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[9131] 釣魚検索>写真でのキーのことなど 
2003/10/24 (金) 06:39:32 小西英人HomePage
▼ きくやの常連さん

 標本をとるときは、全個体を撮影するけど、小笠原などのときは、さすがに、全種にしますが、それでも、変異、幼老など撮っていたら、すごいことになります。

 疲れるけど、楽しいよ。

 ぼくが、ほんとうに、ていねいに撮ろうと思ったのは、そんなに昔ではなくて、『釣魚検索』を中坊さんとつくったときからでした。

 この『釣魚検索』を、ある、ぼくの敬愛する編集者に送ったとき、これは『新さかな大図鑑』より疲れたでしょうと、ねぎらってくれました。ぼくは『新さかな大図鑑』で、一年間の闘病生活を送りました。それのリハビリに『釣魚検索』をつくったのですが、これは、中坊さんとの真剣勝負で、どうしようもなく追いつめられ、実際、いちばんきつかったかもしれません。

 あまりにも、厳しいので、中坊さんと、一カ月くらいの間、必要なこと以外はいっさいしゃべらなかったこともあります。

 それは、部分の写真など、ほとんどないのに、ふつうに撮った魚の写真のトリミングだけで、検索キーが示すことができるかどうか、だれも自信がなかったのことがひとつ。ただでさえ、ややこしい見分けなのに、形態だけで、検索ができるかどうか、誰も自信がなかったことがひとつ。

 このふたつが難点でした。だいたい、本というまとまった形にできるかどうか、誰も自信がなかったのです。

 それだけに必死でした。

 この本に足りない写真を撮るために取材も組みました。

 北海道に行って、カジカ類を撮影しました。

 大揺れの船の中で、終日、中腰で、次から次に釣ってくれる魚を、片っ端から撮って、標本を京都大学に送り、腰が伸びなくなり、へろへろになって釧路のビジネスホテルに戻ります。

 それでも、かなり撮影できたから、嬉しくて、中坊さんに電話報告です。

 英さん。背面撮ったか、腹面撮ったかと聞かれて、いえ、白バックで側面をきれいに撮りましたというと、あほやなあ、普通の人が、ギスカジカなど、側面の写真だけでわかると思うんか。全方向を撮っておかな、わかるかいなと、叱られます。

 ぎゃびーん。

 どちらが研究者で、どちらが編集者かわかりません。

 中坊さんのおっしゃるとおりで、徹底的に親切に撮らなければいけないのです。

 翌日、すでに撮った種も含めて、すべて撮影のやり直しです。

 でも、勉強になりました。

 このときから、あらゆる方向、あらゆる部分を撮るようにしたのです。

 ぼくは、カメラバックに『釣魚検索』を放りこんでいます。

 釣った魚のキーを見るためです。すべてを覚えるわけにもいきませんものね。ほんというと『日本産魚類検索 第二版』を持ち回りたいところなんですがね。

 このまえ、サツマカサゴを釣ったとき、『釣魚検索』には載っていなかったのでキーが分からなかったのですが、ふと気になって、胸鰭の内側も撮りました。中坊さんに報告すると、すぐに胸鰭の内側撮ったかと聞かれて、いやあ、撮っていますと冷や汗ものです。これがなければ写真同定はできません。けど、あまり意識的でないから、中途半端な胸鰭内面の写真です。次にセムシカサゴを釣ったときに、あわせなければいけないのに、ちょっとあわせにくいかなという感じです。

 そのとき。中坊さんと、いろいろしゃべっていたのですが、すべての魚のキーを、頭にたたき込んでおくべきだと、いわれちゃいました。

 たしかに、現場で、色が変わらないうちに必死になって撮影しているときに、文献を調べるわけにもいきません。

 道は遠いです。

 けど、こういう意識を持っているだけで、変わっていきますよ。

 ぼくはおっさんになって、眼がぼろぼろになって、取材もあまり行かなくなってから、意識を持ち始めたのが残念です。若い頃から、その気でいたら、凄いことになっていたでしょうね。

 常連さんは、若いから、羨ましいです。        英人