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[4957] 米国クロダイ>羊頭鯛>転載します 
2003/2/28 (金) 06:48:01 小西英人HomePage
シープスヘッドシーブリーム■アメリカ・フロリダ

 この直訳すれば「羊頭鯛」になるクロダイの近縁種について、今年の新年に週刊釣りサンデーの『似たモン魚譜』で、クロダイとくらべて書いた原稿があるので、転載しておきましょう。また、『ちぬ倶楽部』に前に連載した『くろだい●とくほん』からも転載しておきましょう。

 そうそう。シープヘッドシーブリームは、フィッシュベースネームで、ふつうアメリカでは、シープスヘッドと呼ばれているようです。ただし、このままの呼び名だとベラ科の魚であったり、数種に、同じ呼び名があるようです。そのためにフィッシュベースでは、語尾にシーブリームをつけていると思われます。シーブリームは直訳すれば「海の鯛」です。

■似たモン魚譜■『週刊釣りサンデー』より転載
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羊頭鯛 Archosargus probatocephalus
体側に明瞭な黒色横帯がある
VS
クロダイ Acanthopagrus shlegeli
体側に明瞭な黒色横帯はない

連載■228

■あけましておめでとうございます。今年は未年、羊にちなむ標準和名を探してもない。英名のゴートフィッシュしか浮かばない。これは山羊だけどヒメジ科の魚のこと。オジサンでも引っぱりだそうと思ったとたん、ひらめいた。そうだシープスヘッド・シーブリームだ。これは直訳すると羊頭鯛になるな。
■この魚、いったいなんなんだ。イシダイなのかクロダイなのかと叱られそうだ。結論からいおう。タイ科で西大西洋に広くすむ魚、1962年に「鯛の赤崎」とうたわれた赤崎正人博士はアメリカチヌ属という和属名を提唱している。クロダイ属とかなり近い仲間だ。フロリダの汽水域では釣魚としても有名だ。
■英名で、なぜ羊頭なのか分からない。羊頭とは英語古語で「とんま」という意味もあるらしいから「とんま鯛」だろうか。東洋なら羊頭を懸げて狗肉を売る、なんて羊はいい意味に使う。羊が大きく育つと「美」と感じる古代中国の遊牧民族の心が知らず知らず、いまの日本にも伝わっているのだ。義・善・祥など羊部の漢字はいい意味が多い。ほら羊頭鯛、こいつは春から縁起がいいわい。初夢はフロリダの羊釣りに決まりだな。小西英人■


■くろだい●とくほん■『ちぬ倶楽部』より転載
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ナイフの歯を持つ進化した黒鯛?


