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[6161] 大陸スズキ?スズキ? 
2003/4/28 (月) 19:04:50 きんや
◆画像拡大
有明地魚として売って有りました。
吻長と眼の位置は、スズキと変わらないと思うのですが?
調理済みですので、顔写真だけです。
ピンボケですが、宜しくお願いします。
(全身写真は、向井さんのHPにレス中です。)

[6163] スズキ>だと思います 
2003/4/28 (月) 20:04:33 小西英人HomePage
▼ きんやさん

 ぼくが見る限りでは、ふつうのスズキに見えます。

 ただ、ぼくは有明海産スズキの典型的な有明海型(これが亜種になるのか別種になるのか型になるのかは別にして、とにかく有明海型です。有明海には、ふつう型のスズキもいます)というのを見たことがありません。たぶん筑後川にのぼっているのは、有明海型なんだろうなと思うんですけど。

 ふつうにいって、こういうタイプはスズキと同定します。スズキでもこれくらいの黒点はあるし、もっと大きいものもいます。傾向として、タイリクスズキの黒点は側線より下にもちらばり、スズキの黒点は側線より上にしかありません。(向井さん所のHPの全身像も見てきました)

 それでスズキだと思うのです。

 有明海型は見たことがないからなあ。京都大学の中山さんだったら、分かるかもしれないけど、このボード見てるかな?

                        英人

[6167] Re:スズキ>だと思います 
2003/4/28 (月) 23:02:13 きんや
有難う御座いました。
又疑わしい個体でも見つけたら、レスいたします。

[6168] スズキ>有明海型スズキ>向井さんとこ… 
2003/4/29 (火) 06:20:27 小西英人HomePage
▼ きんやさん

 ぼく、きんやさんが、スズキのひとつの型としての「有明海産スズキ」を知っていることを前提に書いていました。有明海には「スズキ」と「有明海型スズキ」がいます。

 ごめんね。

 有明海のスズキは、ちょっとスズキとは違っていて、形態的にも遺伝学邸にも、タイリクスズキと、スズキとの中間型を示します。

 タイリクスズキと、スズキは別種です。「有明海産スズキ」は、その交雑から種分化した可能性があります。これを、種とするか、亜種とするか、種内変異とするか、どう考えるか、京都大学の中山耕司博士たちが、研究を続けています。

 ちょっと詳しいことを、向井さんのHPの写真掲示板に書いたので、興味のある人は参照してみてください。

http://hpcgi2.nifty.com/PhD-mukai/imgboard.cgi

                         英人

[6169] 転載>交雑によって魚類は種分化するか? 
2003/4/29 (火) 06:30:22 小西英人HomePage
▼ きんやさん

 かなり古い話(1997年の魚類学会シンポジウム)になりますけど、交雑によって種分化がおこったのではないかという「交雑による魚類の進化」というシンポジウムのレポートを転載しておきます。

 このレポートの最後に、ちらりと触れている有明海産スズキが、いま、ぼくがいっているスズキで、京都大学の中山博士たちの研究です。

                            英人

週刊釣りサンデー1997年11月9日号より転載
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■交雑によって種は進化する!?
■日本魚類学会年会で熱い議論

魚類の自然界における交雑は進化に関係ないとされてきた分類学上の常識
今年の日本魚類学会年会シンポでその常識にクエスチョンマークがついた

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 かつて「ながさきいしだい」とか「おしょろがれい」とかいう魚が報告された。イシダイとイシガキダイの自然交雑魚が前者、イシガレイとヌマガレイの自然交雑魚が後者であって、研究者が「種」とまちがえ名前をつけたのだけれど、もちろん交雑魚に名前はない。

 自然界で、交雑というのは、まれなケースで、もし交雑しても、それは子孫を残せなくなる一代限りのもの、「種全体」には何の関係もないというのが生物学の常識である。だから和名もつけないし、生物学上もっとも重要で国際動物命名規約という厳密な「国際法」にしばられる学名では、わざわざ、交雑したものには名前はつけないと明記されている。

 ところが、そういう「常識」が通用しなくなり、ひょっとして交雑によっても種は進化しているのかもしれない、教科書は全面的に書き直さなければいけないかもしれない、というようなホットな話が、今年の魚類学会のシンポジウムであった。

