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[15043] 魚雑>きましたきました! 
2004/12/6 (月) 17:02:50 小西英人HomePage
▼ みなさん

 本日、日本魚類学会の『魚類学雑誌』Vol.51,No.2 と"Ichthyological Research" Vol.51,No.4 の2冊が届きました。

 日本産フサカサゴ科オニカサゴ属魚類(Scorpaenidae:Scorpaenopsis)の分類学的検討 本村浩之 吉野哲夫 高村直人

 トップにありました、ありました!

 これを待っていたのです。ところが、日本語ですが、えらい大論文で、ちょっとゆっくり読めるときでないといけませぬ。

 本村さん、ごくろうさまでした。バージョンアップ作業が、一段落したら、オニカサゴ属を直しますので…。すみません。

 英文版、IR のほうに、かいさんたちの論文がありますね。クラカケトラギスに色彩2型あるのですが、ミトコンドリアDNAでやると、たがいに独立の種であるとなったようです。土佐湾です。ちょっと気をつけなければ…。これ、昔、さとうさんに標本を頼まれたのですが、ぼくは釣れませんでした。

 トラギス科の Parapercis xanthozona (Bleeker,1849) の和名は使っちゃ駄目よというのもありました。これ、このまえ、ぼくが、うっかりしまくって、和名を使うのは問題ありなんて、WEB魚図鑑登録魚種なのに、うめいてしまった、コクテントラギスのことです。

 これ、ややこしいのですが、とにかく蒲原先生が1938年に採って、コクテントラギスの和名をつけたのは、実は、コクテントラギス Parapercis xanthozona (Bleeker,1849) ではなくて、カモハラトラギス Parapercis kamoharai Schultz,1966 だったようなのです。そのために、日本産の Parapercis xanthozona (Bleeker,1849) が採れたときに、コクテントラギスの和名を使うと、ややこしくなるよと、そういうことです。

 2003年に、日本産の Parapercis xanthozona (Bleeker,1849) を報告した今村博士が、この2003年の論文では和名に触れていないとして、新和名、オジロトラギスを提唱してはります。

 ああ、ややこしく書いたかなあ。

 コクテントラギスの和名は、オジロトラギス、でっせということです。

 たぶん、こちらが採用されるでしょう。

 オニカサゴ属の整理の時に、コクテントラギスも、オジロトラギスに直しておきます。

                            英人

[15054] 魚雑>ピンジャロが鹿児島から記録されました 
2004/12/6 (月) 20:22:13 小西英人HomePage
▼ みなさん

 魚雑、ばらばら見ていますと、フエダイ科セダカタカサゴ属の、ピンジャロ Pinjalo pinjalo (Bleeker,1850) が、鹿児島から記録されて、日本産魚となり、チカメタカサゴになっています。

 外国産の、ピンジャロを、日本産の、チカメタカサゴに直しておきました。解説に、下の一文を追加しておきました。

 『魚類学雑誌』Vol.51,No.2,2004年11月号で、「チカメタカサゴ Pinjalo pinjalo の日本水域からの初記録」岩槻幸雄ほかという論文が載った。これは鹿児島県肝属郡佐多町伊佐敷沖合で採れた1個体が、Pinjalo pinjalo (Bleeker,1850) と同定され、成魚の日本初記録となったもの。日本産魚となったのでチカメタカサゴ」という和名がつけられた。このチカメタカサゴという名は、『南シナ海の魚類』久新健一郎ほか、1982年で、南シナ海から採られた個体に、新和名として提唱されていたものである。

 いやあ、いろいろ動いているなあ。この世の中は…。     英人

[15281] 魚雑>オニカサゴ属>8種が12種に大整理された! 
2004/12/17 (金) 07:29:40 小西英人HomePage
▼ みなさん

 このボードにも出入りしてくださっている、シドニー博物館の本村浩之博士の論文が発表されました。

 本村浩之・吉野哲夫・高村直人『日本産フサカサゴ科オニカサゴ属魚類(Scorpaenidae:S.)の分類学的再検討』魚類学雑誌, 51(2):89-115 2004.11

