さかなBBSトップ
魚のことならおまかせ。WEBさかな図鑑
釣具の通販・Gear-Lab
HOME 似たもの検索  携帯版  | Gear-Lab

新コミュニティ(掲示板)オープンのお知らせ

WEB魚図鑑では、2013/7/25より新しいコミュニティをオープンしました。 「このお魚何?」というQ&A専用のページもあります。是非新しいコミュニティを使ってみてください。新コミュへの投稿はズカンドットコムへのアカウント登録が必要です。2013年1月以前にWEB魚図鑑へ投稿したことのある方はアカウントの引き継ぎを行うことができます。


[このスレッドを表示]

[7343] 怪投乱麻>アミメウツボ>撮影失敗! 
2003/7/14 (月) 17:25:04 小西英人HomePage
▼ 目玉の親父さん

 撮影中にミスって、アミメウツボに咬まれたときの怪投乱麻を転載しておきましょう。

 翌日、病院に行って、「ウツボによる咬傷」と問診票に書いていたら、医者は大笑いして、俺も釣りをするけど、あんなものに噛みつかれるか、何をしていたときかれちゃいました。縫ってもらうつもりでしたが、傷が、ぎざぎざで曲がっているので、自然にひっつけようといわれました。

 一年ほどは疼いたけど、このごろは忘れちゃいました。

 ほんと、気をつけようね。             英人


■怪投乱麻Vol.56■週刊釣りサンデー2001年10月28日号より転載
============================================================
わが熱帯。黒潮の中でいつまでも


