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[25843] 金魚とは? 
2006/5/10 (水) 22:00:48 MKTHomePage
あまり意味のない質問だったらすみません。


金魚に学名があるというログをネットに見つけたのですが、金魚はひとつの種として認められているのでしょうか。自分としては一応、飼育種には学名がつかないとは認識しているのですが、ちょっと気になりました。

金魚はCarassius auratusであるというログがあるのですが、これはギンブナなどを指すのでは?あれ?でもキンブナも・・・あ・・・でもキンブナはsubsp.2と着いています。キンブナは学名が正式でない?


ふと、金魚なんか検索しだしたら、底なし沼に落ちてしまいました。
金魚と学名、あとフナ属の学名はどういうことに落ち着いているんでしょうか。
ネットのログに惑わされてと思われるかもしれませんが宜しくお願いします。



[25845] どうしても学名で 
2006/5/10 (水) 22:37:50 英人@携帯電話
書きたいのならば、ギンブナの学名でいいと思います。しかし、これの学名はどうするのかというのは、凄い問題でして…
いま出先なので、明日、帰ってから、また書きますね。

[25862] Re:金魚とは? 
2006/5/11 (木) 16:01:11 小西英人HomePage
▼ MKTさん

 金魚を学名で呼ぶのは、呼びたい人は呼んだらいいと思うけど、あまり意味がないとは思いますよ。

 まあ、コイ科フナ属のギンブナから、強引に作られた魚であるという意味では、学名で呼んでもいいのですが…。

 コイ科フナ属の学名は難しくて、なかなかなのですが、【WEB魚図鑑】は、『日本産魚類検索・第2版』に準拠していますので、これとおなじ学名を使っています。

 この整理は、近畿大学の細谷和海教授が、ライデン博物館のタイプ標本をあたって整理したものです。詳細は、別途報告するとありますが、たぶん、まだまとめられていないと思います。

