さかなBBSトップ
魚のことならおまかせ。WEBさかな図鑑
釣具の通販・Gear-Lab
HOME 似たもの検索  携帯版  | Gear-Lab

新コミュニティ(掲示板)オープンのお知らせ

WEB魚図鑑では、2013/7/25より新しいコミュニティをオープンしました。 「このお魚何?」というQ&A専用のページもあります。是非新しいコミュニティを使ってみてください。新コミュへの投稿はズカンドットコムへのアカウント登録が必要です。2013年1月以前にWEB魚図鑑へ投稿したことのある方はアカウントの引き継ぎを行うことができます。


[▲前のスレッド]

[4756] アイナメ 
  【魚図鑑参照】
2003/2/13 (木) 16:57:35 しん
◆画像拡大
小名浜沖 水深35m
黄色いアイナメです。
この辺では黄色いのを「ワタリアイナメ」と言います。

しかし、友人の釣った魚ばかりで辛いです(;;)。

[4757] アイナメ>雄の婚姻色 
2003/2/13 (木) 17:12:42 小西英人HomePage
▼ しんさん

 立派な雄ですね。

 雄の婚姻色は黄色くなります。潜水観察の記録を読むと、黄金色に輝いて、それはそれはきれいだそうです。

 産卵期になると雄は黄色くなって縄張りをもって、やってくる雌とつがいます。産みつけられた卵塊は、産んだ個体によって色が違い、その雄が、何尾の雌と成功したか、すぐに分かるそうです。

 黄色い雄は、それから卵保護をします。

 ちょっと黄色い雄を釣っちゃうと、可哀想な気がします。

                         英人


[4775] Re:アイナメ>雄の婚姻色 
2003/2/14 (金) 06:50:44 しん
▼ 小西英人さん
鮭なんかだと、全ての魚が婚姻色に染まるのに、
アイナメは黄色い個体が釣れる時期にも黄色くないのが釣れますよね。

産卵の時期になっても成熟した雄で黄色くならないのも居るんでしょうか?
それとも放精した後に黄色くなるんでしょうか?
それとも、黄色くないのが釣れるのは全部雌なんでしょうか?

[4776] Re2:アイナメ>雄の婚姻色 
2003/2/14 (金) 08:28:10 小西英人HomePage
▼ しんさん

 アイナメも、スニーカー戦略が多いようですから、黄色くなっているのは、「おらおら」来るなよというボス雄で、それ以外の雄は「こそこそ」やっているのだと思います。

 必ずしも、「おらおら」とやっている方が強いとは限らないようで…。

 ちょっと、その辺のこと書いた文献がありますので、あとで、また書きましょう。

 期待せず、待っててね。             英人

[4784] 本>黄色いアイナメってなんだ?! 
2003/2/14 (金) 20:24:22 小西英人HomePage
◆画像拡大
■魚のエピソード
魚類の多様性生物学
------------------------------------------------------------------
尼岡邦夫 編著 東海大学出版会

▼しんさん

>鮭なんかだと、全ての魚が婚姻色に染まるのに、
>アイナメは黄色い個体が釣れる時期にも黄色くないのが釣れますよね。


>産卵の時期になっても成熟した雄で黄色くならないのも居るんでしょうか?
>それとも放精した後に黄色くなるんでしょうか?
>それとも、黄色くないのが釣れるのは全部雌なんでしょうか?


 という、しんさんの疑問に答えるのに、ついでだから、本の紹介もしちゃいましょう。
 この本、16のさまざまな魚のエピソードを集めた本なのですが、それぞれ第一線の研究者が、分かりやすく書いているので、魚類学の入門書としては最適です。

 この中の第10章に「アイナメ類の嫁とりと子育て」というのがあります。北海道大学の宗原弘幸助教授が、お書きになっています。

 アイナメの産卵行動を、この目で見たいと、北海道大学の大学院にすすみ、アイナメ、スジアイナメの産卵行動から研究を始めた先生の、さまざまな面白い知見が書かれています。

 まあ、そういう面白い話は、本を読んでいただくとして、最終的にアイナメの縄張りに水中カメラを設置して、600時間以上もアイナメの行動観察をしてはります。

 縄張り雄の黄色い体色は求愛時には鮮明になり、黄金色に輝くといいます。

 その縄張りで2週間の間に26回の産卵が行われたのですが、求愛行動はなんと327回も記録されたそうです。

 そして、無事に孵化した卵塊は9個だけだったといいます。

 産卵にいたらなかった301回の求愛行動のとき、雌は、どうも、その卵塊を食べようとしていたらしいのです。アイナメの、卵に対する共食いって、胃内容物を調べて、昔から研究者には知られていたのですが、なぜ卵食をするのか、わからなかったのです。どうも、雌は卵を食いに来ているようです。

 また、雄は卵塊から卵を食うことはなく、剥離した卵が、縄張りから流れ出るときに限って卵を食べていたそうです。剥離して流れた卵は、もうだめになりますから、雄がそれを食べても、保護を遺棄したことにはならないでしょう。雄は保護しながら、つまみ食いをしているわけではないようです。

 話が卵食いに脱線したな。

 26回の産卵のうち11回がスニーカーをともなったといいます。

 スニーカーとは、スニークからきています。

*sneak
1 《話》こそこそする人,下劣な人.
2 《俗》こっそり立ち去る[逃げ出す]こと.
3 《英俗》告げ口をする生徒(informer).
4 《〜s》ゴム底ズック(sneakers).

