2000年3月12日

0学占星術でこけること

和田アキ子が交通事故に遭った。

というだけなら、まあ人の噂も七十五日というくらいで、世の中にはもっと
大変なこともたくさんあることであるし、特に興味をひくことはなかった。

ただ、これが「日刊スポーツ芸能欄の占いが、あんまり悪いので
ゲンをかついで近くの神社にお参りに行こうと横断歩道を渡っている時に」
などという話になると、ぐっと引き寄せられてしまう。

プロレスが好きなので、日刊スポーツのwebページは毎日のように見ている。
(最近、橋本真也はちょっとかわいそうだな。)

ここにある「0学占星術」が、和田アキ子の事故以来、話題になっているそうだ。
明日をも知れぬ自営業の身の上であるからには、占いにしろゲンかつぎにしろ、
安定的職業の人たちに比べれば、けっこう気になるものであって、
ぼくもここ数日、チェックするようにしていた。

で、3月9日のこと。

この日、あるいは今年指折りのイベントになるかもしれないという
仕事があって、ある人に会うことになっていた。
うまくいけば面白いけれど、そうでなければ机を半分に叩き割って退席、
ということも考えられるという、非安定的職業ならではの
ダイナミズムにあふれた(苦笑)、仕事であった。

その日の朝、くだんの占いにアクセスしてみたら、これがひどい。
×マークがずらりと並んで、「波乱の神秘日」を意味するという
☆マークも二つある。大意としては「布団かぶって寝てなさい」という感じであって、
こんな日に大事な仕事が入ったからにはよほど注意せねばならんなと
家人に冗談をいいつつ、出かけていった。

途中、太陽のそばに虹ができる「虹彩」が見えた。
吉凶相半ば、しかも強力という相であり、前回これを見た時は、
伊豆沖海底噴火が起こったことなど思い出す。

仕事はうまくいった。
先方は実直な人柄で、初対面にも関わらず本音で話し合うことができ、
先の方向性まで見えてきた。

ヘビーな一日が終わった安心感につつまれて、駐車場の車に向かっていた午後
10時過ぎ、植え込みの段差にけつまずいて、こけ倒れてしまった。
左手右足、右顔面強打。眼鏡は砕けて飛び散り、こめかみ近くをアスファルトに
打ちつけて、血が流れている。あちこち、じんじんしびれて痛い。
眼鏡の壊れようを見ると、怪我がこのくらいで済んだのは幸運だったかもしれない。
前に三角テトラで転んだ時は肩を折ったもんなあ。

しかしそれにしても、なのである。

人は、おおむね自分を認めてほしいという性質があって、占いが外れたことは
無視でき、当たったことは素直に受け入れるものであるにしても、
そして、この日の占いが当たらなかった人が大半であったにしても
(全国で「木星人」が全員こけたとは思われない)、
実際にこのような目に遭ってみると、ある種の信念というものが
芽生えてしまうことを抑えられない。

「人はともあれ、ぼくにはこの占いは当たるのだ」と。
あれ、それって論理的にどこか矛盾してない?。

そういう時には、こう言い放つ。
「この傷の痛みがなによりの証拠」

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