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[8104] 成長>むかしの原稿が出てきました 
2003/8/25 (月) 21:13:27 小西英人HomePage
 いま、ニュー【WEB魚図鑑】の『魚類学入門』に、いろいろな文章を蓄積しようと思って、ぼくのパソコンのHDDを大捜索しています。

 なにせ、書きとばして、整理が悪いもので、なかなか出てこなくて、悪戦苦闘中なのですが、1994年に書いた、カレイ科の成長についての話が出てきました。

 これ、『新さかな大図鑑』の巻末付録の『魚類の成長表』をつくるために200ほどの成長論文を読んで、まとめていたときに書いたもので、中坊博士と、本格的につきあいはじめ、もまれていた頃のものです。

 病気をする前で、無理ばかりしていた頃で、元気だけはありました。体力にまかせて走った、ぼくの青春の最後だったかもしれません。

 懐かしくて…。

 あまり、いい原稿ではありません。釣りの週刊誌に、よう、こんな難しいこと書いたなあと思います。ぼく、文科頭で、数学など、からっきしですが、一所懸命勉強して書いていますねえ。でも、たぶん、数学頭には物足りず、文科頭には理解できない、中途半端なものですねえ。

 いまさら、質問されても、よう答えないかもしれませんけど、どんなもんかなと、ちょっとアップしてみます。

 カレイ科の成長表を参照しながら読んでね。

                            英人

[8105] 成長>日本産カレイ科魚類成長表 
2003/8/25 (月) 21:15:05 小西英人HomePage
==============================================================================
■日本産カレイ科魚類■成長表■

==============================================================================
             満年齢
 和名   地方  測定 注 性  1   2   3   4   5   6   7   ∞      引用 
==============================================================================
■   伊   標準 計 ○  127  223  279  330  356                森ほか(1986) 
イ    勢    体長 算 
シ     湾          ---------------------------------------------
ガ                 理 ○  139  225  287  332  365            449 
レ                 論 
イ                 ---------------------------------------------
             全長 理 ○  169  272  347  401  440 
                  論 
                   ---------------------------------------------
              体重 計 ○   49  253  485  932  935 
                 算 
                   ---------------------------------------------
                   理 ○   61  242  485  736  966           1755 
                   論 
       -----------------------------------------------------------------------
       周   標準 計 ♀  115  159  188  226  258  266  335      正木ほか 
       防    体長 算 ♂  118  161  183  205  220  247  304             (1986)
       灘          ---------------------------------------------
                   理 ♀  115  156  193  227  258  286  313  601 
                   論 ♂  118  159  187  207  220  229  235  249 
                   ---------------------------------------------
              全長 計 ♀  141  191  225  269  306  315  395 
                  算 ♂  144  194  219  244  262  293  359 
                   ---------------------------------------------
                   理 ♀  141  186  231  270  306  338  369 
                   論 ♂  144  191  224  247  262  272  279 
                   ---------------------------------------------
              体重 理 ♀   34   85  162  266  393  541  705 5276 
                 論 ♂   33   80  129  173  207  233  252  295 
       -----------------------------------------------------------------------
       銚   体長 計 ♀   97  217  298  364  401                庄司ほか 
       子         算 ♂   90  173  242  280                            (1982)
       近          ---------------------------------------------
       海          理 ♀   98  218  301  360  402            500 
                   論 ♂   91  177  238  280                 382 
                   ---------------------------------------------
              体重 理 ♀   22  221  570  958 1316 
                 論 ♂   20  116  253  392 
==============================================================================
■   新   標準 実 ♀       100  130  148  159  185           和田(1970) 
マ     潟    体長 測 ♂       100  120  135  142 
ガ     沖          ---------------------------------------------
レ                 理 ♀   37   77  110  135  158  178       296 
イ                 論 ♂   34   72  110  120  134            170 
==============================================================================
■   周   標準 計 ♀   90  158  175  218  253  268           正木ほか 
マ    防     体長 算 ♂   92  150  167  200  211  227                  (1986)
コ     灘          ---------------------------------------------
ガ                 理 ♀   90  149  193  225  248  265       313 
レ                 論 ♂   92  144  178  200  214  223       240 
イ                 ---------------------------------------------
            全長 計 ♀  112  192  123  265  306  324 
                  算 ♂  114  183  203  243  256  275 
                   ---------------------------------------------
                   理 ♀  111  182  235  273  300  321 
                   論 ♂  114  176  217  243  260  270 
                   ---------------------------------------------
              体重 理 ♀   17   79  171  270  362  441       708 
                 論 ♂   19   69  128  179  219  247       306 
       -----------------------------------------------------------------------
       東   標準 計 ♀  119  187  233  261  286  313           Solomon et al
       京     体長 算 ♂  109  174  199  214  246                .(1987) 
       湾          ---------------------------------------------
                   理 ♀  119  184  232  267  292  311       363 
                   論 ♂  108  169  205  227  240            260 
                   ---------------------------------------------
              体重 理 ♀   39  153  313  483  643  780      1254 
                 論 ♂   29  116  213  292  348            446 
==============================================================================
■それぞれの成長論文から小西英人が数字を抜きだし、表にまとめた
■長さはミリ、重さはグラム、小数点以下切り捨て
■年齢査定法はすべて耳石
■性の○は論文中で区別なし、∞は成長式による理論極限値、雌は♀、雄は♂

