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[8257] 怪投乱麻>WEB魚図鑑のこと書きました 
2003/9/4 (木) 20:33:50 小西英人HomePage
 来週発売の週刊釣りサンデー、怪投乱麻に、WEB魚図鑑のこと書きました。

 ご笑覧あれ。                 英人


■怪投乱麻Vol.102■週刊釣りサンデー2003年9月21日号より転載
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騒ごうぜ。面白がって集めようぜ


電子図鑑
連夜の裸踊りは恥ずかしいなあの巻


■顔がなあ。いかにも大陸的やろ、ゆったりしとる。日本のやつはなあ、こせこせしとるで。魚は顔で見分けるんや…、なんていいたくなることもある。
       ■
■自然に近づくことの第一歩は名を知ることである。などというと、なんでもレッテルを貼って、それで安心するのは、小賢しい奴のやることだと反発する人もいる。魚ならば、雑魚でいいんやないか。その雑魚を愛してやれば、それでいいんやないかと。「雑草という名の植物はない」と昭和天皇はおおせられた。そのとおりである。名のない魚などいない。いれば大発見だ。ヒトは言葉の動物である。森羅万象に名がつけられる。
■名を知ることを同定と思っている人が多い。ちょっと違う。生物の分類上の所属を決定することだと『広辞苑』にある。そうだ。もうちょっと厳密にいうと学名を決定することだ。学名を決定するには、もとになった標本を調べなければならない。そして、その標本と同じ物と認めることを同定という。ひとつひとつの魚に対し、そこまでできないので、文献など調べ、形態形質などあわせ、名を決める簡易な方法も同定というが、本来かなり大変なことで、専門の分類学者でないとできない。
■「写真同定」などと、気楽にいうが、本来、同定作業は標本がいるものであって写真で同定などできるはずがない。厳しい分類学者には、そう怒られる。しかし、研究者によっては、写真による形態形質で、かなりのところまで同定できるはずだ。それができないというのは、われわれの情報不足、勉強不足である。もっと情報を集めなければならないという人もいる。
■写真の場合、色彩や斑紋が中心になる。標本でやる場合、色が抜け白くなっていることが多く、計数形質が中心になる。そのため、同定するときの、色彩や斑紋の情報は少ないのだ。
■ぼくは標本をいじったことはない。しかし、長い釣りの中でたくさんの生きている魚を触り見つめてきた。そして『新さかな大図鑑』『釣魚検索』『釣魚図鑑』などの魚類図鑑を編むとき、写真同定する研究者たちに接し、そのノウハウを盗ませてもらった。そして、釣りサンデーに眠る数百万点にものぼる写真をルーペで覗きチェックし、議論した。小さなポジフィルムをルーペで覗き、鰭の数、鱗の数などを数えたりした。写真の場合、光の加減や、影によってイメージが変わるが、たくさん見ているうちに、頭の中で修正できるようになり、ある程度の同定ができるようになった。
■こう書くと、ばりばりに、写真同定できるように思われそうだ。さかさまである。知れば知るほど、知らないことが山のようにでてくる。結局は、写真同定などできないんだと思う。
       ■
■Niftyの釣りフォーラムから、インターネットで写真投稿型の魚図鑑データベースをやろうと、去年誘われた。そのとき、写真同定などできるはずないと大見得を切った。なのに引き受けた。なぜなんだろう。恩返しをしたかったのである。
■釣りサンデーにある数百万点の写真、それから絞った数十万点の魚の写真は、釣り人のみなさんが、せっせせっせと釣ったものだ。それを、ばったばったと同定したのは分類学者の中でもプロ中のプロの連中である。ぼくは、釣り人に育てられ、分類屋のプロに育てられて「図鑑編集者」になった。恩返ししなければなるまい。釣った魚の名を知りたいという自然な欲求にこたえなければなるまいて。
       ■
■よく失敗する。インターネットの【WEB魚図鑑】【さかなBBS】では、毎晩毎晩みなさんから魚の写真が投稿される。その写真だけで同定していくのはやはり難しい。日本産魚は四千種足らず、知らない分類群の方が多い。ときにアメリカ産、オーストラリア産などの外国産魚もアップされる。本職の分類屋でも難しいことをやるのだから一所懸命に勉強している。
■できるだけ同定のキーを書くようにもしている。写真がはっきりと写っているだけでは、無理なことも多い。尾鰭の斑紋がポイントだから尾鰭のアップもほしいとか、そういう細かいことも書いていく。そんな細かいことをいっても間違う。魚なんか細かいことをいわなくても顔を見たら一発でわかるといわれることもある。そうである。たとえば、タイリクスズキとスズキの差など、ほとんどない。
■顔がなあ。いかにも大陸的やろ、ゆったりしとる。日本のやつはなあ、こせこせしとるで。魚は顔で見分けるんや…、なんていいたくなることもある。
■しかし、印象だけでやると間違うこともある。印象ではなく確実なキーを探していかなければ、写真同定など進まない。
       ■
■写真がアップされる。とにかく『日本産魚類検索・第二版』(中坊徹次編・2000年・東海大学出版会)を見る。キーを確認し近似種を確認する。問題がないかチェックして、それから、さまざまな文献にあたる。それでも間違う。これはややこしいぞ、新種と違うかと専門の研究者に照会する。ごく普通のものですよ、あきれたような返事がくる。穴があったら入りたいよお。そんなことばかり。
■ああら、えっさっさああ!
■なんて、みんなの前で裸踊りしている気分になる。あほに見える。人前で写真同定などやると、読まれてしまう。あの魚見てないな、あの文献読んでないな、あの論文知らないな、見透かされる。ほんと、裸踊りである。恥ずかしい。やめたい。
■けど、釣り人、ダイバー、研究者…。さまざまな魚好きを集め、情報の交差点、魚好きのプラットフォームをつくりたい。紙の図鑑は間違えると訂正がいれにくい。電子図鑑は、どんどん直せる。みんなの前で、どんどん育てられる。つくって二年足らずなのに【WEB魚図鑑】は三四目一五一科五八〇種一八八七データにも育った。みんなで写真を集め、よってたかって同定し、育てた。まったく新しいデータベース図鑑なのだ。
       ■
■天照大神。このごろテンテルダイジンと読むのもいるらしいがアマテラスオオミカミ。彼女が天の岩屋に籠もり天地は常闇になった。天鈿女命、アマノウズメノミコトが裸踊りして大騒ぎした。天照大神は騙され、何事かと天の岩屋戸を開けた。世界には、また、光が満ちた。
■ぼくは、天鈿女命なんだと思う。裸踊りをしていると、あなた、そう天照大神が面白がって覗いてくれる。情報が集まる。蓄積ができる。光が満ちる。

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