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[34523] 図鑑裏話6>アナログおじん奮闘記 
2007/5/25 (金) 07:00:31 小西英人HomePage
▼ みなさん

 あらあら、ちょっと気を抜いていたら、図鑑裏話が過去ログにはいっています。裏話6から仕切り直しますね。図鑑裏話1〜5は、ここにあります。

http://fishing-forum.org/cgi-bin/zk_bbs/zcyclame.cgi?ol=200705&tree=c33683

 この裏話6,きちんと書きたいのですが、ちょっとばたばたしていて、途中でごめん。つづきは、来週になると思います。

 もうちょっとしたら、『遊遊さかな大図鑑』刷りだし立ち会いで東京に出かけます。凸版印刷の板橋工場で、きょうの昼過ぎから印刷機が唸り、『遊遊さかな大図鑑』の印刷が始まるのです。

 ぼく、昔から本屋が好きで、あの印刷インキのにおいが好きでした。

 強烈ですけど、印刷工場は、あのにおいに満ちています。あの、においのなかで活気に溢れる印刷工場が大好きです。

 『さかな大図鑑』も、『新さかな大図鑑』も、『釣魚検索』も、『釣魚図鑑』も、刷りだしの立ち会いに行きました。印刷工場の職人たちと編集者が、直接話ができるのは、この機会しかありません。

 この刷りだし立ち会いを夢見ながら、毎日毎日がんばってきましたので、ほんと、感無量です。

 詳しくは聞いていないのですが、刷りの調子を変えないために、印刷機は一台にして、24時間体勢で刷っていくと思います。それでも一か月近くかかるのではないかと思います。製本まで入れると、ほんと印刷って、大変な作業です。

 『遊遊さかな大図鑑』は、16ページ1折で、25折からできています。

 2丁がけ、つまり32ページずつ刷るのかなと思いますが、聞いてはいません。とにかく、この刷りだしを、2台〜3台くらいは見たいなあと、わがままを申し込んであります。

 順調であれば1台だけみて帰るかもしれませんし、わがままを言って、数台見るかもしれません。

 いままでは図書印刷の沼津工場が多かったのですが、凸版は初めてです。

 日本一、いや、世界に冠たる凸版印刷の板橋工場…、行く前から楽しみです。

 とにかく2,3日、留守にしますね。

                            英人

==================================================================
図鑑裏話6>アナログおじん奮闘記

 アドビの「イラストレーター」でレイアウトし、インクジェットプリンターで打ち出して、『遊遊さかな大図鑑』のタイ科を世に現してしまったオナログおじんは、強気になってしまった。

 年寄りは単純なのである。

 簡単やんか!

 ただ、イラストレーター自体は、やっぱり!と思った。

 幽霊の正体見たり、枯れ尾花なのである。

 いい加減なソフトである。だましだまして、やっとページレイアウトができるのであって、写真のレイアウトなども最低で、文字組なんか、もうどうしようもない。

 アドビの、イラストレーターの名誉のために申し添えておくが、これは、その名の通り、イラスト描画用のソフトであって、ページレイアウト用、つまりDTPソフトではない。ポスターみたいな一枚物には十分である。

 しかし、400ページの魚類図鑑を、きちんと作れるような「たま」ではない。やっぱりなと思って、なめたために、強気になったんだと思う。

 エンターブレインとの企画会議で、編集は、ぼくやりますけど、レイアウト用紙の編集なら「同じこと」だから、DTPソフトを使ってやりましょうかといった。

 「1週間もあれば覚えられるでしょう!」

 なんて、強気の発言をしてしまった。

 印刷業界に多いマックは堪忍してね。ウィンドウズでやるのならば、ぼく、DTPを生まれて初めて使ってもいいですよ。あんなものは、どれでも一緒でしょう。どのソフト使っても、1週間も練習すれば、すぐに使えるようになれるでしょう…。

 なんて、年寄りのくせに大見得をきってしまった。

 いくらアナログおじんでも、図鑑にイラストレーターは無理だと思っていた。ぼくはクォークのエクスプレスを提案されるだろうと思っていた。

 いまさらDTPソフトを覚えるのは面倒くさいなあと思っていた。しかし、フリーで編集者をしている以上は、いつまでも、DTPなんて…と逃げてばかりもいられないのである。めんどうでも、ここは一発、図鑑のために覚えようと思ったのである。