 ナガブナとキンブナは、亜種と考えられていますが、亜種小名は決定できていません。

 コイ科に冷たくて、乱暴な研究者は、あんなもの、ヨーロッパも、中国も、日本の、Carassius auratus にしておけばいいんだ…というような人もいます。

 だいたいギンブナとは雑種起源であるというおことが近年分かってきていまして、それならば、命名規約上、学名はつけられなくなります。

 1997年の魚類学会レポートを、下に入れておきますので、参考にしてください。

■1997年魚類学会
===========================================
 かつて「ながさきいしだい」とか「おしょろがれい」とかいう魚が報告された。イシダイとイシガキダイの自然交雑魚が前者、イシガレイとヌマガレイの自然交雑魚が後者であって、研究者が「種」とまちがえ名前をつけたのだけれど、もちろん交雑魚に名前はない。
 自然界で、交雑というのは、まれなケースで、もし交雑しても、それは子孫を残せなくなる一代限りのもの、「種全体」には何の関係もないというのが生物学の常識である。だから和名もつけないし、生物学上もっとも重要で国際動物命名規約という厳密な「国際法」にしばられる学名では、わざわざ、交雑したものには名前はつけないと明記されている。
 ところが、そういう「常識」が通用しなくなり、ひょっとして交雑によっても種は進化しているのかもしれない、教科書は全面的に書き直さなければいけないかもしれない、というようなホットな話が、今年の魚類学会のシンポジウムであった。
 1997年度の日本魚類学会年会が10月10日から14日まで、神奈川県の横須賀市自然博物館で開かれた。
 このうち研究発表は11日から三日間、分類を主にした第1会場と、生態を主にした第2会場にわかれて、15分づつ、次々に発表されていった。
 年会の分類会場の方の全体の流れとしては、DNAをつかった類縁関係の推定などの研究がやはり多かったが、去年の年会のように、DNA万能主義という感じは消えかけていて、DNAを慎重に扱っていたり、また単純にDNAだけの発表には、批判がでていた。
 分類にとってDNA解析は、うまく使えば切り札にはなるが分析のためのひとつの道具にすぎず、やはり骨学などを中心にした形態学があって、それを生態学、行動学、集団遺伝学(これがDNAの解析を扱う)などの、さまざまな側面から検証して、魚類の進化史を解き明かしていかなくてはいけないという感じが強くなっていた。
 進化学でいう相同なのか、相似なのか、つまり、姉妹なのか他人のそら似なのか、こういうのはなかなか数値化できるものではなく、研究者のセンスと勘が重要で、ややこしそうなDNAでも人の勘が重要なのだ。
 そういうところで、釣り人や漁師の持っている情報や知見は最先端の研究者にとっても貴重であり、さまざまな協力関係を持っていきたいと思う。
 今年の年会のもうひとつの特徴としては、ニフティサーブの釣りフォーラムやダイビングフォーラムで活躍しているメンバーを中心に、釣り人や、ダイバーといったアマチュアの参加が見られるようになってきたことで、魚類学会に厚みがでていくだろうと楽しみにしている。
 年会の最終日はふたつのシンポジウムが開かれた。ひとつが「ヨシノボリ類を中心とした両側回遊性淡水魚の生態と進化」もうひとつが冒頭に書いた「交雑による魚類の進化」だ。
 近年のDNA解析技術の精度のアップで、魚類の遺伝学的情報が増えているのだが、そのなかで、特に淡水魚は、交雑で遺伝的多様性を増幅し、あるいは直接交雑で種分化してきた可能性がでてきているのだ。
 シンポジウムの中からギンブナだけを例に簡単に書こう。
 雌性発生(雌だけの単性生殖で発生すること)の起源は種間交雑である。交雑した卵が非減数分裂をして精子を排除すると2倍体の雑種。これが精子を受け入れると3倍体になり、精子を排除すると3倍体雑種。これが精子を受け入れると4倍体になり、精子を排除すると4倍体雑種になる。雑種による自然倍数体の魚が存在するのだ。
 雌性発生で有名なギンブナとは、どうやらこのなかの3倍体種のことで、日本在来の2倍体(これが普通)種、キンブナ、オオキンブナなどと、あと大陸由来の2倍体種などとの雑種で起源しているらしということが分かってきた。こういう自然倍数体集団は、フナ類だけでなくドジョウ類にもみられる。
 植物では、自然倍数体が存在して、それぞれの形態が違い、それが分類の混乱をもたらしてきたが、ひょっとして、魚類でも、そうなのかもしれない。
 種というのは、考えられてきた以上に不安定で、形だけではなく遺伝子まで 、どんどん変えるものなのかもしれない。
 そして、ギンブナのように雑種起源の3倍体種ということがはっきりしてくると、いまの学名はつけられなくなる。生物学上消えてしまう。いったい、どう処理したらよいのか。
 また、雌性発生魚のような、いわゆるクローン集団は、種のように環境に対する適応度は高いのか、それとも低いのか。
 さまざまな議論が闘わされたが、もちろん結論はでない。
 コンビナーの方から、進化とは「種分化」なのでしょうか、ひょっとして「種融合」ということも起こっているのではないでしょうか、これからは「種分化」と呼ばず「種形成」とでも呼んで、ひろく「種」と進化の問題を考えていこうではありませんかという呼びかけがあってシンポジウムは終わった。
 現在、淡水魚以外での交雑による「種形成」は報告がない。しかし、有明海産スズキは、交雑起源かもしれないという研究が、すすんでいる。
 もし、「種」とは安定しているという「社会幻想」のうえで放流がどんどん進んできたのだったら、遺伝子の攪乱どころか新しい「種形成」を人為的にしてしまう可能性がでてきた。
 我々は、恐ろしいことをしていないか。心したい。 (英)


> あまり意味のない質問だったらすみません。
>
>
> 金魚に学名があるというログをネットに見つけたのですが、金魚はひとつの種として認められているのでしょうか。自分としては一応、飼育種には学名がつかないとは認識しているのですが、ちょっと気になりました。
>
> 金魚はCarassius auratusであるというログがあるのですが、これはギンブナなどを指すのでは?あれ?でもキンブナも・・・あ・・・でもキンブナはsubsp.2と着いています。キンブナは学名が正式でない?
>
>
> ふと、金魚なんか検索しだしたら、底なし沼に落ちてしまいました。
> 金魚と学名、あとフナ属の学名はどういうことに落ち着いているんでしょうか。
> ネットのログに惑わされてと思われるかもしれませんが宜しくお願いします。
>
>

