かすみに寄ること
ぼくの最近の夜のコースは、「明母野」などの居酒屋でご飯もしくは打ち合わせ、のちラウンジ(店の人はここはクラブであると言い張るのだが、どうもちがいがよくわからない)というコースが多いのだが、「そんじゃねー」と友達もしくは仕事関係者と別れてしまってから、一人でニシタチをうろうろしている時などに、きっと思い出すのが「かすみ」である。
最近、70歳になられためちゃくちゃパワフルなおばちゃん(どうみてもせいぜいおばちゃんで、正確にはママと呼ぶべきパワーと若さを備えたおばちゃんである)が一人でやっている店で、さだまさしが宮崎公演の際に必ず立ち寄る店として、一部には非常に有名なところだ。
さだまさしおよびそのファンにとっては、「宮崎の母」としても知られているのである。
からして、店内にはかすみママとさださんのツーショットだの、石川鷹彦大先生とのツーショットだのの写真が、ところ狭しと張ってあったりする。ギターも置いてあって、もちろん石川大先生ほかのサインも入っている。7人も入れば満杯になるような小さな店なのだが、なかなかどうしてあなどれないのだ。
その「かすみ」にひさしぶりに寄ってみた。場所は、焼肉明月館のすぐそばとだけ教えておきましょう。そういえば、「かすみ」も「明母野」も、最初に連れてきてくれたのは、参議院議員になっている松下新平君だったことを、今思い出した。新平君、ありがとう。気に入って通っているよ。
もともと、さだまさしのお父さんがお世話になったという医者が宮崎にいるところから始まった縁なので、かすみのお客は医療関係者がけっこう多い。今夜も、一人は宮崎大学医学部教授、一人は開業医の院長、一人は女性だがやはり医療関係らしい。
http://www.smile-kun.co.jp/kasumi/sada/sada_book.htm
この3人が3人とも、ギターがうまいのであった。
女性は、見事なアルペジオで竹田の子守歌を歌った。教授は以前も会ったことがあるのだが、サイモン&ガーファンクルの名手である。若き院長はクラシック畑で、店備えつけのフォークギターで「魔笛の主題による変奏曲」のさわりを、こともなげに弾く。
すごいもんではないですか。
こちらは、もう酔っぱらってしまっているので、ギターは手にせず鹿児島の男がいかにバカであるかということを力説する係となる。
すると鹿児島出身のかすみママが、さらに鹿児島の男がいかにバカであるかということを、フォルテシモのオブリガードで強調する。もう、とてもここには書けないような話なのだが、死ぬほど笑ったのであった。
一部紹介する。
鹿児島の城山には、ホテル街がある。ホテルといっても、城山観光ホテルのような立派なものだけではなくて、もうちょっと色っぽい方面のものもたくさんあり、話はもちろん、この方面のこと。
ある日、ある時、ある人が。
首尾よく女の子を連れて車で城山を登っていったと。すると、上から降りてきた車がゆるやかに停車して、ウインドウがするすると開き、ドライバーの男がなにやら言っている。
なんじゃろかいとこちらもウインドウを開けると、向こうも女の子を連れた男が、
「いっぱいやっどー。入れんどー。」
と、親切に大声で教えてくれたのだというのですね。
こういうバカは、たしかに鹿児島にしかいないかと思われ、やはり鹿児島の男はバカだと、かすみママはうれしそうにビールを飲んでいたのだった。
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