鹿児島県
種子島の夢は夢のまま残ったぞの巻


■上機嫌である上機嫌である。種子島、二日目の夜である。
■きょう、川しょうぶ、ゴマフエダイの親分を釣ったら、真水を嫌い荒磯を好む骨っぽい、しょうぶことフエダイに見参だ。あとは屋久島のハマフエフキが早く来いよと叫んでいる。明るいうちから熊野漁港。ぽんぽんぽんと三本の竿を放りこみ、のんびりしている。魚たちものんびりしている。魚信はない。
       ■
■闇が満ちて、PEラインが、ふっふっと張りかけてふわああああああとたるんだ。小僧が悪さをしている。手前の捨て石に駈けこんでがんばっている。ふふふ。ごんごん二度ほどしゃくると悔しそうにでてきた。ゴマフエダイ、三十五センチほど。二十四号鉤素の敵ではないぞ。親分を呼んできておくれ…。
■波止の先端が騒がしい。行ってみると青年のマダラハタだった。魚だけ撮らせてくださいとお願いすると快諾してくれる。バック板をいれて滑るから苦労していたら手伝ってくれる。魚好きの人、いい人ばかりだ。
■深夜。ふうふう気の抜けた魚信がでる。これはアナゴ類かウツボ類である。合わせると重く丸まったウツボがでてきた。
■放蕩の投げ釣り…鯣や身餌で太仕掛けを放りこめば、サメやエイ、そしてウツボには泣かされる。しかし、これらの危険な魚を、きっちりさばけないのならば、太い仕掛けを使ってはならない。海から引きあげ、きっちり鉤を外し、いたわって逃がしてやらなければならない。
       ■
■アミメウツボであった。このごろ、ウツボわが友なのだ。長くて臭くて獰猛で粘々で、どうしようもない魚だが、元気なまま撮影しようと苦労しているうち愛情がわいてしまった。「長もんの波戸やん」こと大阪市立自然史博物館の波戸岡清峰さんに告白すると「やっぱり」といわれた。彼は長もんでも特にウツボ科の権威であり、ウツボフェティシストでもある。波戸やんに弟子入りしようかな…。
■ウツボ類は口に違和感があると尾の方から8の字結びになって外そうとする。これを繰りかえすので鉤素が体に巻きつき、ぐちゃぐちゃになってしまう。これを嫌ってそのまま磯や波止に打ちつけて殺すか、ハンマーでぐちゃぐちゃに頭を潰し殺して海に投げこむ人が多い。そんな人は底物をやってはだめ。
■底物師はタフでなければ生きてはいけない。優しくなければ生きていく資格がないのだ。
■釣りあげたら、まず、ぶら下げてみる。このとき尾が地面についたら、強い尾の力で跳ねあがって咬みつきにくるから危ない。完全にぶら下げる。すると己が重さで巻いていたウツボの体が、するする解け仕掛けも元にもどることが多い。また尾の方から結ぼうと試みるが己が重さで失敗するはずだ。それでも解けないほど絡んでしまったなら、短く鉤素を切り、ちょっと置いておく。すると、するすると解いて逃げようとする。
■次は魚ばさみで頭をしっかりと抑えペンチで鉤を外す。魚ばさみとペンチは「放蕩の釣り」の必需品。魚ばさみで頭を抑えると尾から巻きつき暴れる。その力は強い。注意しよう。また長もんの嫌いな人は、それで手を緩める。ひるんだら危ない。がんばれ。海に逃がそうよ。
■ぼくは、ここから、海水をどぼどぼかけて汚れを落とし元気にする。それから撮影用の白のバックボードを用意し、そこでおとなしく「つ」の字になってもらい魚類図鑑用の撮影をするのである。ウツボは暴れる。ボードの上をつるつる滑る。とぐろを巻いて身を縮め、一気にのびて跳びあがり鋭い歯で攻撃する。どうしても咬むことができないと、もどかしいのか自分の体に咬みついて丈夫な皮を裂き白い肉が弾け驚く。それほど獰猛だ。こういう撮影を暗闇でヘッドランプを頼りにひとりやると疲れる。へろへろになる。
■さて熊野漁港。アミメウツボを撮影しようとしていたら、ルアー釣りにいっていた相棒が帰ってくる。ライトを照らしてもらえるから楽ちん楽ちん。元気がよくて、何度も何度も跳びかかってくる。魚ばさみに咬みつき「がきんっ」「がきんっ」と鋭い歯と金物がぶつかる衝撃を感じていた。相棒は危ない、よせと何度もいう。獰猛やろ怖いやろといいつつ上機嫌で「つ」の字にしようとしていた。
■!!!!!!!!!!!
■ぼくの右手の親指はアミメウツボの顔に埋まっていた。引いてはいけないのだけど、反射的に指を引くのと、ウツボが重さで落ちるのが一緒になった。
■ぼとぼとぼとぼとぼとぼと…血を滴らせ、うんうん痛みを堪えながら、あほやなあ…わかっていたのに…と頭の中はそればかり響く。屋久島が一瞬で遠のいたのが反射的にわかった。
■いきなり。六十センチほどもまっすぐ跳びあがって、親指に咬みついてきたのだった。根元までずっぽりとやられた。親指は背の根元で二カ所の裂傷を負い、腹は指先まで裂傷を負っていた。細かい傷は数知れず。相棒が傷を洗い血を止め道具を片づけ宿に電話し消毒セットを頼んでくれる。ごめんなあ…。
■じんじんじんじん…疼く指を押さえ血を止めながら、ぼくの夏が終わったのを感じていた。一瞬の夏であった。終わりは、いつも、いきなり訪れる。いま蕩児の帰宅である。もう秋なんだ。鱚は鰈は、こんな蕩児を歓迎してくれるのだろうか?
       ■
■翌日病院に行ったが、幸い縫うほどでもなかった。しかしハードな釣りはできない。島を見て回り頭に焼きこむ。種子島のルアーマンが「変な鱚」を釣ったという長浜にも行く。西岸に十二キロもひろがる砂浜だ。彼はリップカレントを探し鱚を釣るという。広大な浜では川のような細い急流が沖にでる。これをリップカレントというが見て探せるものなのか。ここはヒラスズキの島で彼の本職はヒラスズキ。砂浜でそれを釣るには探せなければ話にならないよとすたすた浜を歩く。毎日釣りをする島の男たちは凄いもんだ。
■疼く指を、庇い庇い、鱚を釣ってみる。コトヒキ、ヘダイ、マルコバン、クサフグの猛攻にあいシロギスさえ釣れない。変な鱚は後で送ってもらった。それは沖縄本島以南に分布するとされる、モトギスであった。
       ■
■マングローブ林にゴマフエダイがいてミナミクロダイがいてモトギスもいた。種子島はわが熱帯である。夢はいきなり終わったけど、だからこそ、また見られるというもんだ。ウツボはちょっとだけ懲りようと思う。あまり懲りると、あの獰猛で美しい魚を撮れなくなるから。