クロネコの死
今年の契約更改が大荒れで、すでに10人もの離脱者を出した新日本プロレスのブラックキャットが急死した。51歳だったという。
本名ビクトル・マヌエル・マル。メキシコ人。81年4月、新日マットでデビューして、新日80年代の黄金期を前座レスラーとして支えた。若手にとっては教育係であり壁でもあったが最近はレフェリーとして活躍していた。
この人、実は新日の裏の部分、汚れ役を一手に引き受けていた人でもある。普通の流血試合(アクシデントによる流血でないという意味で)で、レスラーがリング下にうずくまっている時には、必ずこの人がそこらにいた。そういう役割の人だった。
これもまたプロレス者の生き方というものだったのだろう。ガイジンである彼が、すべての分別をわきまえた上で、そのような仕事をこなし、新日本プロレスという一時世界最高といえたメジャー団体を影の部分から支えていた。
惜しいし、悲しい。このような人が、こういう死に方をしてはいけない。いつまでも、リング下に落ちた選手にうれしそうに駆け寄る姿を見せてほしかったのだ。右手にカミソリを隠して。

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