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[7026] 怪投乱麻>小龍を釣ろうと思った… 
2003/6/23 (月) 11:08:20 小西英人HomePage
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■日本海は夏の色に染まっていた
季節を五官で感じる遊びが釣り■

 「がっちょ」のこと、今週発売の週刊釣りサンデーで書いたので、転載しておきます。

                          英人


■怪投乱麻Vol.97■週刊釣りサンデー2003年7月6日号より転載
============================================================
砂海空の。接するところに幸あり


京都府
由良川河口ででっかく遊んだぞの巻


■小龍を釣ろうと、思った。
       ■
■高知でノドクサリ、東京でメゴチ、神奈川縣三崎でヌメリゴチ叉はメゴチ、静岡縣江の浦でオカゴチ、大阪でガッチョオ、兵庫縣淡路國でノドクサ、明石でテンコチ、香川でネバゴチ、愛知縣三谷町でメゴチ叉はヌメラゴチ、新潟でヘタゴチ(ヘタとは岸の意)、新潟縣寺泊でメカギ、同縣能生でメカショ、タバコゴチ、ミミトジ叉はナメラゴチ、舞鶴でエゴラゴチ(エゴラは苦味の意)、福岡縣福岡でエグリハゼ、熊本でヨドゴチと云ふ。−−ふう。『図説有用魚類千種・正編』(田中茂穂・阿部宗明共著・森北出版1955年)から、田中博士の書いたノドクサリ科ノドクサリの地方名を引用してみた。これはいまネズッポ科ネズミゴチになる。
■その辺に、いくらでもいて、すぐ釣れて、それが個性的だったら、名前など、たくさん生まれるだろう。それは楽しく、頼もしく、海の地方文化の豊かさをあらわすいいことなんだろうけど、魚の話をしようと思うと話がまるで通じず、バベルの塔のように、釣り人が神の怒りを買って言葉をばらばらにされたのかと思ってしまう。ネズッポ科魚類は、その代表である。
■だいたい、その総称が通じない。ネズッポ科といって、きちんとわかる釣り人は少ないだろう。全日本サーフキャスティング連盟では、ネズッポ科の総称として、使われなくなったノドクサリを使っている。だから全日本サーフはノドクサリで通じるが、ふつうには無理だろう。その格好から、マゴチなどのカサゴ目コチ科魚類だと思っている人が多いが、スズキ目ネズッポ科であり、底への適応から同じように上下にひしゃげちゃっただけである。他人のそら似である。そのうえコチ科に東京で一般的な名称の「めごち」と同じ標準和名があったりして、よけい混乱してしまう。ネズッポ科魚類は日本産で三十七種もいて、たがいに似ており、雌雄で姿形が違う種が多いことも、混乱に拍車をかけてしまう。これは、なにも釣り人だけではなく研究者も昔から混乱していて学名も変更されたりしている。
■日本の標準和名の始まりとされるジョルダン・田中・スナイデルの『日本産魚類目録』(東京大学1913年・原文英語)にネズミゴチは、ネズミゴチ、ヌメリゴチは、ヌメリゴチ(三崎・相模)ネズッポ(東京)という名で記載されている。ともに目録といっても白黒ながら全体の図版もあり、雌雄の背鰭の図版もあり間違いないようだ。不思議なのは前掲の『図説有用魚類千種』になると、同じ図を掲げて、ネズミゴチは、ノドクサリになり、ヌメリゴチはアイノドクサリとしていて、アイノドクサリとノドクサリは別種か否か難しい問題であるが、ようやく別種としてあげることができたと田中博士は書いている。大戦を挟んだ四十二年間に、何があったのか。論文をあたることができなかったからわからない。しかし、かなりの紆余曲折があったことは間違いない。
■ともかく、このような混乱から、科の名称さえノドクサリ科とネズッポ科のふたつになり、そのどちらの名称も一般には知られないけれども、釣りをする人なら誰でも知っているという魚ができちゃった。いま図鑑からノドクサリの名前は科名も種名も消えている。ネズッポという標準和名も消えているからグループの総称は、科名の「ネズッポ」を使い、代表魚の「ネズミゴチ」の名くらい知っていてくれたらいいなと思う。全日本サーフは消えた「ノドクサリ」を「ネズッポ」にかえてくれたらいいなと思う。いま、インターネットで「ノドクサリ」を検索すると、ほとんどが全日本サーフ関係、ちょっと仲間うちの符丁のようになりつつある。
■ややこしいから、大阪弁で呼ぶ。ふつう「がっちょ」と呼ばれる魚はネズミゴチが多いが、トビヌメリも多く、あとはセトヌメリ、ハタタテヌメリも区別されず、尾鰭の長いヨメゴチも臭くてたまらないヤリヌメリもあまり区別されない。東京から九州まで、だいたい同じ傾向のようだ。英語では、ネズッポ類をドラゴネットと呼ぶ。小さな龍、もしくは龍の子という意味である。この粋な名は好きだ。李小龍といえばブルース・リーのこと。ネズミゴチを追うときは、頭の中で「アチョー」と奇声を発している。単純だね。
       ■
■小龍を釣ろうと、思った。
■ネズミゴチの雌は第1背鰭に白く縁取りされた派手な黒色円斑がある。ところがこの黒色斑がモルフォ蝶のように青く輝くものが混じって釣れる。とりあえず青斑ネズミゴチと呼んでいるが変である。これは太平洋で釣れることが多く、標本を集めているが、集めれば集めるほど雌雄の斑紋パターンと色彩パターンがつかめない。変異の幅がわからなくなっちゃったのだ。行き詰まったら現場に戻れ。
■中坊徹次博士から、ふつうのネズミゴチを整理し直せと指令がでたのだ。ネズミゴチの雌雄の斑紋と色彩を、じっくりと見てみよう。現場に戻れというわけだ。しかしネズミゴチ、このごろ消えている。なかなか釣れない。このネズミゴチ消滅事件は、砂底が泥をかぶった環境悪化犯人説が根強いが、消えたわけではなく、いるところに行けばいるという研究者も多くて、真相はわからない。けど、投げの範囲では釣れなくなった。
       ■
■京都府の由良川河口で投げていた。梅雨の晴れ間、空は青いが強風が吹きつのっていた。けれども、どかんと広がる砂浜を独占しての投げ釣りは気持ちがよすぎる。さびかないように仕掛けを置いて釣る。きょうはシロギスではない。ネズミゴチなのだ。さびくと十五センチほどのシロギスが、ぽろりぽろり釣れる。触らないように鉤を外して逃がす。持って帰るには可哀想。あとクサフグ、ヒトデ。
■京都大学の実験所が舞鶴にあるから、中坊教授は由良湾に詳しい。ここにはネズミゴチが多いという。けれど、ちょっと時期が早すぎたようだ。しかし気持ちがよい。とにかく気持ちがよい。ネズミゴチを釣らなければならないのに、大きな砂と大きな海と大きな空の接するところで遊んでいる。大遠投して遊んでいる。潮騒が心地よい。
       ■
■遊びすぎ、心ゆったりすると魚など釣れない。ぽろりぽろりぽろりぽろり、シロギスを逃がしているまに一日は終わりネズミゴチに出合えなかった。小龍よ、また来るからね。かくしてまた「また」が増えた。たくさんの「また」が、煌めくからこそ、ぼくの釣りは夢がある。

