2004年10月16日

CDを買うこと

ひさしぶりに自転車に乗る生活を始めてみたら、町の景色がこれまでと少しちがって見えてきた。

ぼくの住んでいる宮崎市は、昔は観光都市としてけっこう栄えたようだけれど、今はどこにでもあるほこりっぽい地方都市であり、ここに住み始めて2年で飽きてしまったくらい退屈な町なのだ。鹿児島というかなり特殊な町で育ち、久留米という、これもかなり特殊な町で、タウン誌編集長という圧倒的に激動の日々の中で大人になった身としては、宮崎の気の抜けたカルピスソーダのような毎日は、もう苦痛といえるほど退屈に感じることがある。

でもね。自転車でうろうろしてみると、なんというのか、町のひだのようなものが見えてきた。時速15キロの移動速度で眺めてみると、見過ごしていたお店や景色がたくさんあるのだな。面白い。

そんなわけで、市内の中心部をあてどなくうろうろして、ヴィレッジ・バンガードという本屋に立ち寄る。もともと本より雑貨やCDが多い店だけれど、しばらく寄らないうちに、この傾向に拍車がかかり、ほとんど「壁を空けておくのもなんだから、本を並べてみました」という程度にしか、本がない。もったいない。

で、ブルーノートレーベルのベスト版がいくつか置いてあるのを見て、ちょっとジャズを聴いてみたくなった。なくしてしまったジョー・パス&レッド・ミッチェルの「いそしぎ」がほしいなあと、そこからエスカレーターに乗って同じビルにあるタワーレコードへ。

ここではブルースのイベントをやっていた。聴く人いるのかしらん。でも、せっかくの趣旨は大事にせねばということで、ミシシッピ・ジョン・ハートとジェリー・リードと、ジョー・パスを2枚買う。都合4枚。最近は、レンタルばかりだったから、こういう買い物はひさしぶりだ。

大体、ジャズだのブルースだののレコードは、1枚のアルバムに1曲気に入るのがあれば大当たりなのだから、初めて聴くアルバムをレンタルして、コピーを焼こうなどと思ってはいけないのだ。

やはり初めてのアルバムは、ちゃんとお金を払って、「んにゃろハズレだったら承知しないぞ、んにゃろ」と、気合を込めて聴かなくてはならない。100円だか200円だかで借りてきて、「いい曲があったら儲けものだなあ」などというさもしい根性ではいかんのである。これまでの間違った過去を強く反省しつつ、CDをショルダーバッグに詰め込み、吉村町北中甲の自宅へと帰る。

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