2000年6月12日

ブラックバスへの「逆風」

あんまり長いこと書いていなかったものだから、こないだ転んだ時に、
打ちどころが悪くてどうかなったんとちがうかと思った人が、2人いるらしい。
おあいにくさま。元気である。

あれからいろんなことがあったけれど、自分のことを書いても仕方ないので
省略するとして、釣りフォーラムでは【移植・放流を考える】会議室がスタート。
ものすごい勢いで発言が続いた。

もともとは、美談として語られることが多い魚の放流も、種の多様性保全などの
生物学的なところからみれば非常に問題が出てくるケースもあるので、
そこのところ、みんなで知識や情報を持ち寄りながら認識を深めてみようと
開設したわけだけれど、蓋をあけてみれば、おりしも世はブラックバスへの
逆風が吹きまくっており、釣りフォーラム内でもバス、特にバス業界やメディアへの
批判が相次いでいる。

考えてみれば、バス釣りくらい「業界」が主導してきた釣りは他に例がなく、
このくらい大きなお金が動いた釣りも、過去にない。
バスプロ、メーカー、釣り具店、雑誌、TVなど、他人様の商売に
ケチをつけるつもりはないけれど、その「商売」が結局は密放流によって
成り立ってきていることに対して(河口湖など第五種漁業権を認定している場所も
あるけれど、それにしても、もとはといえば密放流にはちがいない)、
あまりにも目をつぶってきすぎた。

自分はやっていない。だけど、バスが目の前にいるのだから商売は
させてもらう。何か悪いか。という姿勢に対して、はっきりと「悪い」と言い出したのが
現在の世論であり、釣りフォーラムの中でもそういう声が多くなってきている。
これまで「ゲーム系」ということでわりと近かったフライマンの間からも
バス問題を指摘する声があがってきている。

一方、今までバスを釣ってきた人たちの心情は複雑だ。気づいたら目の前に
バスがいる。釣具屋の売り場面積の半分はバス用品だ。雑誌の出版点数もバスが
一番多い。この中で、普通にバス釣りを始めて楽しんでいたら、いつのまにやら
自分自身も何か悪いことをしているような雰囲気になってきた。
アイドルだったバスプロって、いったい何だったのだろう。

ぼく自身のことをいえば、すでにバス歴は28年以上になる。当然、密放流の
歴史や、それに乗っかるプロと称する者たちの浅はかさをいやになるほど見てきて、
その中で、すっかりと釣師としてのプライドを傷つけられてしまった。
それでも、ぼくの場合は15年以上前に自分でそのことに気づいて、
自分で悩むことができたから、まだましなのだろう。いったい、こんな風に、
ひとつの釣りが逆風にさらされて釣り人そのものが傷つくということが、
過去にあっただろうか。

世間の騒ぎはいずれおさまるとして、とりあえず、今、考えなくてはならない
のはスモールマウスバスのことだろうと思う。ラージマウスと同じ道を歩ませ
るわけにはいかない。
釣り人の誇りのために、釣りフォーラムはスモールについてはノーと申し上げ
ることにした。あんな魚はいらない。これ以上、悪ふざけを続けてはいけない。

「普通の釣り人」の手にバス釣りを取りもどすために、
発言を始めていこうと考えている。

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