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[192] そい>1>「まぞい」って、なんやねん? 
2002/2/10 (日) 07:42:41 小西英人
@Nifty【さかな会議室】より転載
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01216/01781 PDG00606 小西英人 そい>1>「まぞい」って、なんやねん?
(14) 99/01/23 10:26 コメント数:5


 「そい」という魚名が、釣り人の間で、いろいろ混乱しているように思うので、ちょっと書いてみましょう。

 地方によって、いろいろ思いこみがあるようで、文献を見ても、なかなか分からないことも多いのですが、まあ、おつきあいください。そして、みなさんと議論をしたいと思います。

 もともと、ぼくが、「そい」という言葉に引っかかったのは、関東の釣り師たちが雑誌や本などに書くものからです。

 「まぞいが釣れた…」「正真正銘のそいだった」などなど書いているのです。

 「まぞい」って、なんやねん?

 さあ。文献渉猟の冒険のはじまりはじまり。ことわっておきますけど、釣り人系のライターで、間違って書いていたり、よく知らないのに書いていたり、いろいろあるようで、いろいろ語弊もありますので、参考文献は記しません。情けないことに釣り人系のライターで魚のことが分かって書いている人はいません。魚のことが分かっている風に書く人はいるけど。ああ、これ、ぼくのことか。また魚類学系の参考文献も、やたら難しくなるので記しませんね。また標準和名の「メバル」と、一般名称の「めばる」がややこしいので、標準和名はカタカナ、一般名称は「ひらがな」で表記します。

 さて、さて、「真ぞい」とおっしゃるからには、真でない「そい」群がいるはずです。だいたい「そい」群ってなんなんでしょう。

 で、気になって、釣り人に聞きまくってみたけど、「めばる」は当然知っていて、「そい」も当然知っているけど、どれくらい種類があって、どれが「そい」なのか、まるではっきりしません。でも、なんとなく、この手の磯魚、分類群でいえばメバル属の魚を、「めばる」類と「そい」類とに分けているふしもあります。あと「かさご」類という分け方もありますけど、これはカサゴ属やフサカサゴ属の話になり、話が、もうひとつ、ややこしくなるので、ここでは省きましょう。また機会があればね。

 それでは、まず、いまの分類ではどうなっているのでしょうか。『日本産魚類検索』(東海大学出版会、1993年)から、標準和名をぬいてみましょう。「めばる」類と「そい」類は分けられておらず、すべてメバル属に含まれています。

 1)アラメヌケ      ★ Sebastes aleutianus
 2)アコウダイ        Sebastes matsubarae
 3)アラスカメヌケ    ★ Sebastes alutus
 4)ウケグチメバル    ● Sebastes scythropus
 5)ハツメ          Sebastes owstoni
 6)ヒレグロメヌケ    ★ Sebastes borealis
 7)バラメヌケ      ★ Sebastes baramenuke
 8)サンコウメヌケ    ★ Sebastes flammeus
 9)オオサガ         Sebastes iracundus
 10)クロメヌケ      ★ Sebastes glaucus
 11)ヤナギメバル     ● Sebastes itinus
 12)ガヤモドキ        Sebastes wakiyai
 13)アカガヤ         Sebastes minor
 14)ヤナギノマイ       Sebastes steindachneri
 15)エゾメバル      ● Sebastes taczanowskii
 16)トゴットメバル    ● Sebastes joyneri
 17)ウスメバル      ● Sebastes thompsoni
 18)メバル        ● Sebastes inermis
 19)クロソイ       ■ Sebastes schlegeli
 20)タケノコメバル    ● Sebastes oblongus
 21)コウライキツネメバル ● Sebasles ijimae
 22)キツネメバル     ● Sebastes vulpes
 23)タヌキメバル     ● Sebastes zonatus
 24)ゴマソイ       ■ Sebastes nivosus
 25)シマゾイ       ■ Sebastes trivittatus
 26)コウライヨロイメバル ● Sebastes longispinis
 27)ヨロイメバル     ● Sebastes hubbsi
 28)ムラソイ       ■ Sebastes pachycephalus pachycephalus
 29)ホシナシムラソイ   ■ Sebastes pachycephalus nigricans
 30)オウゴンムラソイ   ■ Sebastes pachycephalus nudus
 31)アカブチムラソイ   ■ Sebastes pachycephalus chalcogrammus

 と、日本産メバル属は31種います。多いのに驚くでしょう。このうち標準和名にくっつく一般名称は●=「めばる」が12種。■=「そい」は7種。おまけに★=「めぬけ」が6種あります。フサカサゴ科魚類は魚類図鑑によって標準和名がけっこう変わっていますので、みなさんのお手元の図鑑とも対比できるように、学名もいれておきました。

