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[32228] 教えて下さい。ギンガメアジ? 
  【魚図鑑参照】
2007/3/27 (火) 03:00:03 REC
◆画像拡大
毎々お世話になりありがとうございます。
よく釣れる魚ですが、「ここで見分けろ」でも確認しており、勝手にギンガメアジと認識しておりますが如何でしょうか?
写真では確認いただけませんが体側の横帯は5本あります。

採集場所:ブラジル ペルナンブーコ州 パイーバ
採集方法:サーフトローリング 弓ヅノ
採集月日:3月24日
全長:26cm

お願い致します。

[32229] ブラジル>アジ科>ホースアイジャック 
2007/3/27 (火) 08:04:57 小西英人HomePage
▼ RECさん

 おっしゃるようにギンガメアジ属ではありますが、ギンガメアジとは違います。

 ブラジルにも、数種のギンガメアジ属がいますが、特徴から(すみません稜鱗の数が読めません。もうちょっと大きな写真をアップしてくださると助かるのですが…)ホースアイジャックだと思います。

 下にフィッシュベースをいれておきます。

■Horse-eye jack
Caranx latus Agassiz,1831

http://www.fishbase.org/Summary/speciesSummary.php?ID=1935&genusname=Caranx&speciesname=latus

 スペイン語名は Jurel ojon で、最後のoには、発音記号が付きます。

 いまの硬骨魚類は、テーチス海に起源しています。

 テーチス海とは、古地中海ともいわれます。

 ちょっと、ぼくの文章から引用しましょう。


=================================================
 「大地中海」とか、「古地中海」とか、聞いたことがあるだろうか。これはテーチス海という古生代から古第三紀に、チモール、スマトラ、インドシナ半島、ヒマラヤ、パミール、ヒンズークシ、小アジア、地中海方面にひろがっていた古海洋のことで、アンガラ大陸とゴンドワナ大陸にはさまれた広大なこの海は、浅く、温暖な時代が多く熱帯から亜熱帯の海洋動物群が多く生息した。第三紀の中頃に北上したインド亜大陸がユーラシア大陸にぶつかり、ヒマラヤができ、東西に分断された。いまの地中海はテーチス海の名残とされる。エベレストから浅海性の海洋動物の化石が発見されるのは、海底が持ち上がったのがエベレストだからである。


 『地理的分布から見たタイ型魚類の分散』(赤崎正人・1970年)を参考に、クロダイ属の長い長い旅路を見てみよう。タイ科魚類は白亜紀の終わりから第三紀のはじめに、テーチス海で出現したらしい。白亜紀なら恐竜に原始タイ科魚類は喰われちゃったかもしれない。地中海にタイ科魚類の種数が多くタイ科の原型に近い形質を持ったものが多いのは、テーチス海起源の証拠とされる。


 クロダイ属は、東南アジア、東インド諸島を小さな分散の中心として、インド洋、オーストラリアおよび日本の、いろいろな方向に分散したといわれる。東太平洋には深海があり強い海流もあったので、これらが「東太平洋障壁」となり、分散を遮断したので、日本とオーストラリアが分布の限界になった。


 一般に、各大洋の西岸に部分的な分布の中心地があるといわれる。それは暖流がそれらの沿岸にぶつかり、魚類の移動の終末地域になっていたこととテーチス海からの「分散」の影響が残っているためだといわれている。つまり日本は分布の中心から、どんどん送り込まれる周辺地域、「吹き溜まり」にあたるわけだ。日本近海が約四千種の魚類の生息する豊かな海になっているのは、こういう地理的に恵まれた特性があったためなのだ。日本に生まれ落ちたことを釣り師は感謝しなければ。


 分布の研究は動物地理学と呼ばれる。ある分類群の祖先種が発祥して長い年月をかけて種分化をしながら地理的に拡大してきた結果がいわゆる「分布」なのである。ただ、どこにいるかという研究ではない。特殊化した種が分散の中心にいて原始的な種は周縁部にいるという説と原始的な種が発祥地の近くにいて特殊化した種は発祥地から遠いところに分布するという、ふたつのまったく逆の考え方がある。とにかく硬骨魚類は先のタイ科魚類のようにテーチス海起原のものが多く、種分化しながら分布を拡大し、東太平洋障壁により、日本が終着点と思われるものが多い。西太平洋と東太平洋は魚類相が違う。北の吹き溜まりが日本であり、南の吹き溜まりがオーストラリア・ニュージーランドで、赤道をはさんで泣き別れたと思われる種が多くそれを反赤道分布という。
=================================================

 以上は、テーチス海から東に旅立った太平洋の魚の話ですが、テーチス海から西に旅立った魚たちは、南北アメリカ大陸が分布の限界になります。

 このように、インド・西太平洋域の日本と、西大西洋、海洋生物地理区としては西インド区に近いブラジルとは、まったくの対極にあります。

 汎世界分布する魚をのぞいて、ほとんどの魚の種は、日本とブラジルで違うと思ってもいいのです。

 ちなみに、この東太平洋障壁のために、東太平洋、南北アメリカ大陸の太平洋岸の魚種も、日本の魚種と違うことが多いのです。

 テーチス海という温暖で平和な海域で、ぬくぬくと育った硬骨魚たちは、楽園を追われて苦難の道に旅立たち激しく種分化したのです。その苦難のおかげで、ぼくくたちは楽しませてもらっているのです…なんて、適当な観念的なことを書くと研究者たちに叱られてしまうのです。ぼくの師匠もうるさいからなあ。

                          英人

[32230] Re:ブラジル>アジ科>ホースアイジャック 
2007/3/27 (火) 08:14:56 小西英人HomePage
▼ RECさん

 よろしければ図鑑投稿してくださいね。       英人

[32243] Re2:ブラジル>アジ科>ホースアイジャック 
2007/3/27 (火) 21:27:25 REC
◆画像拡大
▼ 小西英人さん

毎々早々に詳細なる解答を頂き感謝申し上げます。

尚、日本との時差が12時間遅れの事情もあり、こちらからのレスポンスが遅れました事、お詫び申し上げます。

念のため稜鱗部分を再度添付致します。

ご指示の図鑑投稿をさせて頂きます。
(載せて頂けるのは大変嬉しいものですね)

REC

[32244] Re3:ブラジル>アジ科>ホースアイジャック 
2007/3/27 (火) 21:44:48 小西英人HomePage
▼ RECさん

 ホースアイジャックの場合、稜鱗は32−39です。

 その範囲内のようですね。         英人

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