■引用した論文は以下の通り

■森浩一郎・木村清志・戸嶋孝・田代恵一.1986.伊勢湾におけるイシガレイの成長と成熟.
三重大学水産学部研究報告,(13).151-161.
■正木康昭・伊東弘・東海正・山口義昭.1986.周防灘産イシガレイの年令と成長.
日本水産学会誌,52(3):435-445.
■庄司泰雅・目黒清美・伊藤光正.1982.銚子近海のイシガレイの成長と成熟.
千葉県水産試験場研究報告,(40):67-74.
■和田克彦.1970.新潟県沖合産マガレイの資源生物学的研究.I年令と成長.
日本海区水産研究所研究報告,(22):31-43.
■正木康昭・伊東弘・東海正・山口義昭.1986.周防灘産マコガレイの年令と成長.
日本水産学会誌,52(3):423-433.
■Solomon,G.,M.Sano,M.Shimizu and Y.Nose.1987.
Age and Growth of the Pleuronectid Flounder Limanda yokohamae
 in Tokyo Bay,Japan. 
Nippon Suisan Gakkaishi,53(5):711-716.

[8106] 成長>カレイは雌しか釣れない? 
2003/8/25 (月) 21:17:27 小西英人HomePage
■週刊釣りサンデー■1994年12月4日号から転載
=================================================================
■カレイはなぜ、雌しか釣れない?■


  小西英人
=================================================================
●釣り師の足下には不思議がいっぱい。
○海の中、
●沈黙の世界、
○まだまだ未知の世界だぞ。
=================================================================
■成長論文から、カレイの謎を追ってみると……。


 マコガレイの雌が縄張りをうろうろしている。
 1尾の雄がきて、雌の上に乗り、体を微動させ、激しく圧迫すると雌は一部の卵塊を放卵して少し上昇する。
 雄は放精しながら追尾して、また雌をおさえるように乗って体を微動させる。
 何度も何度も繰り返して、すべての卵を放出する。
 佐藤羊三郎さんによる大分県日出の城下ガレイ(グルメには有名な別府湾産のマコガレイの俗称)の水槽内自然産卵の観察記録である。
 12月、1月。
 マコガレイ、イシガレイは産卵シーズンに入る。海の中では雄と雌がペアになって、こういうシーンが繰り広げられているのだろうか。


■成長の数字
何が見えたか

 「カレイは、なぜ雌ばかり釣れて雄がいないんだろう」
 ある日。そう聞かれて、はたと困ってしまった。
 確かに、さばいたとき卵巣のことが多い。ほとんどが雌だったような気がする。
 カレイは雌の方が多いのだろうか、雄は違うところにいるのだろうか、カレイは性転換魚なのだろうか、さまざまな疑問がわいてくる。
 カレイの成長論文を集め、年齢による成長の数字だけ抜きだして表にまとめてみた。
 何が見えた?
 答えは明瞭、カレイの雌はでかくなる。
 イシガレイもマコガレイも、雌の成長率は良くて、どんどん大きくなり、雄の成長率は悪いから小さいのが多い。
 周防灘のイシガレイで、釣り人の長さに近い全長での理論値を見てみると、7年で雌が369ミリ、雄が279ミリと90ミリの差が出ている。この全長の理論極限値を計算してみると雌で701ミリ、雄で295ミリと、倍以上も大きさが違ってくるのだ。
 雌が段違いに大きくなるから目立つのだ。雄はちっちゃくなっている。海の底、カレイの世界はカカア天下だったんだ。