 エンターブレインからの提案は、予想と違った。

 「インデザインでやりましょうか」

 「インデザイン????????????」

 アドビの新しいDTPソフトであるらしい。ま、いいや。大阪の編集者仲間に聞いたら、誰かに教えてもらえるだろうと「たか」をくくって返事をしてしまった。

 「分かりました。1週間で覚えましょう」

 ぼくは、この一言で、苦しむことになる。怖い先生の宿題をできなかった小学一年生の恐怖を味わうことになったのだ。

 それは…。

 また書こう。                  英人


[34543] Re:図鑑裏話6>アナログおじん奮闘記 
2007/5/25 (金) 22:38:31 MKTHomePage
▼ 小西英人さん


なんと、凸版印刷の板橋工場!
昔、転勤したときに自分が住んでいたマンションのすぐ裏にありました。
会社に行くのに毎日脇を通っていました。
コンクリの塀が高いんですよね。

ということは、都営三田線でいらっしゃる???
あ〜・・・すごく懐かしいです。

ちなみに、そのときは土日を利用して山形に戻り、徹夜で釣りをするという、
かなり精力的な行動をとっていました。
とても東京で釣りを気になれなかったもので・・・。



[34545] 刷りだし>うまく行っています 
2007/5/26 (土) 06:28:14 英人@携帯電話
MKTさん
奇遇ですね。そうです。三田線の志村坂上にある凸版印刷の工場です。
さすがに技術が高くて素晴らしい印刷でした。今日も見に行きますが、美しい仕上がりを確認するのと印刷所のなかを喜んで回って邪魔をするだけになるでしょう。
それにしても出来上がりが楽しみです。
しかし、苦労して編集しましたがそれが大勢の人の手でたくさん刷られて積み上げられているのを見ると、なにか悪事がばれて日のしたに曝されてしまったような、なんともいえない恥ずかしさがあります。

英人@携帯電話

[34570] Re:刷りだし>うまく行っています 
2007/5/26 (土) 21:23:49 MKTHomePage
▼ 英人@携帯電話さん

今は印刷の出来具合に満足している頃でしょうか。
どんな印刷具合なのか、我々もぜひ見たいですね〜。

[34580] Re2:刷りだし>うまく行っています 
2007/5/27 (日) 06:21:30 小西英人HomePage
▼ MKTさん

> 今は印刷の出来具合に満足している頃でしょうか。

 満足して、きのう帰ってきました。

 凸版の職人たちも、一所懸命刷ってくれていました。

 板橋工場、ちょっとふるくて雑然としており、通路なども狭いのですが、それだけに伝統のある印刷工場という感じがしました。新鋭機も多いのですが、伝統を感じてしまいます。

 オルゴールを鳴らしながら広い通路を紙がうろうろしているような最新工場と、またひと味違います。

 それにしても、一所懸命調整して刷ってはるのを、ただ待って、見て、にこにこ喜んでお礼を言うだけのことなのに、ひどく疲れてしまって…。昨日の夜帰って、へろへろになっていました。

 まだ、体が本調子と違うのかなあ…、情けない。      英人

[34594] Re3:刷りだし>うまく行っています 
2007/5/27 (日) 11:59:20 MKTHomePage
▼ 小西英人さん


>  凸版の職人たちも、一所懸命刷ってくれていました。

なんというか、話を聞くだけで、こちらも嬉しくなります。


>  板橋工場、ちょっとふるくて雑然としており、通路なども狭いのですが、それだけに伝統のある印刷工場という感じがしました。新鋭機も多いのですが、伝統を感じてしまいます。

そうなんですか。
高い塀に囲まれているので、どんな様子かは知りませんでした。
老舗だったんですね。


>  まだ、体が本調子と違うのかなあ…、情けない。

ゆっくり調子を戻して、小西さんも釣りを!
小西さんもガサガサなどはいかがですか?(笑


[34607] Re3:刷りだし>うまく行っています 
2007/5/27 (日) 16:57:03 ツロット・キャプ10
▼ 小西英人さん
> ▼ MKTさん
>

> 今は印刷の出来具合に満足している頃でしょうか。
>  満足して、きのう帰ってきました。
>  まだ、体が本調子と違うのかなあ…、情けない。      英人


  良かったけれど・・・。本調子じゃない?それはダメじゃないの。落ち着いたら男の釣りをやりましょう。その前に親父さんと一緒に音海で亜細亜の仲間との釣りですが・・・。

[34608] Re4:刷りだし>うまく行っています 
2007/5/27 (日) 17:13:05 小西英人HomePage
▼ ツロット・キャプ10さん

 亜細亜釣魚の大会、よろしくお願いいたします。

 ぼくは来週、大潮だし、徳島・高知県境にでも走って、車の中で寝泊まりしながら、2晩ほど夜釣りでもやろうかなと…、ふつふつと思っております。

 フエダイがいいはずです。久しぶりに、潮時表と、天気図とをにらんでいます。

 それにしても、きょうはダウンです。

 印刷所では、エンターブレインの連中と、待ち時間にわいわいがやがや楽しい時間を過ごしたのですが…、ひょっとして東京に行ったから「はしか」かな?