 あれあれ、「めぬけ」類も入ってきましたね。これもメバル属なのです。しかし、釣り人が見て、ああ「めばる」の仲間だなあと思うのは、メバル、トゴットメバル、ウスメバルの3種かな、もうちょっと譲っても、あと、アカガヤとエゾメバルくらいが含まれるかな。呼び分けには、どうも、基準がないようです。標準和名は「記号」で、どういう一般名称がついていようが関係ないようです。

 この「めばる」「そい」「めぬけ」を、小学館の『日本国語大辞典』(これ、ぼく、いちばん信用しています。広辞苑は信用していません。広辞苑に載っているから、この日本語は合っているという編集者を、密かに馬鹿にしています。ぼくは、日本語に迷ったときこの20巻の大辞典と、あと、いくつか調べることにしています)で調べてみました。

 「めばる」はメバルの説明をかなり正確にしています。この呼び名は古いようで、鎖国が完成された1639年の『仮名草紙』に、その名が見え、徳川吉宗のころ(1715)の『大和本草』には「目ばる、目大なる故名づく。黒赤二色あり」と書かれているそうです。

 「そい」は目張の異名と書かれています。この呼び名も古いようで、アメリカ建国の前年(1775)の『物類呼称』に「目張、めばる。陸奥仙台にて、そいと云」と書かれています。この辞典には書かれていませんが、物の本によると、どうも磯魚(いそいお)をコギャル風にちぢめた仙台方言が「そい」の語源のようです。

 「めぬけ」は、カサゴ科(いまはフサカサゴ科です)の海魚のうち、赤色を帯びた大型種の総称とありまして、漁業の重要魚、釣り上げたとき水圧の変化で目が飛びだすからと書いています。かなり正確ですね。たぶん「めぬけ」という言い方は漁業者からきています。流通用語でしょう。この「めぬけ」の中心は「あこう」になると思います。ついでに「あこう」も調べましょう。

 赤魚=「あこう」はアコウダイの解説をしています。この呼び名も古く、赤穂浪士の討ち入りの4年前(1698)の『書言字考節用集』に「緋魚、アコウ」とあり、生類憐れみの令が廃止された3年後(1712)の『和漢三才図会』に「緋魚(アカヲ)赤魚」とでているようです。

 さて一般名称として、いちばん簡単なのは、「めぬけ」と「あこう」でしょうか。これは、深いところの赤い大型になるフサカサゴ科魚類を指す一般名称でいいのでしょう。標準和名でいうと、アコウダイ(やはり釣り人には、これが中心でしょうね)サンコウメヌケ、オオサガ、アラメヌケ、アラスカメヌケ、バラメヌケ、ヒレグロメヌケなどでしょうか。ホウズキ、ベニメヌケも「めぬけ」類と感じるでしょうが、これはメバル属ではなく、ホウズキ属になります。

 クロメヌケは、この分け方なら、「めぬけ」には入りません。赤くないもの。まあ、「くろ」とつけているからいいのかな。クロメヌケの標準和名で、一発で分かる釣り人は少ないだろうな。北海道で「青ぞい」というのが、クロメヌケです。黒っぽくて、少し黄色が混じる魚で、ぼくには「青く」は見えませんが、北海道の人には青く見えるのかしら。どちらにしても、ほらほら「そい」もでてきたぞ。

 まあ、とりあえず、日本産メバル属から、「めぬけ」「あこう」類をのぞいたものが、「めばる」と「そい」であって、「めばる」と「そい」は、同じものであって、呼び分ける必要はないというのが答えなのでしょうか?

 と、一回目は、この辺で「息切れ」して終わりましょうか。みなさんが興味を持ってくれるようなら、続く…、と思うけど。

                               英人
ps
 ぼくは「そい」という魚名で、みなさんが、何を思い浮かべるか、まだ、はっきりとしたイメージがつかめていません。ひとつには、ぼくが少年時代を瀬戸内海地方で過ごしたためで、瀬戸内海地方でふつうに「そい」と呼ばれる魚はいません。「そい」という一般名称としての魚名は、やはり北方系、仙台方言説が正しいのでしょう。関西で「そい」という言い方が聞かれだしたのはは、最近での話だと思うのです。

 いま、たぶん、瀬戸内とか、大阪湾で「そい」といえば、クロソイを指すと思うのです。日本海地方で「そい」といえば、キツネメバル。関東で「そい」といえばキツネメバル。北海道で「そい」といえばクロメヌケが、それぞれの「そい」の原イメージではないかと思うのですが、釣り人ライターの書くことや解説があまりにも混乱していて、分かりません。

 北海道で「そい」といえば、もっといろいろな種類を指すのでしょうか?

 北日本で「そい」といえば、どれくらいの種類を指すのでしょうか?

 東京の「そい」は、これはもうキツネメバルだけの感じがあるのですが?

 ムラソイの仲間は、分布が広く、太平洋岸にも多く、たとえば紀伊半島のような黒潮域にも浅いところにいますが、これらは、それぞれの地方で、なんと呼ばれているのでしょうか?

 謎は謎をよんでいます…。
英人