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[5429] Re4:チゴダラ>関東はなじみがあるのですね 
2003/3/20 (木) 12:11:57 小西英人HomePage
▼ ぷいぷいユッケさん

 地方独自の文化を守れ!

 と、言うような人に限って、地方独自の文化を知らないのですけどね。いま、ほんとうの意味で、魚の地方名をいえる人は少なくなったと思います。

 宇田道隆の『海と漁の伝承』など読んでも、海洋民族日本の海に関するさまざまな語彙は豊富で、ほんと津々浦々によって、呼び方が変わっています。

 そういう中でも、魚名を残さなければいけないと、有名なアチックミューゼアムの澁澤敬三が、苦労して編んで刊行したのが『日本魚名集覧』です。第一部は昭和17年、第二部は昭和19年にだされています。苦労しただろうな。

 これは、ぼくもときどき引用する、ジョルダン・田中・スナイデルの『日本産魚類目録』(東京帝國大學・1913年・原文英語)という、日本の標準和名の出発点になった本をもとにした地方名の集大成です。

 しかしすべてではなく、古くなって、この魚名が死語になったものも多いようです。

 いまの漁村の魚名って、地元のものというより、流通名、ブランド名のほうが通るようです。流通に乗らない、自分らだけで食べる、足元の雑魚などに、昔からの名前が残っているようですが…。

 このあと、いろいろ、地方名の本はでていますが、まあいちおうの集大成というのは日本魚類学会編の『日本産魚名大辞典』(三省堂・1981年)でしょう。これ初版の定価28000円で、いまは古書店でなければ手に入らず、数万円はするようですが、もったいないと思います。この本、あんまり良いと思わないし、好きではない。いつやら、望月賢二博士の前で、この本のことをぼろくそ、けなしていたら、にこにこしながら、地方名を編む苦労と難しさを教えていただきましたが、望月さん、この本を手伝っていたのでした。あああ、冷や汗もの。まあ、魚類学会編だから、これから引用して間違えても魚類学会のせいにできるという便利さはありますけど…。

 地方名を編む難しさは、はじめにも書きましたが、言葉は生き物で変わっていくこと、また、地方名といいながらも、流通名、ブランド名などがあり、それに俗称やら、愛称やら、渾名やら、いろいろ混じります。愛称ひとつとっても、釣り人の愛称、漁師の愛称、ダイバーの愛称、すべて違いますし、それの成立が江戸時代、明治、大正、昭和、平成によっても感じは変わります。

 また、そういう魚名の対象物がはっきりとしないのです。

 種をさすのか、亜種なのか、型なのか、変異なのか、生態型なのか、総称なのか、混称なのか、つきとめるのは、とても難しいのです。

 そういう意味で、まじめに考えると、地方名を図鑑にいれることなんて無理です。できません。

 困っちゃったね。                 英人