 ぼくみたいな、おっさんは、大昔に盛大にかかっているから、そんなことはないでしょうね。熱も出ていないしね。

 とにかく、しばらくは腑抜けのようです。

                         英人

[34690] Re5:刷りだし>うまく行っています 
2007/5/28 (月) 14:59:14 ツロット・キャプ10
▼ 小西英人さん
> ▼ ツロット・キャプ10さん
>
>  亜細亜釣魚の大会、よろしくお願いいたします。
>
> 英人君

  英人君がオジンなら私は何ぁに?それにしてもフエダイはいいですね。最近は少々波が高くて・・・。あちら方面どうでしょうか?普通なら毎年、4月から通っているんですがね。

[34692] Re6:刷りだし>うまく行っています 
2007/5/28 (月) 17:11:29 小西英人HomePage
▼ ツロット・キャプ10さん

 釣りの計画をいろいろたてていますが、まあ、本が出るまでは、ばたばたするかなあという感じです。

 まあ、今週の大潮は満月だから、次の闇夜回りに行こうかな…なんてね。

                          英人

[34719] Re7:刷りだし>うまく行っています 
2007/5/29 (火) 17:25:30 ツロット・キャプ10
▼ 小西英人さん
> ▼ ツロット・キャプ10さん
>
>  釣りの計画をいろいろたてていますが、まあ、本が出るまでは、ばたばたするかなあという感じです。
>
>  まあ、今週の大潮は満月だから、次の闇夜回りに行こうかな…なんてね。
>
>                           英人
> そのうち、ゆっくり楽しみましょう。久しく一緒に竿を出してないので・・・。本島の小坂港以来かな?

>                          康竿

[34720] Re8:刷りだし>うまく行っています 
2007/5/29 (火) 17:55:40 小西英人HomePage
▼ ツロット・キャプ10さん

> > そのうち、ゆっくり楽しみましょう。久しく一緒に竿を出してないので・・・。本島の小坂港以来かな?

 そうですね。もう、大昔ですね。あのとき、ササウシノシタと、マトウトラギスと、マエソ類数種と、なんやかや、かなりの魚を撮影しました。

 また、行きましょう。ぼくも瀬戸内の島も好きなのです。

 そういや、「瀬戸内少年野球団」のロケをした島、行こう行こうと思いながら行けていません。

 行こうかなあ…。                  英人

[34721] Re:図鑑裏話6>アナログおじん奮闘記 
2007/5/29 (火) 18:28:13 海人
▼ 小西英人さん

>  「インデザインでやりましょうか」
>  「インデザイン????????????」


結構やっかいなソフトですよ。Illustratorになれてる人には、むしろQuarkよりとっつきやすいんですけどね。

>  「分かりました。1週間で覚えましょう」
>  ぼくは、この一言で、苦しむことになる。怖い先生の宿題をできなかった小学一年生の恐怖を味わうことになったのだ。


この先が楽しみです。ついでにPhotoshopもマスターすれば、完璧ですよ!

[34737] Re2:図鑑裏話6>アナログおじん奮闘記 
2007/5/29 (火) 19:23:05 小西英人HomePage
▼ 海人さん

> この先が楽しみです。ついでにPhotoshopもマスターすれば、完璧ですよ!

 いやあ。刷りだしで、ほっとしたのか、ばてています。

 あしたくらいから、また続きを書きますね。

 それにしても、DTPなど人間のやることではない…などといっていたのが、とにかく覚えて、400ページの図鑑を創ってしまったのだから、われながら、自分で自分を褒めてやりたいなあと、有森みたいに思っています。

                        英人

[34778] 図鑑裏話7>インデザインは賢いか、アホか 
2007/5/30 (水) 23:16:23 小西英人HomePage
 「分かりました。1週間で覚えましょう」

 ぼくは、この一言で、苦しむことになる。怖い先生の宿題をできなかった小学一年生の恐怖を味わうことになったのだ。

 まずアドビのDTPソフト、インデザインを買う。

 そしてマニュアルを買った。訳が分からない…。

 結局10冊近く買った、これが、値段が高くて、また馬鹿にならない。しかし、マニュアルを読んでいると凄い!

 あれもできる! これもできる! それもできる! なんでもできる!

 実際にやってみると、途中まではできるけど、あれもできない! これもできない!

