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[▲前のスレッド]

[8639] アリゲーターガー 
2003/9/26 (金) 10:08:39 竿徹
皆さん こん○○は 博多の竿徹です

親族に不幸が有り静かにしていたのですが…先日のTVニュースを
見ていて残念でしたので…

「大阪の住宅街の溜池でアリゲーターガーが捕獲される」

フナや鯉が居る普通の池にシーラカンスと同時代から生息すると言
われる古代魚が居た。熱帯魚をやった経験のある人間ならばピンと
来たことと思います。頭はワニ、体はライギョ(パイク)、餌は生き
た物しか捕らない、歯はワニの様に鋭い歯が並んでいる。
こんな魚を普通の人が見たら驚くでしょうね。

アリゲーターガー、スポッテットガーと言う名前で熱帯魚ショップ
に売られています。売られている時は鉛筆サイズや大きくても30
cm位ですが2000円〜3000円ほどで買えるのです。餌は小金と言っ
て金魚掬いのあの赤い金魚やモエビ、コウロギ、などを与えれば
ドンドン大きくなってしまいます。さらに少々の水質変化にも対応
出来てブラックバスと同じ様に冬越しも出来るようになります。
そうなると、いくらマニアとはいえ大きくなり過ぎた魚は、自宅で
飼えなくなって来ます。そんな無責任なマニアがこっそり捨てたの
です。まあ普通池で遊んでる子供に食い付くなんて事は無いと思い
ますが、その魚は水面近くでじっとしている事が多いです。
そんなの見たらワニだ!と驚くでしょうね。

バブルの頃買い漁ったアロワナなんかもそこ等に居るかもしれませ
ん。カミツキガメなんぞは間違って子供が触ると指を食いちぎられ
ます。しかしそんな無責任な捨てペットが生態系を崩してしまいま
すし、変なハイブリッド種も出てきます。カブトムシ・クワガタも
ハイブリッドが殖えているみたいだし…

ショップで売られている熱帯魚ですぐに大きくなって飼えなくなる
魚を一部書きますとパイロットフィッシュ、ツバメウオ、アリゲー
ターガー等がすぐに大きくなってしまいます。
パイロットフィッシュってジンベイザメの鼻先に金色の小さな魚が
泳いで居るのをTV等で見たこと有りませんか?
ショップで売ってる時もこんな小さくて金色に輝く綺麗な魚です。
しかし、食欲旺盛ですぐに大きくなり30cm以上になってしまい
ます。形は黄金のアジです。こうなると可哀想ですが塩焼きにして
食べるしかないでしょう(^^;

皆さん、生き物を飼う時は成魚になったサイズも聞いて最後まで面倒
をみてあげる覚悟で飼いましょうね。

ちょっと場違いだったでしょうか(^^;>小西さん

[8640] 放流>アリゲーターガー困ったもんです 
2003/9/26 (金) 12:11:07 小西英人HomePage
▼ 竿徹さん

 いや、情報提供、ありがとうございます。ほんと、困った問題です。このまま行けば、アクアリストは、かなりの社会悪にされてしまいます。

 魚好きが多いと思うのに、いちぶの非常識な人のために…、ぼくはアクアリストではありませんが、同じ魚好きとして、まじめなアクアリストの心中を思って残念です。

 密放流のおかげで、釣り人も、かなり社会悪になってしまいましたもんね。まだ、わからない釣り人やら、プロやらいて困るけど。

 話を戻します。

 ここ数年、関西では、このての放流が多くて、へたすれば、ガーも、移入種になるおそれがあります。琵琶湖でも報告があります。

 ガーは、ガーパイクなどともいい、ガー目 Lepisosteiformes、ガー科 Lepisosteidae で、北アメリカ、中央アメリカ、キューバなどで、2属7種います。

 アリゲーターガー、スポッテッドガー、などが有名ですが、ロングノーズガー、ショートノーズガーなどいます。

 大阪の野池で捕獲されたアリゲーターガーの写真が、うちの編集部にもちこまれて、ぼく、同定のために文献を調べたのですが、"The Fishes of Tennessee"というのを見ていて驚きました。

 1910年から1930年の間に撮影されたと思われるテネシー州、メンフィス南方のムーンレークの、アリゲーターガーの写真が載っていたのです。木の台に横たえたアリゲーターガーと人の写真です。。

 推定全長3m、驚きますよ!ほんとうに!

 フィッシュベースの記録も3mになっていますね。

305 cm OT (male/unsexed; Ref. 3221); max. published weight: 137.0 kg (Ref. 3221)

■Alligator gar
http://www.fishbase.org/Summary/SpeciesSummary.cfm?ID=1073&genusname=Atractosteus&speciesname=spatula

  ぼくところに持ちこまれた写真のアリゲーターガーは、京都大学に送ってもらい、アリゲーターガーと標本で同定されましたが、1メーターほどです。でも、あとで、口の中の写真を見せてもらいましたが、あれは凄い。歯なんてものじゃない。歯だらけです。

 こういう怪物を金儲けだけで輸入して並べ、好奇心だけで買っちゃうというのは、ほんと、なんなんでしょうね。

 海でも、困った放流問題が起きています。

 まえまえから、噂はあって、ぼくも、ここで、ちらりと書きましたが、はっきりと問題になったのです。

 スパインチーク・アネモネフィッシュが伊豆半島、静岡県伊東市富戸の浅瀬に6月下旬あらわれたのです。

 フィッシュベースでは、これです。

■Spinecheek anemonefish
http://www.fishbase.org/Summary/SpeciesSummary.cfm?genusname=Premnas&speciesname=biaculeatus

 分布をやはりフィッシュベースから引用してみます。

Indo-West Pacific: Indo-Australian Arch. including India, Burma, Thailand, Malaysia, Indonesia, Philippines, New Guinea, New Britain, Solomon Is., Vanuatu, and Australia (northern Queensland).