[25866] Re2:金魚とは? 
2006/5/11 (木) 19:38:47 MKTHomePage
▼ 小西英人さん


ありがとうございます。全部読みました。
イワナ属も不安定と思っていましたが、フナ属のほうが遥かに根が深いですね。

よどみのある川で釣りをしますとギンブナが沢山釣れます。小型の魚ながら
ギュンギュン竿をしならせ、たくましい躍動感を感じさせてくれます。
そんな魚が名無しになる可能性もある、科学の崖っぷちにいるというのは、
ひとりの釣り人としては悲しいものがあります。

日本人に深く馴染みのある魚が、学問の都合で金魚と同様の扱いにならないように
願うばかりです。科学としての「整理」も大切なのでしょうけど、ギンブナだけに関しては、なにか特別なものを感じます。

そんな感情は科学をダメにすると言われちゃいそうですけどね。

それにしても、「らんちゅう」「でめきん」などを見ると、人は遊びすぎだ!と
思います。


関係ないのですが、某ホームセンター付属の某ペット屋では、オヤニラミが3000円で売られていました。こんな田舎まで連れてこられたのかと可哀相に思いました。


すみません。
随分、話がズレました。ギンブナを基底にして混乱しているんですね。
大切な話、ありがとうございます!

[25870] Re3:金魚とは? 
2006/5/11 (木) 21:07:04 syou
▼ MKTさん

ちょっと蛇足ですが・・・

少し魚の話から脱線します。

動物命名規約では天然の種のみを対象にしております
(品種、雑種は対象外)。

だから金魚自体がフナの改良種であるために、フナの学名が使用されてしまいます。
その場合の和名はあくまでギンブナです。
(小西さんのおっしゃるとおりそのフナ自体が色々問題を残しておりますが・・・)

この手の話は、身近なところではイヌがそうです。

セントバーナードだろうが、チワワだろうが、ドーベルマンだろうが、

和名学名という面から見れば全て、イヌ Canis lupus familiaris

になります。

[25872] Re4:金魚とは? 
2006/5/12 (金) 00:26:50 西村
横槍ですみません。参考程度として記させて頂きます。
「日本産魚類検索・第2版」以降のRDB↓では
http://www.biodic.go.jp/rdb/reference1_fish.html
キンブナ Carassius auratus subsp.2
ギンブナ Carassius sp. と改められています。

私が聞いた情報によると遺伝的にキンギョの祖先は日本には分布しない
フナ類だそうで大陸に生息するアジアブナと呼ばれているそうです。
キンギョ、アジアブナ、ゴールドフィッシュなど和名は
色々でしょうがギンブナやキンブナとは区別すべきものです。

キンギョは種としてはCarassius auratusと記せると思いますが、
亜種が存在することとを認めるとCarassius auratus auratusになります。
http://fishbase.org/summary/SpeciesSummary.php?id=271

日本のフナ類の中に希にキンギョとの交雑と思われる個体も見られ、
日本のフナ類の突然変異ではないと考えると外来種で、
夏祭りの後に川に捨てる人がよくおられますが大きな問題だと思っています。

[25874] Re5:金魚とは? 
2006/5/12 (金) 07:03:29 小西英人HomePage
▼ 西村さん

 ありがとうございます!!

 金魚は、対象としておもしろいことはおもしろいと聞いています。

 だって、背鰭がないなんて、ふつうの分類学的な常識で言えば、少なくとも目ぐらいの違いを、平気で出しているのですからね。

 ダーウィンも育種の研究をかなりしています。

 それを聞きながら、ぼく、ちょっと嫌っていたので、勉強不足が露呈しましたね。

 フナ属の学名も、Nakabo,2002 まではあたったのですが、細谷さん、またかえはったのかな。

 淡水魚は、これからもよろしくお願いいたします。     英人

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