プログレッシブ英和中辞典 第2版 小学館 1987.より

 ということで、動物行動学でスニーカーといえば、ゴム底ズック(ズックなんて古い言葉だなあ)ではなくて、ペア産卵の時、こそこそ放精して、あわよくば、自分の子をつくろうという雄をいいます。ベラ科の場合のみ、隠れてやるのをスニーキング、飛びこんできて、ぱっぱと、いたしてしまうのをストリーキングと言ったりもします。ベラ科の産卵行動の論文で、ストリーキングとあっても、決して裸で走りまわることではないので、注意してね。

 この11回のスニーカーがきた産卵のなかには、3個体のスニーカーが、つぎつぎに飛びこんできたという派手なものもあったらしいです。大変ですね。アイナメの雄も。そして11回のスニーカー雄は、すべて放精に成功しちゃったようです。もちろん縄張り雄は、追い払おうと努力しているのですが…。

 一所懸命求愛しても、301回もの雌は、自分の保護している卵を食いに来た雌であって、なんとか追い散らし、やっといたせることになった、26回のうち、11回も間男が飛びこんできて、多いときは、まさに、その瞬間に3尾の間男が飛びこんでくるんだもの…。やってられないよね。

 スニーカーが飛びこんで放精した卵塊をふたつ、飛び込み方のパターンの違うふたつを、宗原助教授はDNAで父子鑑定をしてはります。ひとつ目は縄張り雄の子は30パーセント、ふたつ目は縄張り雄が97パーセントだったそうです。

 いろいろあるようです。いろいろ書いてはります。また本を読んでみてね。

 脱線しまくりだなあ。

 この縄張り雄が真っ黄色になり、スニーカーは黄色くないと、ぼくは思っていました。黄色い雄は大型しか見ないからです。しかし、ぼくは海底は見たことありません。ふつう図鑑には、黄色いのは雄の婚姻色としか書いていません。

 そこで、厚かましいなあと思いながらも、北海道大学の宗原弘幸助教授にメールで質問をしてしまいました。

 縄張り雄が黄色くなって、スニーカー雄は黄色くならないのでしょうねと…。

 すぐに返事をいただいて、ほんと恐縮するやら、感激するやらです。

 以下、縄張り雄の箇所だけ引用させてもらいます。

>お尋ねの件ですが,その通りであろうと思います。
>なお,婚姻色の黄色の濃さについては,地域により若干差があるようで,
>南では黄色は薄いとか,全身黄色にならないとかいわれています。私は,
>こちらのアイナメしか知りませんが,卵保護する大きな個体はすべて全身
>黄色になります。若齢のスニーカー専業個体は婚姻色を呈しません。


 瀬戸内海のアイナメが、あまり黄色くないのは、産卵期から外れているのか、典型的ではないのかなと思っていましたが、その疑問も解いていただきました。

 南のアイナメは、あまり黄色くならないのですね。

 以上。とりとめもなく書いてしまい、アイナメの面白い世界を書けたかどうか疑問ですが、どうぞ、この本を読んで、いろいろな面白い世界を垣間見てください。

 目次を引用しようと思ったのですが、東海大学のホームページの目次はコピーができませんでした。下記のURLにいって、見てみてください。

                           英人

■魚のエピソード
魚類の多様性生物学
---------------------------------------------------------------------
尼岡邦夫 編著
---------------------------------------------------------------------
http://www.press.tokai.ac.jp/bookdetail.jsp?isbn_code=ISBN4-486-01550-9
---------------------------------------------------------------------
ISBN4-486-01550-9 C1045 284頁 A5変判
本体価格2800円 2001年06月20日
---------------------------------------------------------------------
■騙す魚、超過激な生殖活動、魚の年齢、魚にかなづちがいる事実、帰郷する魚、魚の世界のニューハーフ、右利き・左利きの魚、変幻自在の魚、魚の性、古事記に登場する魚、そして水族館の話など―魚の形態、機能、行動、発生、生理、生態、遺伝などの分野で活躍中の研究者による最新、多様性魚類生物学16のエピソード。

[4793] Re:本>黄色いアイナメってなんだ?! 
2003/2/15 (土) 19:16:12 しん
▼ 小西英人さん
ありがとうございました。本はさっそく注文しました。

どうも一般的に使われる「婚姻色」とはアイナメの場合違うようですね。
なんか鮎みたい。鮎並ですね。

[4760] 図鑑>アイナメ>登録しておきました 
2003/2/13 (木) 17:41:49 小西英人HomePage
▼ しんさん

 アイナメの図鑑へのアップありがとうございました。登録しておきました。

                          英人


[4761] あれ?>:アイナメとババガレイが… 
2003/2/13 (木) 17:51:55 小西英人HomePage
▼ しんさん

 ぼくのパソコンでは、アイナメとババガレイの図鑑の画像がうまくでませんけど、みなさんも、そうなのかな?

 こうなると、なんでか分からないよ。ぼくのパソコンだけの問題だろうか?

                        英人

[▼次のスレッド]