 これにより、日本産のフサカサゴ科オニカサゴ属は、7種+変異型だったのが、12種になり、新和名が5種について提唱されました。

 この大整理に基づいて、【WEB魚図鑑】を修正しようと思いましたが、いま、ちょっとトラブルのあとなので、もうちょっとシステムの様子を見てから直します。

 どのように修正するか…。ここに書いておきます。ややこしいでえ。

 なお、本村さんたちは、オニカサゴ属を、原則的には頭部の棘の形状で分けています。この特徴は、非常に書きにくく、釣り人には理解しにくく、写真でも分かりにくいので、この特徴以外の形態を、論文から、お借りして解説していますので、ちょっと識別しにくいです。これらは、またデータが集まるたびに変えていこうと思っています。なにせ、ややこしくて…。

                               英人

■オニカサゴ属は、体色も、斑紋も、形態も、変異が大きく、分類学的に混乱していて、『日本産魚類検索』(中坊徹次編 2000年 東海大学出版会)で、中坊により以下のように整理されていた。

①ヒメサツマカサゴ Scorpaenopsis iop Nakabo, Senou and Masuda,1993
②コガタオニカサゴ S. brevifrons Eschmeyer and Randall,1975
③ミミトゲオニカサゴ S. sp.
④オニカサゴ S. cirrosa (Thunberg,1880)
⑤オニカサゴ変異型 S. cirrosa (Thunberg,1880)
⑥サツマカサゴ Scorpaenopsis neglecta Heckel,1837
⑦セムシカサゴ S. diabolus Cuvier,1829
⑧ウルマカサゴ S. oxycephala (Bleeker,1849)

 その後、世界的に、整理と新種の記載が続き、本村浩之・吉野哲夫・高村直人『日本産フサカサゴ科オニカサゴ属魚類(Scorpaenidae:S.)の分類学的再検討』魚類学雑誌, 51(2):89-115 2004.11 によって、日本産オニカサゴ属が整理されて、12種になり、そのうちの5種に、新和名が提唱された。

①ヒメサツマカサゴ S. cotticeps Fowler,1938 (シノニムとして学名変更)
②ヒュウガカサゴ S. venosa (Cuvier,1829) (※新和名)
③イヌカサゴ S. ramaraoi Randall and Eschmeyer,2002 (※新和名)
④コガタオニカサゴ S. vittapinna Randall and Eschmeyer,2002 (誤同定による学名変更)
⑤マルスベカサゴ S. macrochir Ogliby,1910 (※新和名。小笠原産の1個体による日本初記録)
⑥ミミトゲオニカサゴ S. possi Randall and Eschmeyer,2002 (学名が確定、中坊の、ミミトゲオニカサゴと、オニカサゴ変異型は、この1種になった)
⑦オニカサゴ Scorpaenopsis cirrosa (Thunberg,1880)
⑧オオウルマカサゴ S. oxycephala (Bleeker,1849) (学名変更により、※新和名)
⑨サツマカサゴ S. neglecta Heckel,1837
⑩ニライカサゴ S. diabolus Cuvier,1829 (セムシカサゴの改称。※新和名)
⑪トウヨウウルマカサゴ S. orientalis Randall and Eschmeyer,2002 (ウルマカサゴとされていたものが新種記載された。※新和名)
⑫ウルマカサゴ S. papuensis (Cuvier, 1829) (学名変更)

 このように、変わっていないのは、オニカサゴと、サツマカサゴだけという、大整理が行われている。

 以下に、【WEB魚図鑑】に暫定的にいれる解説を列挙しておく。

■オニカサゴ Scorpaenopsis cirrosa (Thunberg,1880)
■眼隔域は浅く、体側面から見て目の上方の約4分の1が頭部の輪郭から突出する。最長背鰭棘は第4、5棘。臀鰭第2棘は第3棘より、やや長い。胸部と腹部をのぞく体と、各鰭に黒色斑点が散在する。
■千葉・新潟県以南~鹿児島、伊豆諸島。中国、香港。東アジア固有種。沿岸域にすむ。

