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[602] トウジン>中毒などの心配は… 
2002/4/30 (火) 12:19:49 小西英人
▼ 西潟正人さん

 さてさて、ソコダラ類の肝臓ですよね。

 この類、やはり食べる地方が少ないようで、ほとんどの文献に食のことは書かれていません。

 しかし、「とうじん」は、関東では古くから知られているようで、ジョルダン、田中、スナイデルの『日本産魚類目録』(1913年・英文)には、Hige or Tojin (Misaki,Sagami) となっています。Misakiとは神奈川県三浦市三崎のことで、東京大学の臨海実験所があります。ここか、東京築地の魚名が、日本の標準和名のルーツになっています。まあ相模湾一帯で、漁師は捕っていて、「ひげ」もしくは「とうじん」と呼んでいたようですね。ちなみに記載は1846年にオランダのライデン博物館館長のテミンクとシュレーゲルです。あのシーボルトコレクションを記載したのです。模式産地が大村湾島原となっているのは気になりますけど。トウジンは、大村湾にはいないと思うけどなあ。長崎の出島に集めただけで、産地は違うのか、ひょっとして分類学上の混乱が潜むのか、文献を、ざっと見ただけではわかりません。

 とにかく、何が言いたいかというと、西潟さんのホームグラウンドの逗子などのある相模湾は深いので、古くからソコダラ科の魚とのつきあいがあり、「とうじん」「ひげ」それに「げほう」などと呼んでいたようです。その、それぞれの呼び名が、厳密に何を指すかは別にして、ソコダラ科トウジン属とのつきあいは古いようです。

 それで、文献に中毒の話がでてこないので、まず、大丈夫ではないかと思います。

 でも、大量には危ないかもしれませんね。そっと、深海の恵みをいただくという謙虚な気持ちがいいかもしれません。

 西潟さんは、ご存じでしょうが、肝臓がなぜいけないか、みなさんに説明しておくと、深海魚というより大型魚の肝臓はビタミンAが濃厚に含まれることがあり、ビタミンA過剰症になることがあります。魚類では、サメ類、マグロ類、アコウダイ、カンパチ、ブリ、サワラなどで中毒例があり、なかでもオオクチイシナギでは有名で1960年に厚生省の通達でオオクチイシナギの肝臓の食用は禁止されています。

 ビタミンA過剰症の症状を書いておきます。

 発熱、頭痛、嘔吐、顔面の発赤腫脹、発疹などを生じて、発症後数日から3週間にわたって全身の皮膚剥離が起きます。予後は良好だそうです。

 また、深海性のサメなどは、肝臓が大きく、スクアレンと呼ばれる液状の油が多量に含まれていて、これで中性浮力を得ます。エイやサメなどの板鰓類は、鰾(うきぶくろ)をもっていませんので、中性浮力が得られません。そのため泳ぐのをやめると沈みます。泳いで飛行機のような体の構造で揚力を得ているのです。外洋性のサメは一生泳ぎ続けています。浅海性のサメは寝るとき底でぼうっとしています。深海性のサメは、肥大した肝臓に油をためて中性浮力を得るのです。このスクアレン、よく知らないのですけど、巷では回春剤として売られているのではないのでしょうか?

 つぎに、深海性の魚類の一般的な注意を書いておきますが、深海性の魚で鰾なんて持ってしまうと、海水の圧力で破裂してしまいます。そのために、鰾が小さいか、ないか、鰾の中に脂をためているのです。また鰾がなければ、筋肉中に大量の脂をためて、中性浮力を得ています。

 この筋肉中の脂を、ワックスといいます。

 クロタチカマス科のアブラソコムツ、バラムツなどは、このワックスが多くて、ちょっと食べ過ぎると下痢をして、皮膚から脂が漏れだす皮脂漏症という症状を引き起こします。これらも厚生省の通達で食用禁止です。

 深海に適応するための、さまざまな工夫が、思わぬ災難になることもあります。気をつけましょうね。

 まあ、深海魚に限らず、大型魚を食べ過ぎると、その脂質によって、食中毒を起こしてしまうことはあります。クエ鍋なんかでも、食べすぎると大変だよ。

 ほどほどにね。             英人