■知っておく
自然の豊かさ

 魚って、どれくらい大きくなって、何歳くらいまで生きていくのだろう?
 そういう疑問を持つ人は多いと思う。
 どんな成長パターンを持っているのか?
 これは、水産資源学でも基礎的な研究になる。
 環境破壊と、人為的な圧力で魚の生態系が崩れ、日本の海がダメになるのではないかという危機感は誰でも持っている。
 「放流」「放流」と、官民あげて大騒ぎしている。
 放流よりも、何よりも、日本の水の環境が心配なら、いまの日本の自然の「豊かさ」がどれくらいあるのか、知っておく必要がある。
 それには、いろいろな魚の、産卵時期、産卵場所、そしてどれくらい成長して死んでいくのか、この基礎数字がはっきりしなければ、お話にならない。
 釣りサンデーでは、来年6月刊行予定で『新さかな大図鑑』を作っている。
 この新しい図鑑の巻末付録として、日本産魚の成長に関する論文から、年齢と成長の数字を抜きだす作業をしている。
 そのために集めた論文は200編ほど。
 驚いたのは、基礎的な研究なのに、釣り人が指折り数えあげるような魚は、そのほとんどが研究されていない。
 魚の年齢と成長の研究は、方法がむずかしく、めんどうで、ほとんど脚光を浴びないから、いまの水産学の研究者に「はやらない」ということらしい。
 基礎になる研究だけに、年齢査定に限らず、成長の論文は、実にさまざまな魚の謎をわれわれに教えてくれる。
 すべての論文に目を通して感じたことは、釣り人が考えているよりも魚の成長は遅いということ。当歳魚、2歳魚というのは大きさがそろっていて、ちょっとベテラン釣り師になれば、年齢の見当がつく。それ以上になると年齢が分からなくなるのだが、その2年ほどの成長ぶりから、大きくなるのが早いと勘違いするようだ。
 一般に魚の成長は、その初期には早く、だんだん頭打ちになるというパターンを追う。
 表から周防灘のイシガレイとマコガレイを見て欲しい。全長で雌が300ミリを超えるのに満5年かかっている。
 われわれが釣っている魚は、幼魚だと思っても、その大きさになるまでに何年もかかっているものが多い。
 産卵場をつぶしておいて「放流」すればいいという非科学的な態度に追随するのはやめて、釣り人も、科学的に生物の生態や生活史を勉強して、社会にもの申していきたいと思う。
 カレイの成長論文をもとに、魚の年齢査定の方法、問題点、そして魚たちの世界を、ざっと見ていきたい。


■個体の成長
年齢から知る

 「お誕生日は……」と聞けない魚の年齢査定の研究はむずかしい。普通には、鱗、耳石、脊椎骨などの、いわゆる硬組織の年輪のような輪紋を読みとることが多い。
 表にまとめているカレイの成長論文は、すべて耳石の輪紋から年齢を査定している。
 論文によって違いはあるのだが、耳石からの年齢査定法を簡単に書いてみる。
 耳石輪紋から年齢を推定して体長を出すというと、2輪あれば2歳魚で、というように魚を分けていき、それらの長さを測って平均すれば、各年齢の体長が出ると思う人がほとんどだと思う。そう簡単ではない
 耳石や鱗の径は魚体の成長につれて大きくなると思われ、この径と体長には関係式が成立する。また輪紋が1年に1回形成される年輪だとしたら、関係式をだしておくと、輪紋形成時の体長が分かることになる。
 たとえば、7輪の耳石を持つ個体があれば、関係式をだしておけば、その個体の1輪目の体長、2輪目の体長、3輪目の…というように、7輪にいたるまでの輪紋の形成時の体長が計算できる。ある個体の成長の過程が推定できるということだ。
 このように輪紋径から計算していく体長を、計算体長といい現在の成長論文の主流になっている。表の注にある「計算」というのがそれである。
 耳石は、透明帯と不透明帯が重なって輪紋を形成するが、この輪紋が、年輪かどうか、どう判定するのだろうか。
 年齢と成長の研究をするときには、最低で1年間、毎月毎月標本を採集する。周防灘のイシガレイの論文では3274尾、周防灘のマコガレイでは、実に4年間に渡って、11366尾の標本を採集している。
 これらの採集日、体長、体重などを記録して、頭蓋の中から耳石を取り出して、実体顕微鏡などを使って、透明帯、不透明帯の数を数え、中心から縁辺までの長さを正確に測る。
 それから月ごとに、耳石の縁辺が透明帯か不透明帯かのグラフを作っていくと、何月に透明帯ができて、何月に不透明帯ができるか分かる。この研究からカレイの耳石は年輪になっていることが分かった。
 次に、生殖腺重量と体重の重量比(成熟度指数などという)を月別にグラフにすると、産卵期の推定ができる。簡単にいえば、卵巣や精巣が重たくなると成熟度指数があがり、産卵期が分かるのだ。
 これで誕生日が分かるので、輪紋形成時をそれに合わせる。周防灘のイシガレイでいえば、産卵期が12月から1月、不透明帯の形成時期が11月下旬から1月の初旬になるので、透明帯形成完了時を年輪の基準にすることで満年齢時が分かるのだ。
 不透明帯が、いわゆる産卵マーカーになるようだ。
 これで、透明帯の縁辺部までの長さと標準体長の関係式をだせば、それぞれの輪紋の満年齢時の標準体長が計算できる。
 実際には複雑で、周防灘のイシガレイでは耳石径と標準体長の直線式が、耳石径によって3つでている。参考のために耳石径が2・36〜3・08ミリのときの雄の式を書いておこう。