 大阪の編集仲間に聞いてみると、みんなクォークのエクスプレスでやっていて、インデザインは知らないという。

 ぼくのパソコン師匠に電話して聞いてみると(ちなみに彼はソニーでパソコンの開発をしたこともある)集中講義に行くのが早いという。調べてみると、大阪にあったが、数十万円もいる。数十万円を払って、400ページの魚類図鑑のレイアウトを、ほいほいと教えてくれるのだったら行くけれど、たぶん、400ページの図鑑レイアウトをした者などいないだろうから、いい加減な恐れがある。

 万事窮した。

 けど、やらなければいけない!

 インデザインの取っつきに苦しみながら、エンターブレインと、印刷所と、フォントでもめていた。

 簡単に言うと、ぼくは、モリサワが嫌だったのである。あんなものは、おもちゃのフォントで、フォントもどきである。まともな編集者なら、相手にしてはいけないフォントなのである。

 ぼくが編集者になったとき、まだ、活字であった。手動の写真植字が実用化されたところで、活字のように、一文字一文字、職人が字母を彫り込んでいく字体と違い、文字の力が弱いと酷評されていた。

 しかし、写研の石井明朝だけは違った。活字に比べれば弱かったけれども非常に繊細なラインを持っていて、それは芸術であった。

 それから、写研は電算写植にして、フォントも、明朝、ゴチックから、いわゆる新書体と呼ばれた、ナール、スーボ、ゴナなどなど、次々に発表して、どれも斬新でバランスがよかった。

 写植をやっていたのは、ほかに、モリサワ、リョービなどあったが、どんどん追い詰められていった。

 写研王国を日本に築いたのである。

 ぼくは写研ではじめて、写研に育てられたのである。

 なぜ、写研が駄目になったか、長くなるから書かないけれど、マックおたくとくっついたモリサワが、DTPを席巻し、そのうちに、はじめはDTPなどおもちゃだと笑っていた印刷所も、DTPに移行するにつれ、モリサワでなければフォントでないようになってしまった。

 写研は、どこに行ってしまったのだろう…。

 とにかくモリサワ。おもちゃのような明朝に、ゴナもどき、ナールもどき、とにかく「もどき文字」である。しかし、あまりにも、変な文字が氾濫すると、それが、ぼくのようなプロにも当たり前に見えるようになるらしくて、それが、ぼくは本当に嫌だった。

 だいたい、あんな、もどき文字に、1書体あたり10万円くらいだったか、あほらしくて払えない。

 エンターブレインの「おたく」の岩井さんに、そういって逃げまくった。いやだ、モリサワだけは使わない!

 だいたい高いじゃないですか!

 説明が面倒で、値段が高いから嫌だと逃げていた。

 「それがね、パスポートというのがでてね。一年、どの書体も使い放題で5万円というのがあるんですよ」

 そう説得された。

 ぼくがなんでモリサワに毎年5万円もの上納金を納めなければいけないのか…。しかし、いまの日本の印刷事情では、それしか方法がなかった。写研にあれほどいじめられたモリサワが、こんどは日本中のクリエーターをいじめている。祇園精舎の鐘の声が聞こえないのか…。

 泣く泣くモリサワの軍門に降った、情けない編集者になってしまった。

 どうぞ「転び編集者」と呼んでね!

 そういう大騒ぎを演じ、エンターブレインと凸版印刷を困らせていた。イラストレーターで創りあげていたタイ科のページを、インデザインで創り直すのだが、フォントが決まらず、モリサワ以外でやっていたので、最終的にモリサワで決まり、大あわてでパスポートを購入して、また、基本段組を変えるのに大変だった。

 書体が変わると、全体のイメージが変わる。

 そうすると、大きさから、文字数から、行間の空きから、すべてを作り直さなければいけないのだった。とにかく、ぼくは写研の文字になれていたから、モリサワは、一からすべてをやらなければいけなかった。

 助かったのは、インデザインは、文字組を、ポイントでも、Q数でもやれることだった。ぼくは、活字も写植もいじっていたから、ポイントも、Q数もいじれたが、日本の本を編集するときには、ミリ、センチ単位である、Q数が楽なのだ。ポイントは、インチ単位である。

 級数とか、歯送りとかと呼んで、Qとか、hとかを単位にするから、門外漢には難しいだろうが、これは、0.25mmを単位とした非常に明快な規格である。10Qの文字とは、2.5mmで送ったらべた組みになる大きさの文字である。送るというと、ぴんとこないだろうが、写植というのは、もともと、ネガフィルムに文字があって、それを印画紙に焼き付ける、写真技術によりできあがった文字組であり、このネガフィルムを送る歯車のピッチが0.25mmだったのである。だから文字送りとか、行送りとか呼び、それを歯送りと呼び、hであらわすのである。12Qの文字は、べた送りなら12h、行送りは半角送りにしたければ18hにすればいいのである。

