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[271] 撮り方>海水のこと 
2002/2/28 (木) 06:38:04 小西英人
▼ 清野耕一さん

 ほんと、露出には苦労しますよね。

 ゆっくり撮影するのだったら、べつに、たくさん撮ったらいいのですが、魚が元気で鰭をたてながらも止まっている瞬間って、そんなに長くないから困りモンです。ちょっと、ぼくの撮影方法を書きかけたのですが、長くなったのと、やはり難しそうになっちゃったので、また、きちんと書きます。

 海水ですが「魔法の水」です。この水くみバケツを用意するようになってから、きちんと撮れるようになったようなものです。

 魚にじゃぶじゃぶ水を掛けて、元気にできるし、泥や砂や血を洗い流せるし、魚体の「ぬめり感」がでるし、フィルム交換のときなど、バケツに入れて泳がせられるし、とにかく「海水」がなければ「仕事」できません。いまは、水くみバケツは4つ用意しています。これにすべて水を張ってから釣りの用意をしていると、あいつ、あほちゃうかという眼で見られてしまいます。

 そのうえに、小魚釣ったり、うつぼ釣ったりして、大騒ぎして、とにかく一刻を争う撮影をしていたら、ほとんどあきれられていますね。

 だいたい、夜くらいのに、うつぼに海水をかけて、元気にして、ぬめぬめの滑る奴を撮影板の上に置いて、「つ」の字にして、鰭を拡げようしたりするから、うつぼに親指を噛み裂かれたりしてしまうのですが…。

 『釣魚図鑑』の後書きに「海水」のこと書いているので、転載しておきます。

                          英人

■『釣魚図鑑』小西英人編著・2000年・釣りサンデー■より
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■二十世紀のおわりに…■

■釣り場に着いたら、まずやることってある。くせのようにやる「一発目の儀式」は人によっていろいろで、それによりベテランかビギナーか、深いか浅いか、釣るか釣らないか、ほんもんかにせもんか、すべてがわかるというくらい重要な釣り人の「儀式」であるといえる。
■水を汲む。
■いま、ぼくの儀式。水汲みバケツで海水を汲みあげてなみなみと湛えておくのだ。それも最低で三つのバケツに。一息ついて、おもむろに釣りの用意をはじめる。
■第一投で、何が釣れるかわからない。なにか「ええもん」が釣れてしまうかもしれない。ぼくのいう「ええもん」って、凄い「じゃこ」のことかもしれないよ。
            ■
■釣りサンデーの「魚類フォトライブラリー」に整理されている魚の写真は1000種、10万点を超えている。25年にわたる取材の中で、撮りだめてきた数百万点の魚の写真から徹底的に整理して、同定して、保管している。
■日本産魚類って何種くらいいるのだろう?
■『日本産魚類検索』中坊徹次編 東海大学出版会 初版補訂第2刷 1995年 は日本産魚類の全種が収録されて3608種になる。いま魚類の研究者たちがかかえている「課題」をすべてかたづけると、だいたい日本産の魚類は4000種くらいになるのではないかといわれている。
■釣りって凄いなと思う。
■淡水魚から海水魚。太平洋、東シナ海、日本海、オホーツク海。大回遊してくる魚から沿岸魚そして深海魚まで。メガマウスからリュウグウノツカイまで。なにからなにまですべていれて4000種なのに主要沿岸魚を対象にしている釣りで、その4分の1を釣りあげてしまう。
■口はばったい言い方になってしまうが、この「魚類フォトライブラリー」は釣りサンデーの財産ではなく釣り人みんな、いや日本人みんなの財産だと思っている。
■ぱっと釣ったとき、うちの写真部員、うちの編集部員が、ごめんなさいごめんなさいと言いながら、みなさんの大事な魚の複写を撮ったと思う。それの積み重ねが日本産全魚種の4分の1のライブラリーになった。
■ぼくはこつこつ整理して、この写真をすべて頭に入れた。どの種の写真がないか、少ないか、また決め手になる部分のアップが撮れているかいないか、すべてが頭に入っている。案外、いつでも釣れる、どうでもいいような小魚、「じゃこ」の写真がなかったりする。
■これらを釣ると竿を放りだし魚をバケツに泳がせて、すぐ撮影だ。バック板はいつも持ち歩いている。ぼくは魚の「複写撮影」を「瞬間芸」と呼ぶ。一瞬だけ魚は怒り一瞬だけ魚は輝く。その瞬間、命は輝き、すべての鰭をぴんと張る。眼は下を「ぐっ」と睨む。この輝く瞬間を記録したい。それを、釣り人のみなさんに、魚なんか臭くて汚いと思い始めた「新日本人」に伝えたい。水汲みバケツの海水を、じゃぶじゃぶ魚にかけ精魂を傾け撮影する。海水は「瞬間芸」に欠かせない「道具」だ。
            ■
■そうして、みんなで苦労して集めた1000種の中から本州で「フツー」に魚を釣っている釣り人が、釣る魚、釣り上げたいと願っている魚、なんじゃこりゃと思う魚、危ないから気をつけたい魚、小魚だけど名を知っておいて欲しい魚を選んだ。物心ついたら瀬戸内のほとりで釣り竿を持って立っていた男が選んだ92科277種が、この『釣魚図鑑』だ。1000の中から277、ちょっと残念に思うけれど、釣り人がまず、277種の魚を「抑えておく」というのは、ほんとうに重要なことだと思っている。
■海に立ち、海を五官で感じながら魚も五官で感じとり海の喜怒哀楽を知っているのは、いまの日本では漁師と釣り人しかいない。漁師は選ばれた人しかやれないけれど、釣り人は、ぼくのような「へぼ」でもやっていられる。その感じたことを伝えなければ、海は大変なことになるかもしれない。その危機感がこの図鑑を創った。
            ■
■よき編集者とは「一人目の読者」である。『棘鯛の系譜』を連載した『ちぬ倶楽部』安田明彦編集長、『ぎょぎょ事典』を連載している『磯釣りスペシャル』高崎冬樹編集長、『似たモン魚譜』を連載している『週刊釣りサンデー』平井忠司編集長、そして『似たモン魚譜』を連載せよとぼくに命じはった先代『週刊釣りサンデー』編集長で現在出版編集部の森下真一編集長。彼らに読んでもらいたいがため、ぼくは一所懸命に文章を書いた。また水辺を駆けずり愛情こめて魚を撮影してくれた釣りサンデーの写真部員、編集部員。その仲間に見てもらいたいがため、ぼくはこの図鑑を創った。ありがとう!
■なにも知らないぼくに、根気よく魚のことを教えてくれた荒賀忠一さん、望月賢二さん。突然の素人の問い合わせにていねいに応えてくれた研究者のみなさん、そして、ほんとうにすばらしい業績をすばらしい本に残してはる研究者のみなさん、ほんとうにありがとう!
■そして京都大学の中坊徹次さん。魚の「おもしろさ」「怖さ」を徹底的に教えてくれはった。ぼくは厭がられてもなんでも中坊さんの「押しかけ弟子」だと思っている。ぼくはいま小学一年生である。怖い怖い先生の宿題を、やっとやり終えたのだ。この「宿題」を持って、おそるおそる中坊研究室を訪ねなければならない。中坊さんに見せるまではゆっくり眠ることもできない。怖いもん。四十五歳のおっさんを小学校の「一年坊主」のように、はらはらどきどきさせる。純粋な心にさせる。そういう「魚たち」と巡り合って、そういう「師」と巡り会ったぼくは、ほんとうに幸せな男だと思っている。