■ヒメサツマカサゴ Scorpaenopsis cotticeps Fowler,1938
■涙骨下縁の後方棘は単尖頭。胸鰭鰭条は16~17,体高は高い。背鰭基底前方で体の背縁が隆起しない。最長背鰭棘は第4,5棘。臀鰭第2棘は第3棘より、やや短い。
■本種は、1993年に中坊らにより新種記載され、ヒメサツマカサゴ S. iop とされたが、2002年、ランドールらによって新参シノニムとされた。2004年、本村らもシノニムとし学名を変更したが、和名は、そのまま、ヒメサツマカサゴとするのが妥当とした。
■神奈川県三浦半島以南の黒潮域。~西太平洋、西インド洋。

■ニライカサゴ Scorpaenopsis diabolus Cuvier,1829
■背鰭基底前方で体の背縁は著しく盛りあがる。胸鰭内側の上方、第1~第6鰭条の間に楕円形の黒斑がある。最長背鰭棘は第3棘、臀鰭第2棘は第3棘より長い。
■本種は、1990年に高村により日本初記録として記載され、1993年に中坊によりセムシカサゴの和名が提唱された。しかし「せむし」は、身体障害者による差別用語であり、標準和名には不適切であるとして、2004年、本村らにより、ニライカサゴと改称が提唱された。「にらい」は沖縄の言葉で海の彼方を意味する。標準和名は、本来、混乱を避けるため改称は控えるように運用されてきた。しかし、差別用語などが問題となり、日本魚類学会でも2003年3月25日、評議員会により、日本魚類学会標準和名検討委員会が設置され、検討を始めた。標準和名の差別用語問題が提起がされてから、初めての論文による和名改称の提唱となった。
■小笠原、伊豆諸島、高知県以南、琉球列島。~インド・太平洋域。

■マルスベカサゴ Scorpaenopsis macrochir Ogliby,1910
■背鰭基底前方で体の背縁は著しく盛りあがり、吻は短い。胸鰭内側の外縁付近に1黒色帯があり、この黒色帯は上方ほど濃くなる。胸鰭内側の基底には複数の黒斑がちらばる。最長背鰭棘は第4棘、臀鰭第2棘は第3棘より長い。
■サツマカサゴとよく似ており、それと誤同定されていた。2002年にランドールらによって日本で初めて記録され。2004年本村らによって標準和名が提唱された。本種の吻が短く、丸みを帯びた頭部から「まる」で、頭部の各棘が鋸歯状にならないので「すべ」で、マルスベカサゴと命名された。
■小笠原父島、沖縄島。~太平洋域。

■サツマカサゴ Scorpaenopsis neglecta Heckel,1837
■背鰭基底前方で体の背縁は著しく盛りあがる。胸鰭内側の外縁付近に1黒色帯があり、この黒色帯は上方ほど濃くなる。胸鰭内側の基底には複数の黒斑がちらばる。最長背鰭棘は第4棘、臀鰭第2棘は第3棘より長い。
■中部以南の黒潮域、琉球列島。~西太平洋、東インド洋。

■トウヨウウルマカサゴ Scorpaenopsis orientalis Randall and Eschmeyer,2002
■胸鰭内側の基部上方には眼径とほぼ同大で神格の不明瞭な1黒斑がある。最長背鰭棘は第3棘、臀鰭第2棘は第3棘より、やや長い。
■1997年に小笠原諸島の個体が、2000年には宮崎県の個体が、S. oxycephala として報告されたが、2002年にランドールらによって新種記載された。2004年本村らによって、標準和名が提唱された。ウルマカサゴに似ているので命名された。
■小笠原諸島、宮崎県南郷町。