 S.L.=77.08R-12.45

 SLは標準体長、Rは耳石の径を表している。
 魚類学では標準体長が多いのだが、カレイ類は伝統的に全長も使われる。そのために、標準体長から全長をだす関係式も割りだされることが多い。
 周防灘のイシガレイでは

 T.L.=1.155S.L.+7.7

 TLは全長。表の全長は、すべてそれぞれの関係式で、標準体長から計算された全長になっている。
 ついでながら体重は、体長に比べて不安定なので、成長の目安には使われない。体重は容積になるので体長の3乗に比例するという3乗則にだいたいあてはまるが、成長論文では、体長と体重の関係式も割りだして計算することが多い。表の体重もすべて体長の関係式から計算されている。


■最大体長と
理論の極限値

 成長というのは、はじめは驚くほど早くて、次第にゆるやかになり、高齢になると、ある値に近づいていくというパターンをたどる。
 表を見て、「理論」というのと「理論極限値」が、釣り人なら気になるだろう。
 計算体長がでると、その成長曲線を理論的な式になおして、普遍化したものにしておく。
 体重は外部から物質を取り入れて同化することによって増加し、呼吸で消費することによって減少する。同化量が呼吸量を上回るのが成長だという理論を1938年にベルタランフィーがたてて、この数理モデルから導いた成長曲線がある。
 ベルタランフィーの成長式だが、これが、よく実際の成長曲線に合うので、いまの成長論文のほとんどはベルタランフィーの式で理論体長を計算する。
 周防灘のイシガレイの雌のベルタランィーの成長式は次のようになる。

 S.L.=601(1-e(-0.126-0.087t))