 1997年度の日本魚類学会年会が10月10日から14日まで、神奈川県の横須賀市自然博物館で開かれた。

 このうち研究発表は11日から三日間、分類を主にした第1会場と、生態を主にした第2会場にわかれて、15分づつ、次々に発表されていった。

 年会の分類会場の方の全体の流れとしては、DNAをつかった類縁関係の推定などの研究がやはり多かったが、去年の年会のように、DNA万能主義という感じは消えかけていて、DNAを慎重に扱っていたり、また単純にDNAだけの発表には、批判がでていた。

 分類にとってDNA解析は、うまく使えば切り札にはなるが分析のためのひとつの道具にすぎず、やはり骨学などを中心にした形態学があって、それを生態学、行動学、集団遺伝学(これがDNAの解析を扱う)などの、さまざまな側面から検証して、魚類の進化史を解き明かしていかなくてはいけないという感じが強くなっていた。

 進化学でいう相同なのか、相似なのか、つまり、姉妹なのか他人のそら似なのか、こういうのはなかなか数値化できるものではなく、研究者のセンスと勘が重要で、ややこしそうなDNAでも人の勘が重要なのだ。

 そういうところで、釣り人や漁師の持っている情報や知見は最先端の研究者にとっても貴重であり、さまざまな協力関係を持っていきたいと思う。

 今年の年会のもうひとつの特徴としては、ニフティサーブの釣りフォーラムやダイビングフォーラムで活躍しているメンバーを中心に、釣り人や、ダイバーといったアマチュアの参加が見られるようになってきたことで、魚類学会に厚みがでていくだろうと楽しみにしている。

 年会の最終日はふたつのシンポジウムが開かれた。ひとつが「ヨシノボリ類を中心とした両側回遊性淡水魚の生態と進化」もうひとつが冒頭に書いた「交雑による魚類の進化」だ。

 近年のDNA解析技術の精度のアップで、魚類の遺伝学的情報が増えているのだが、そのなかで、特に淡水魚は、交雑で遺伝的多様性を増幅し、あるいは直接交雑で種分化してきた可能性がでてきているのだ。

 シンポジウムの中からギンブナだけを例に簡単に書こう。

 雌性発生(雌だけの単性生殖で発生すること)の起源は種間交雑である。交雑した卵が非減数分裂をして精子を排除すると2倍体の雑種。これが精子を受け入れると3倍体になり、精子を排除すると3倍体雑種。これが精子を受け入れると4倍体になり、精子を排除すると4倍体雑種になる。雑種による自然倍数体の魚が存在するのだ。

 雌性発生で有名なギンブナとは、どうやらこのなかの3倍体種のことで、日本在来の2倍体(これが普通)種、キンブナ、オオキンブナなどと、あと大陸由来の2倍体種などとの雑種で起源しているらしということが分かってきた。こういう自然倍数体集団は、フナ類だけでなくドジョウ類にもみられる。

 植物では、自然倍数体が存在して、それぞれの形態が違い、それが分類の混乱をもたらしてきたが、ひょっとして、魚類でも、そうなのかもしれない。

 種というのは、考えられてきた以上に不安定で、形だけではなく遺伝子まで、どんどん変えるものなのかもしれない。

 そして、ギンブナのように雑種起源の3倍体種ということがはっきりしてくると、いまの学名はつけられなくなる。生物学上消えてしまう。いったい、どう処理したらよいのか。

 また、雌性発生魚のような、いわゆるクローン集団は、種のように環境に対する適応度は高いのか、それとも低いのか。

 さまざまな議論が闘わされたが、もちろん結論はでない。

 コンビナーの方から、進化とは「種分化」なのでしょうか、ひょっとして「種融合」ということも起こっているのではないでしょうか、これからは「種分化」と呼ばず「種形成」とでも呼んで、ひろく「種」と進化の問題を考えていこうではありませんかという呼びかけがあってシンポジウムは終わった。

 現在、淡水魚以外での交雑による「種形成」は報告がない。しかし、有明海産スズキは、交雑起源かもしれないという研究が、すすんでいる。

 もし、「種」とは安定しているという「社会幻想」のうえで放流がどんどん進んできたのだったら、遺伝子の攪乱どころか新しい「種形成」を人為的にしてしまう可能性がでてきた。

 我々は、恐ろしいことをしていないか。心したい。 (英)

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