2005年5月 3日

鮎近くして牧水

午前中、東郷町の若山牧水記念館と生家を取材。目の前を流れている坪谷川は、幼少時の牧水が父親と鮎を釣った川であって、牧水には鮎の歌が多い。

ふるさとの日向の山の荒渓の流清うして鮎多く棲みき である。

故郷の渓荒くして砂あらず岩を飛び飛び鮎は釣りにき とくると、
鮎師なら、その川相まで目に浮かぶだろう。いい川である。「砂あらず」という牧水の川自慢もほほえましい。なんで砂がないのがいいのか知りたい人は、鮎釣りをする人に聞いてみてください。

われいまだ十歳ならざりき山渓のたぎつ瀬に立ち鮎は釣りにき
おもほへば父も鮎をばよく釣りきわれも釣りにきその下つ瀬に
上つ瀬と下つ瀬に居りてをりをりに呼び交しつつ父と釣りにき
鮎つりの父が憩ふは長き瀬のなかばの岸の榎の蔭なりき
釣り得たる鮎とりにがし笑ふ時し父がわらひは瀬に響きにき

なぞは、亡き父をしのぶ望郷の歌としては、切ないほど美しい。
飲み泣きながら書いたにちがいないのだ。

囮の鮎生きのよければよく釣れきをとりの鮎をいたはり囲ひき
鮎かけのをとりの鮎をかこふべく石菖の蔭にその箱かくしき

鮎釣りをしない人にはわからないんじゃないかと思う。われわれはわかる。

釣り暮し帰れば母に叱られき叱れる母に渡しき鮎を

ふう。牧水という人、鮎釣り人として好きになってしまったなあ。

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