はじめまして。
@niftyの釣りフォーラムで、サブシスをやらせてもらっている小西英人といいます。ハンドルは英人(ひでと)です。よろしくお願いいたします。
ぼく。ただの釣り好きであり、ただのアマチュアだと思っているのですが、釣りでメシも食っています。プロですね。ただし、たくさん釣るわけでも、かっこよく釣るわけでもありません。どちらかといえば、かっこわるく下手で、なかなか釣れません。
親父が、全日本サーフの会長をしていたこともあって、物心ついたときから、投げ釣りに日本全国を引っ張りまわされ、気がついたら、釣りにどっぷりはまって、気がついたら、親父が週刊釣りサンデーを創刊するといいだし、そのころ大学生だったぼくは、釣りのカメラマンとしてスタートしたのです。
気がついたら、もう47歳、さまざまな釣りを経験してきました。釣って、撮して、書いて、釣り三昧の人生を送ってきています。
1985年に『さかな大図鑑』をつくり、12万部を超えるベストセラーになり、釣り人のみなさんの圧倒的な支持をいただいて、ただただ編集者冥利に尽きました。
それから、魚のことを真剣に考えるようになりました。海は荒廃し、魚も減り、それを実感できる釣り人として、なにか社会の役に立ちたいとも考えたのです。釣り人ほど海の危機を実感している人はいないのに、あまり社会に声を持っていなかったのです。その危機感を、うまく伝えるための第一歩は釣り人が魚の名を知ることだと思ったのです。
1995年に『新さかな大図鑑』をつくりました。これをつくるために、悩みに悩みました。その悩みを、@niftyの釣りフォーラムの【さかな会議室】にぶつけたのです。ここに、いろいろな魚好きの釣り人が集まりました。いろいろ議論しました。そのころ「謎の点々すずき」だったタイリクスズキの情報もそこで集め、標本も全国から京都大学に送っていただきました。釣り人と、研究者をつなぐことに成功したのです。
謎のスズキは中国大陸から養殖のための移入されたスズキであって、日本のスズキとは違うことが京都大学の研究でわかりました。京都大学の中坊徹次博士に『新さかな大図鑑』に記載していただき、タイリクスズキという標準和名も提唱していただけました。このとき、釣りフォーラムで、みんなでやった「魚類研究」というものを、ぼくは忘れません。おかげさまで『新さかな大図鑑』も七万部を突破しました。
ただし、この『新さかな大図鑑』で、あまりにも魚に熱中し、数年間、無理に無理を重ね、結核になり、療養所に放り込まれ、自宅療養とあわせて一年間の闘病生活を余儀なくされてしまいました。
1998年、そのリハビリのために『釣魚検索』という図鑑をつくりました。釣り人が絵合わせだけで、魚の同定をするのは難しいということで、検索図で魚を同定することの専門家である中坊徹次博士と組んで、その魚の部分の写真を見て選んでいくと、知りたい魚が同定できるという、世界でも初めての写真検索図鑑をつくったのです。ちなみに、中坊博士は、『日本産魚類検索 第二版』東海大学出版会,2000という、図による日本産全種の検索図鑑の決定版を出版されています。
2000年には『釣魚図鑑』というのをつくりました。いろいろ釣りフォーラムで議論しているなかで、釣り人が疑問に思うことを、ぼくなりに集めておいて、それをできるだけ解説するようにしたベーシックな図鑑です。
このように、釣りはへたなくせに、また、魚類研究者でもないのに、釣り人と研究者を結んで、魚のことを考えるプロになったのです。ぼくは、ネットの釣り師たちに育てられた、魚のプロだと、みなさまに感謝しております。
【さかな会議室】は、活発な議論の場であり、ぼくはここで育てられ、ここから魚に興味を持つ釣り人たちもたくさん輩出できたと自負していますが、TTY会議室に限界がでてきたのがひとつ、また、画像をやりとりできないという欠陥がありました。それをおぎなうために、釣りフォーラムシスオペのJUNさんは、@niftyの会員向けに、パレット『しおかぜ亭』をつくり、みんなで釣った魚を写真にとって持ち寄る魚類図鑑をつくりました。しかし、@niftyの会員だけのものでした。
これをインターネット上でオープンにして、魚に興味のある人みんなのものにしたいとはじめるのが、この『さかなBBS』です。同時に開設された『WEBさかな図鑑』は、『しおかぜ亭』で、@nifty会員のみなさんがつくりあげたものを、収録しています。これをベースに、また、みんなで積みあげていきたいと思います。
アメリカでよくやる「ポトラック・パーティー」って知っていますか?
■potluck
1ありあわせの食物:take 〜(客が)ありあわせの料理をごちそうになる;《比喩的》でたとこ勝負で選ぶ.
2《形容詞的》参加者各自がごちそうを持ち寄る〈パーティーなど〉:a 〜 picnic
ごちそう持ち寄り形式のピクニック / a 〜 approach to the problem 問題への無定見な取り組み方.
■プログレッシブ英和中辞典 第2版 小学館 1987.より
ぼくは、この『さかなBBS』を、基本的にポトラック・パーティー的な魚類図鑑をつくる場にしたいと考えています。
『ごちそう持ち寄り魚類図鑑』ですね。
ただし、できあがったものが偉いとか、収録数が多い方が偉いというような、ふつうの図鑑ではありません。持ち寄ったごちそうを、わいわいがやがや料理する「過程」が偉いという「変な魚類図鑑」なのです。
魚の同定を写真でやるのは無理です。きちんとした「キーポイント」が撮影されていない限り、半分も同定できないでしょう。しかし「キーポイント」が撮影されていると、ほとんど同定することができます。
知らない魚を釣ったら、ともかく写真に写して、このBBSにアップしてください。
同定できたらいいし、できなければ、どこが見分けになるか議論して、みんなで勉強してしまうのです。その議論を集約して、みんなで育てていくような魚類図鑑をつくっていきましょう。
それらの議論を通して、魚の名がわかり、魚の分布がわかり、魚の産卵期がわかり、魚の問題点がわかり、魚の危機も見えてきて、釣り人の魚を釣り人が守れるようになるというのが理想です。
むずかしく考えることはありません。
この魚は何だろう?
小さくて素朴な疑問から、なんでも始まるのです。
さあ、みんなで、小さな一歩を踏みだしましょう。
※株式会社週刊釣りサンデーは2003年11月12日に解散し、現在はなくなっています。小西英人は、フリーで魚の仕事を続けています。
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