 こういう写植の文字規格も、そのまま使えるのがインデザインであって、楽であった。また詳しくは書かないが、編集作法というのはグリッド法という、とにかく格子状に組み立てていくのだけが基本であるが、インデザインは、レイアウト用紙をつくりやすいし、それはグリッド法を忠実に守れやすいものであった。

 また、見だし類も、どんどんつくっては置いておけて、ほんとうにプロの編集者の心をくすぐるソフトではあった。

 しかし、マニュアルのように、なかなか自動でつくれないのだ。

 レイアウト用紙を、なんどか作り直し、基本2段組と、3段組をなんとかつくった。モリサワの、もどきフォントのために、苦労はしたが、かなり何度も試行錯誤をして、やっと、魚類解説本文、解説本文、魚類見だし、中見だしなどをつくりだめていった。

 何度も何度もやるのだが、基本的には、打ち出してみなければ感じがつかめない。インデザインで、インクジェットプリンターを動かしていたのでは、仕事にならない。

 泣く泣く、A3のカラーレーザープリンターを購入した。これでも遅いが、まだましである。一昔前に比べたら安くなったけど、それでも、高い。そのうえにトナーが高い。結局、図鑑の編集の間に、3回、トナーを買った。1回にほぼ6万円いるから、トナーだけで18万円かかった勘定だ。こんなに高く付くとは、ほんと、知らなかった。

 なにがペーパーレスや!

 パソコン屋の嘘つき!

 などなど、夜泣きしながら、せっせと基本を創りあげていったのである。1週間どころか1カ月かかった!

 それでも、見だしは自動でできず、あれもできる、これもできるとマニュアルに書いていることは、なにひとつできないまま、東京のエンターブレインにでかけて、凸版印刷の「おたく」江幡さんと対峙したのである。

 あれができない! これができない! それもできない!

 ぼくは江幡さんに訴えた。

 江幡さんは、おたくらしく落ち着いて、にやりと笑い、あれもできる! これもできる! とマニュアルに書いているでしょう。インデザインは、そんなに賢くないんですよ。あれもできません、これもできません、それもできません…と、呵々大笑し、ぼくができなかったところを手動で、こうやるんですよと、あっという間にやってみせた。

 なるほど、自動でやらずに、半手動でやると、問題なく動く!

 そんなことマニュアルには書いていないぞ!

 一か月苦しんだのになあ…。

 しかし、これは、ぼく見つけたんですけど、バグでしょうと、得意になって報告した。江幡さんは、また、にやりと笑い、これ、よく陥るんですよね。バグではないです。ここをね、こういじると直ります。

 ぼくが1週間以上苦しんで、バグだと結論したところを、眼の前で、すぐに動かしてしまった。

 結局、一か月苦しんで、無理だと判断し、どう報告しようかとエンターブレインと凸版に会ったのだが、恐るべし「おたく」、江幡さんに1時間ほど教えられて、なんの問題もなくなってしまったのである。

 これは、やるしかあるまいて。

 結局、基本的には、この打ち合わせだけで、まったくはじめてのDTP編集を、インデザインを使ってやってしまったのである。

 恐るべし「おたく」、恐るべし「ど素人」のぼく…。

 それにしても、インデザインには驚いた!

 プロの編集者が、レイアウト用紙をつくって、試行錯誤を繰り返しながらレイアウトを仕上げていくのに、非常に、いいソフトになっている。たくさんのマニュアルにあるように、なんでもできるわけではない。なんにも自動ではできない。

 しかし、割り切って使うと、これほど、いいソフトはない。

 凄い!

 とにかく、家にこもってパソコン相手に、400ページのカラーものの魚類図鑑のレイアウトと版下を、すべて創ってしまえるのである。

 こんなこと、数年前まで、夢のまた夢であった。

                            英人

[34783] Re:図鑑裏話7>インデザインは賢いか、アホか 
2007/5/31 (木) 07:19:17 MKTHomePage
▼ 小西英人さん


字体というものに特許があることは全く知りませんでした。
「○×明朝体」など、時の流れの中で、なんとなく名前が付いたものと思っていました。


写研を調べてみました。
繊細でスラッとしたラインをもつんですね。柔らかい文字です。


モリサワというのは、普段どこにでもある、どん!とインパクトのある文字に思えました。


いやぁ・・・勉強になりました。

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