2006年11月16日

映画>拝啓天皇陛下様

『拝啓天皇陛下様』(野村芳太郎監督/1963)。

渥美清主演のコメディ。といってもドタバタ軽いばかりではない。また、今の時代にタイトルから想像するような思想的なものも何もない。

「娑婆は地獄。軍隊は極楽」という山田正助(渥美清)は、読み書きは片仮名ならどうにか、という程度。昭和7年に初年兵として陸軍に入隊し、2年後に除隊。その後、日支事変には軍属として参加、第二次大戦が始まると念願通り召集され、中国大陸の戦線をさまよう。

父親は、と問われ「そんなもの、あるかい」と答える彼は母もまた三つで亡くす。それから地獄の娑婆を渡り歩く彼は、演習でその姿をかいま見た天皇への一途な敬慕を抱く。かなりデフォルメされてはいるのだろうが、かつて日本の軍隊は、このような人たちで支えられていたのではないだろうか。軍隊に入って初めて靴をはき、菓子を食べたなどという話も聞いたことがあった。

それにしても、こういう映画を撮ろうという人たちの、その作り手の了見のなんと深いことだろうと思う。ヒトが生きることへの共感と優しい目線がなくては、こういう映画は撮りようがない。それをまたあまさず伝える渥美清の演技のうまさ。「完」の文字が現れて、しばらくそこから動けないほどの余韻のある喜劇だった。

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コメント

と~るさん

ぼくもそう思いました。愛すべきアウトサイダーとでもいいますか。そういう意味ではちょっと毛色はちがいますけど、「無法松の一生」の富島松五郎とか、「男はつらいよ」と同じ山田洋次監督の「馬鹿が戦車でやってくる」や「馬鹿まるだし」の、ハナ肇とかと同じ傾向のキャラクターなのでしょうね。こういう映画、なんともいえない味があって、いいものです。

確かこの映画って、「男はつらいよ」の原点になった映画だと聞いたことがあります。まだ観た事はなのですが・・・

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