[7032] Re:怪投乱麻>小龍を釣ろうと思った… 
2003/6/23 (月) 16:33:47 bonchan
▼ 小西英人さん

私も今年に入ってそう思っていました。
ネズミゴチがあんまり釣れない。アオハンどころかクロハンも・・・・・
以前私がここで班無しって言っていたトビヌメリがやたらと釣れるのに、ネズミゴチはなかなか釣れませんね。
この土曜日も田曽白浜・宿浦とキス釣りに出かけましたが、クロハンは1匹、それもお帰り願わないとかわいそうなくらいのサイズだったのでお帰り願いました。
トビヌメリはいっぱい釣れたんですけどね。
春頃は時期的なものかなとも思ってたんですが、そーじゃないような・・・・去年はたくさん釣れてたのにね。

[7033] Re2:怪投乱麻>小龍を釣ろうと思った… 
2003/6/23 (月) 17:03:18 小西英人HomePage
▼ bonchanさん

 ネズッポ科って、案外、繊細な生態を持っています。中坊博士は、ネズッポ博士なのですが、同じ湾の中でも、砂地、泥、砂礫底などで、また、潮通しのいいところ、悪いところなど、それぞれで、ネズッポの種が変わるそうです。

 これは「棲み分けや」と感動したのが、はまるきっかけだったとおっしゃっていました。

 ネズミゴチは内湾の浅いところの、きれいな砂地を好みます。

 どうも、そういうところが泥をかぶりだしているのではないかと思います。

 環境悪化に敏感なんですね。

 ヤリヌメリは泥を好みますから、そのうちに「臭がっちょ」ばかりになったら、どうします?!

                            英人

[7046] Re3:怪投乱麻>小龍を釣ろうと思った… 
2003/6/24 (火) 08:24:01 bonchan
▼ 小西英人さん
> ▼ bonchanさん

>  ヤリヌメリは泥を好みますから、そのうちに「臭がっちょ」ばかりになったら、どうします?!

そうなったら釣りの楽しみ一つ無くなっちゃいますよ。
がっちょ釣れたら、背鰭上げて見るのが一つの楽しみになってますからね。

でも、ネズミゴチが釣れないって言うことは、海の底が砂から泥に変わってきてるって事ですかね。とすればキスも居なくなる??

西潟さんの言うように、こんな気持ちの良さそうな浜で思いっきり投げたいですね。あんまりとばせんけど・・・・・

[7047] Re4:怪投乱麻>小龍を釣ろうと思った… 
2003/6/24 (火) 09:45:17 小西英人HomePage
▼ bonchanさん

 正確に言うとシルトっていうんですけど、砂と粘土の中間の大きさのものが河川から流入して海底に堆積しているらしいのです。これで、砂を海水が通らなくなり、酸素量が減るようですね。イカナゴなども、海底の砂取りと、このシルトで壊滅的にやられているという話もあります。

 ただ、こういう因果関係って、なかなか難しいですから、原因はわかりませんよね。

 釣り人として、大阪湾や、瀬戸内からネズミゴチは消えたと思うのですが、大阪湾を調査している研究者などは、そんな実感はないなあという人もいます。群れの消長というのは、ひとつの特質ではあるから、そういうサイクル的なものかもしれません。

 シロギスも砂を好みますが、たぶん、シロギスより、ネズミゴチの方が、きれいな砂がなければいけないようです。

 佳人、その性、必ず清らかなり…なんていえませんものね。

 ぼくは、だいたい、あの馬面は間抜けで異様だと思っています。ネズミゴチの、おちょぼ口の方が可愛い…?!

                        英人

[7038] Re:怪投乱麻>小龍を釣ろうと思った… 
2003/6/24 (火) 01:15:31 西潟正人
▼ 小西英人さん

こんな所で投げてんのかぁ、いいなぁ!いっしょに、天空を仰いでる感じですよ・・・。いいなぁ、写真。

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