4800円と高く、マニアックではありますけど、これはほんと嬉しい!!

 いまの眼で見ると、ええっ、そんな和名を使うの!?

 なんてのも、けっこうありますけど、重要ではずせない文献ではあると思います。

 まあ、あまり批判せずに、こんな名前があると、主だったものを列挙しましょう。

■マジェランアイナメ 例の「ぎんむつ」がだめになって、メロと呼ぶようになった種ですね。マジェランアイナメでもいいとなったのは、これがあったからなのかな。これは新称となっていますから、阿部さんの命名だったのですね。

■みなみひらまさ これはオーストラリア、ニュージーランドのキングフィッシュです。いまは、日本のヒラマサ Seriola lalandi Valenciennes,1833 と同種とされています。違うと思われますけど。

■アオイサキ Scorpis aequipinnis Richardson,1848 となっていますが、写真と記載から判断してニュージーランドに多い、ブルーマウマウ Scorpis violacea (Hutton,1873) だと思います。本書にはカゴカキダイ科とされていますが、いまはタカベ科 Scorpididae とされています。

■シマシロダイ ニュージーランドにいるタカノハダイ科のタラキヒ Nemadactylus macropterus (Forster,1801) です。

■ミドリフサアンコウ これは日本産ですが、阿部さんに献名されていますね。Chaunax abei Le Danois,1978 新称になっていますから阿部さんが和名をつけたようです。

■シマスズキ これストライプドバスね。いまの学名は Morone saxatilis (Walbaum,1792) になっています。新称となっていますから阿部さんの命名ですね。これ、いま、東京湾からも採捕されたりして、問題になりつつあります。シマスズキという、日本産のような和名で呼ぶよりも、ストライプドバスと呼んで、警戒した方がいいでしょう。

■ウッカリカサゴ これはロシアのバルスコフと台湾のチェンが記載した Sebastiscus tertius Barsukov et Chen,1978 に阿部博士が和名を提唱したもの。うっかりするとカサゴと区別しないことになると記載されています。ユニークな命名と、有名ですが、ぼくは、もうひとつだといつでも思います。

■あかれんこ これ新称になっていますから、阿部さんが提唱したのですね。小笠原の、真っ赤なキダイです。まだまだ研究されていなくて、沖縄のキビレアカレンコと含めて謎のままになっています。

■モトギス これ日本にはいないことになっていて、東南アジアの Sillago sihama (Forsskal,1775) に和名提唱をしたようです。その後、望月賢二博士らの研究により、沖縄にもいることがわかって、そのままモトギスとなりました。

■マルスズキ これはちょっと驚きました。ルアーマンの俗称の丸スズキが提唱されたいのかと…。これはオーストラリアンラフ Arripis georgianus (Valenciennes,1831) に阿部さんがつけた新称です。科名、Arripidae にもマルスズキ科を提唱してはります。これ、ぼくは『新さかな大図鑑』で、ニュージーランドのカウアイ Arripis trutta (Forster,1801) からとって、カウアイ科としていますけど。

■ミナミアカイサキ これニュージーランドに多い、ピンクマウマウ Caprodon longimanus (Gunther,1859) に新称をつけてはります。ブルーマウマウと呼び名が似ていますが、こちらはハタ科になります。

■ミナミオオスズキ これは阿部さんと新井さんが和名提唱しています。ニュージーランドのハプカ Polyprion oxygeneios (Schneider et Forster,1801) です。

■シマメジナ これはルーダリック Girella tricuspidata (Quoy et Gaimard,1824) です。オーストラリアに多いメジナ科の魚です。新称の提唱になっています。

■カリフォルニアヒツジベラ これも新称提唱です。なにか分かりますか?ロサンゼルスのロイさんがアップしてくれている、カリフォルニアシープヘッド Semicossyphus pulcher (Ayres) です。
http://fishing-forum.org/cgi-bin/zukan/zkanmei.cgi?sel_no=6&mas=000473
 コブダイみたいな変なベラです。

■ミナミアオトラギス これは巨大なトラギス科、ニュージーランドのブルーコッド Parapercis colias (Forster,1801) です。ぼく、写真撮影中に、粘液が多くてごろごろ転がるのに業を煮やして、口に親指をつっこんでまっすぐにしようとして噛みつかれて、えらいめにあいました。

■ヒツジダイ これも新称です。わかりますね。タイ科アメリカチヌ属のシープスヘッドシーブリーム Archosargus probatocephalus (Walbaum) です。
http://fishing-forum.org/cgi-bin/zukan/zkanmei.cgi?sel_no=8&mas=000447

 以上、ぼく、いろいろ調べたことのあるニュージーランドの魚を中心にしたコメントになりましたけど。

                     英人

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