●クロダイ師というのは、マニアの多い釣り師の中でも、マニア中のマニアだと思う。むっちゃ、こだわる。キチヌでさえ、それはクロダイではない。「ふん、黄鰭や」なのである。もしクロダイの外道にヒラマサが釣れても、顔色ひとつ変えずに、海にお帰り願うのがクロダイ師というものなんだ。もし外国で「まんまクロダイ」が釣れるなら行きたいかもしれないが、それが「くろだいもどき」であるなら、まったく興味はない。
●しかし、オーストラリア南部の「くろだい」そして西大西洋の「くろだいもどき」などとつぶやくと、あまりにも「けったい」だから、つい聞き耳を立てていただけないだろうか。
       ●
●フランスに行きたしと思へども、フランスはあまりに遠し…というとき、萩原朔太郎は、せめて新しき背広を着て、きままなる旅に出てみん…としはったけど、ぼく、異国を想い、まだ見ぬ魚を想うとき、書斎で文献の旅に出るのである。インターネットにフィッシュ・ベースという世界中の魚を集めたデータベースがあるのだが、そこの名前で Southern black bream というのがオーストラリア南部の「くろだい」で、直訳し「南部黒鯛」と呼ぼう。西大西洋にいる「くろだいもどき」は、同じく Sheepshead seabream だ。なぜ「羊頭鯛」か分からない。羊頭とは英語古語で「とんま」という意味があるらしいから、「とんま鯛」だろうか。東洋なら羊頭を懸げて狗肉を売る…などと立派な物のたとえなのにねえ。直訳し「羊頭鯛」と呼ぶ。どちらも学名は写真に添えておくので、参考にして欲しい。
       ●
●「南部黒鯛」は、名のようにオーストラリア南部、いわゆるグレートオーストラリア湾、お向かいは南極、というところにすむ固有種である。クロダイ属の基本パターンそのままの魚なので、まえにオキナワキチヌと同種とされていた、オーストラリアのイエローフィンブリームと、よく似ていて、また、キチヌとも、よく似ている。そんなこんなで、文献上、はっきりしないところもある。世界中のクロダイ属は、なんども書くが見直さなければいけないだろう。見ての通り「まんまクロダイ」なので、いちど釣ってみたい。海、河口、川、湖と、海水から淡水まで、ふつうにいて釣り師を楽しませているらしい。
       ●
●「羊頭鯛」は、写真をちょっと見て、それから、ゆっくり見て、どちらにしても驚いて欲しい。もし、日本に、これがいれば、釣り師の、海の、国魚になったかもしれない。写真がカラーでないのが残念だが、色は、ちょっとクリームがかるけれどもイシダイの色とそっくりである。イシダイだとすると鱗が大きいので違和感はあるけれど、とにかくイシダイのような模様のクロダイなのである。
●まえに「くろだい」を定義するなら、いろいろややこしいので、クロダイ属、アカントパグルスに含まれるものを「くろだい」とすると書いた。残念ながら羊頭鯛は、クロダイ属ではない。タイ科のアルコサルグス属になる。赤崎正人博士が1962年に、この属を和名ではアメリカチヌ属と記載している。
●クロダイ属は、フィッシュ・ベースによると世界中に9種いて、インド洋と西太平洋にしかいない。アメリカチヌ属は世界中に3種いる。ひとつはブラックスポット・ポーギィ、太平洋だが、ガラパゴス諸島固有種。あとは西大西洋に分布する。ウェスタン・アトランティック・シーブリームは、アメリカのニュージャージー州からブラジルのリオデジャネイロまで分布するが、ふつうにはマングローブ林の泥底に見られるという。
●どちらも形は「くろだい」に似るが、鰓蓋後部に大黒斑があり、7本ほどの黄色縦線が体を走って、釣り師の目には「くろだい」に見えないだろう。
●さて残った羊頭鯛。フィッシュ・ベースによると、バハマ諸島、西インド諸島をのぞく、カナダのノバスコシア、北部メキシコ湾からブラジルの西大西洋に分布。フロリダの汽水域で釣魚として有名であるようだ。
●さて、このアメリカチヌ属、どれだけクロダイ属に近いか。鰭条数は、あまり違わない。背鰭棘が強く幅の広い棘と幅の狭い棘が交互に並ぶとか、臀鰭第2棘が強大であるとか、クロダイ属の特徴は、きちんと持つ。歯を見てみよう。クロダイ属の顎は6本の門歯状歯が前部にあり、続いて3〜5列の丸い臼歯状歯が並ぶ。アメリカチヌ属の顎には8本の門歯状歯が前部にあり、続いて2〜3列の丸い臼歯状歯が並ぶ。よく似ている。ただし、文献にあるのは図なのだが、アメリカチヌ属の門歯状歯は、横にびっしり並び、先はまっすぐになって、ほんとうの門歯のような形で、噛み切りやすくなっている。クロダイ属の門歯状歯は不完全で、犬歯のような形態だが、基部の断面が犬歯の円状と違い楕円状になっているから門歯状と呼ばれる。羊頭鯛は大西洋クロダイと呼んでもいいぐらい近縁のようだ。
       ●
●羊頭鯛、ナイフエッジの前歯を持ち、藻類をすぱすぱ噛み切って暮らす。雑食を、より進化させた「先鋭黒鯛」なのか。
●大西洋に行って釣ろうぜ。

●FishBase;A Global Information System on Fishes のアドレスは http://www.fishbase.org/search.cfm