憂歌団(2)

1984年のある夜。ぼくは入ったばかりの広告代理店の社長に、久留米市通町の焼鳥屋「縄文」でサケをご馳走になっていた。広告代理店とはいえ、自社媒体を持っており、ぼくは編集希望で履歴書を出し、そのつもりで採用になったのだが、「お前は、世

憂歌団(1)

「あのさあ」とサワダが言った。 「こないだ、博多の憂歌団のライブに行ったわけよ」 「うん」 「ちょっと早く店に着いたと思ってたらさあ、もう店の前は長蛇の列なわけよ」 「うん」 「そいでさ。まあ、並ばなくても入れるかと思ったから、そこ