■オオウルマカサゴ Scorpaenopsis oxycephala (Bleeker,1849)
■胸鰭内側に顕著な顕著な色彩的特徴はない。最長背鰭棘は第3棘、臀鰭第2棘は第3棘はほぼ同長。
■1990年に高村が記載した S. oxycephala を、1993年に中坊は日本初記録種として、ウルマカサゴの和名を提唱した。しかし、これは S. papuensis であった。標準和名は学名に対応するのではなく、その種の実体に対応するため、ウルマカサゴという標準和名は、2004年本村らによって、S. papuensis に移され、本種には、オオウルマカサゴが提唱された。本種は標準体長が 340mm に達するので、「おお」がつけられた。
■沖縄島。インド・西太平洋域。

■ウルマカサゴ Scorpaenopsis papuensis (Cuvier, 1829)
■胸鰭内側に顕著な顕著な色彩的特徴はない。最長背鰭棘は第3棘、臀鰭第2棘は第3棘より、やや長い。
■「ウルマカサゴ」という標準和名は、S. oxycephala につけられていたが、2004年に本村らは、それを S. papuensis の誤同定とした。そして標準和名は、学名につけられるのではなく実体につけられるとして、ウルマカサゴを本種に移し、S. oxycephala にはオオウルマカサゴの標準和名を提唱した。
■和歌山県、琉球列島。~インド・太平洋域。

■ミミトゲオニカサゴ Scorpaenopsis possi Randall and Eschmeyer,2002
■胸鰭内側に顕著な顕著な色彩的特徴はない。最長背鰭棘は第3、第4棘、臀鰭第2棘は第3棘より、やや長い。
■1993年に中坊は、耳棘に余分な棘を持つ標本を、便宜的にエシュマイヤーの記載していた Scorpaenopsis sp. として、ミミトゲオニカサゴの和名を提唱した。この標本は所在不明になっているが、2004年に本村らは、こういう特徴を持つものは、S. possi と同定し、学名を確定した。1993年に、中坊がオニカサゴ変異型とした標本も、本村らは、S. possi と同定した。
■伊豆諸島、対馬、琉球列島。~インド・太平洋域。

■イヌカサゴ Scorpaenopsis ramaraoi Randall and Eschmeyer,2002
■上顎前部に、涙骨隆起が突出する。胸鰭内側に顕著な顕著な色彩的特徴はない。最長背鰭棘は第4棘、臀鰭第2棘は第3棘より、やや長い。
■2002年のランドールらが記載した S. ramaraoi と同定される、日本産の標本を、2004年本村らが日本産初記録として記載し、イヌカサゴの標準和名を提唱した。本種の上顎前部に突きだしている尖った涙骨隆起が、イヌの犬歯を連想させるので、イヌカサゴと命名された。

■ヒュウガカサゴ Scorpaenopsis venosa (Cuvier, 1829)
■胸鰭内側に顕著な顕著な色彩的特徴はない。最長背鰭棘は第3、第4棘、臀鰭第2棘は第3棘より、やや長い。
■2002年にランドールらは、宮崎県から得られた5個体の標本を本種とした。2004年本村らは、日本での分布地にちなんで、ヒュウガカサゴという標準和名を提唱した。
■高知、宮崎。~インド・西太平洋域。大陸棚上にすむ。

■コガタオニカサゴ Scorpaenopsis vittapinna Randall and Eschmeyer,2002
■胸鰭と臀鰭に幅の広い黒色帯がある。最長背鰭棘は第4、第5棘、臀鰭第2棘は第3棘より、やや長い。
■1990年に高村が記載した S. brevifrons を、1993年に中坊は日本初記録種として、コガタオニカサゴの和名を提唱した。2004年本村らは、これを S. vittapinna とした。そのために学名が変更されている。S. brevifrons はハワイ諸島の固有種である。
■沖縄島。オーストラリアとハワイ諸島をのぞく、インド・太平洋域。

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