 eは自然対数の底、tは、このばあい年を表し、その前の数字は時間の尺度を表す。
 601というのが、tが無限に大きくなったときの極限的に到達する体長を表している。
 この極限値は、さまざまな求め方があるけれども、計算体長の増加率から、ベルタランフィーの式に適合するかどうか検定するのにワルフォードの定差図というやり方をとるのが一般的で、その定差図から求める場合が多い。
 簡単にいうと、周防灘の雌のイシガレイは、その計算体長から、標準体長601ミリという極限体長に向かって成長スピードがにぶっていくという成長カーブが導きだされたのだ。
 この極限体長は、最大体長とは一致しない。
 一般に硬組織の年輪からの年齢推定の最大の問題点は、年輪があやふやで読みとりにくく、特に高年齢魚ほど推定が難しくなるということだ。
 カレイの耳石も、輪紋ははっきりしたものではなく、高年齢になるほど、ぼやけてくる。周防灘のイシガレイで、年輪が読めたのが7年まで。
 いえることは、1980年10月から1984年10月までに周防灘で捕れた3274尾のイシガレイの7歳魚までの成長から理論化した極限値が雌で601ミリだったということだ。
 この601ミリは、全長に直すと701ミリ。イシガレイの日本記録は山口県笠戸島で釣れた魚拓寸655ミリ。かなり妥当な数字がでているのではないかと思われる。
 ただし、周防灘のマコガレイの雌の極限値を全長に直すと378ミリ。これはマコガレイの日本記録570ミリに比べて極端に低い数字になっている。
 間違っているというのではない。周防灘の11366尾のマコガレイから理論化したら、378ミリになったということであって、漁獲されたものによるサンプルのぶれがでたのか、周防灘でこの研究した年に何らかの異変があったのか、それともこれが正常なのか分からない。
 理論体長と、極限値というのは、そういう数字だと思って欲しい。tに20年、30年という数字を代入しても、体長は計算できるが、寿命がそこまであるということでもないし、もちろん無限でもない。魚の寿命の研究は遅れている。
 また、日本記録クラスのような最大体長の個体は、単に寿命が長いのか、初期成長の時に偶然によって群から飛び抜けて大きくなり、餌がたくさん採れるようになった成長の良い個体なのか、研究者によって意見が違う。分からないのだ。
 表のマガレイで、注に「実測」とあるのは、満年齢をあわせるためにマガレイの産卵期になる2〜3月に採集した個体の実測体長の平均値。これは理論体長を検定するための数字だ。
 以上のことを頭に入れて、表をにらんでみて欲しい。
 伊勢湾と、銚子近海の成長スピードが、かなり早いように思うが、理由は分からない。
 ただ、伊勢湾の数字は、雌雄込みで研究しているから、ちょっと判断しにくい数字になっている。


■雄はどこに
性比なぜ違う

 カレイは雌しか釣れないと書いてきた。大嘘である。
 たとえば、大阪でいえば岸和田の一文字でクリスマスの前後には雄がほとんどになる。
 平均的には雌が多いのだが、一部、雄が多い時期がある。
 なぜだろう。
 千葉県水産試験場の庄司泰雅さんたちの銚子近海のイシガレイの論文におもしろいことが書かれている。
 銚子近海で月ごとの性比を調べると平均して65〜68パーセントと雌がやや多い。しかし、1978年1月には20パーセント、1979年1月には26パーセント、1980年2月には32パーセントと産卵期から産卵直後にかけて、雌が極端に少なくなるそうで、北海道余市沿岸の産卵期の漁獲調査でも、20パーセントが雌だったという報告があるそうだ。
 庄司さんは、産卵期に、雌雄で行動が違うのではと推定されている。
 南西海区水産研究所の正木康昭さんに、論文には書かれていなかった雌雄の性比について問い合わせてみたが周防灘では顕著なアンバランスはないようだ。
 ただ、周防灘のイシガレイの論文の考察のところにも、イシガレイは成長の良い個体や大型個体は、より深所に生息し、季節的に顕著な深浅移動が認められるから、群の分布範囲を正しく把握することが重要と書かれている。
 カレイは、群ごとに産卵場が違い、また雌雄で、ちがう振る舞いをする可能性が濃厚にあるようだが、群をきちんと追いかけて、総合的な研究がされたことは、まだない。
 身近な魚でも海の底で起こっているドラマ、簡単にはのぞけない。謎はいくらでもある。


■地味な研究
支えたい社会

 イシガレイの成熟最小体長は雌で2歳、165ミリ、雄で1歳140ミリ。
 マコガレイの成熟最小体長は雌で3歳、170ミリ、雄で2歳150ミリだという。
 成長論文で見てきたように自然は複雑で、時期、場所、条件で、まったく違うものであり一概には言えないのだが、カレイの成長は遅く、成熟は案外早く始まる。
 イシガレイの方が早熟で成長スピードが早いようだが、イシガレイの方が大きくなり、数も多いという、釣り師の経験則ともぴったり合う。
 カレイたちを守るために、さまざまな手を打たなければいけない状況だが、基礎研究はまだまだ遅れている。
 広い海の中で、どこからともなく雌と雄が集まってきて繰り広げられている産卵。
 健気に生きているカレイに思いを馳せ、暖かく見守りながら釣りを楽しんでいこう。
そして大ガレイを釣ったら、それまでの年月も思いやって欲しい。
 また、自然の「豊かさ」を計数化する、年齢と成長の研究を求めるようなムードが、釣り人から社会にでてきて、基礎研究の蓄積ができるようになればと願っている。
 こういう地味な研究を続けていくことによって、数字から、ほんとうの自然の姿が、かいま見えてくるようになるだろう。
 それは、社会の理解と応援がなければできないのだ。

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