 こういうのが、伊豆半島に流されてくるのは、やはり、おかしい。

  神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能宏博士が調べはったようです、瀬能博士の結論を朝日新聞の9月5日の記事から引用すると。

(1)稚魚が浮遊生活をする期間が短く、海流に乗って分布を広げる可能性が低い
(2)体の大きな個体がいきなり現れた、
 などの理由で「移入種とみるのが妥当」と結論付けた。

 ということです。

 これ、怖いよねえ。

 まえまえから、ダイバー系の研究者に聞いていました。

 日本初記録種とか、珍しいとかいうと、誇らしいし、客が来るので、どうも海中で熱帯魚屋から購入した魚を放流しているらしいと…。

 こんなもん。困った。

 これから、ぼくらが、変な魚を見つけると、奇形を疑い、交雑を疑い、放流を疑わなければいけないやんか。

 それに放流個体が交雑した場合、話は、どんどんややこしくなっちゃうもんね。

 ほんとうに、何を考えているんだろう!

 朝日の記事の終わりを引用しておきます。

 日本の海には、6種類のクマノミ類が生息している。瀬能さんは「1匹でも、在来のクマノミと交雑する危険性がある。越冬できるかどうかは分からない」としている。
 初めて目撃されて以来、1000人を超すダイバーがこの魚を見に訪れているという。

                             英人

[8641] Re: アリゲーターガー 
2003/9/26 (金) 12:37:00 ぐっち
竿徹さん、こんにちは。

そのアリゲーターガー、我が家の近所の池にもいるって話しを聞いたことがあります。
で、腕に覚えのある?若者が釣り上げてみせる!とか言ってたそうな。

半年以上前の話しですが、その後どうなったのやら判りません(~_~;)
ペットの飼育。本当に気を付けなくてはならないですね。
魚だけでなく、犬・猫なども。
自分の都合を最優先させ、自分の行為で他人や他の生き物がどうなっても構わないという、誠に身勝手で責任感の無い輩は安易に生き物を扱う資格などないですね。


昨日、小学6年の長男が学校で貰ったのか?パンフレットを持ってきました。
淡水の水族館で、会館記念として無料開放の案内だったのですが、その中にヤマメのタマゴを配布するから、子供達に飼育させて放流しましょうとの案内がありました。

近くの川に生息しているヤマメのタマゴなら問題ないかな?と思いましたが、実際のところはどうなんでしょう?
川が1本違っても厳密には生態系に影響が出てしまうんでしょうか?そもそもタマゴの出所が分かりません(~_~;)

問題がなければ、子供達に薦めてみようかな?あるいは問題であれば、そのことをちゃんと子供達に教えてあげたいと思っています。
どなたか教えてくださいm(__)m

   ぐっち@Saitama


[8642] Re2: アリゲーターガー 
2003/9/26 (金) 12:48:01 小西英人HomePage
▼ ぐっちさん

 ヤマメの発眼卵の配布放流ですよね。

 それぞれで育てて、孵化させて、放流しようという。

 いろいろ難しいでしょうね。ぼくは、なんともいえない。

 殺されてしまったゴリラ研究者、ダイアン・フォッシーをモデルにした映画『愛は霧のかなたに』(それにしても、この邦題ないよな)のなかで、ゴリラの密猟者が、子供たちが最初に動物に興味を持つのは動物園だと強弁していましたけど…。

 子供たちを、あんまり、だしに使わんといて欲しいなとは思います。

 カムバック・サーモン運動なんてのもありましたね。多摩川に放流でしたっけ。これは欺瞞性が強かったですね。

 でも、いま都会の子が、魚に興味を持つのは、こんなところかもしれないし、ヤマメは渓流の女王などではなく、人工の魚になっちゃっているのかもしれません。

                             英人

[8644] ヤマメの放流 
2003/9/26 (金) 20:09:36 ぐっち
小西英人さん、こんにちは。

> ヤマメの発眼卵の配布放流ですよね。

そうです。県営の「さいたま水族館」が20周年ということで、そのイベントの1つになっているようですね。


今じゃ鮭って言われても、切り身しかイメージできない子供達は多いようですしね。
まぁ我が家の場合は、メダカの孵化を子供に見せられたからそれでよしとするか(~_~;)

   ぐっち@Saitama


[8643] Re2: アリゲーターガー 
2003/9/26 (金) 15:49:08 竿徹
ぐっちさん、こん○○は 竿徹です
>で、腕に覚えのある?若者が釣り上げてみせる!とか言ってたそうな。

どこだったか?瀬音だったか?大分県有名な湯布院温泉に金鱗湖
ってのがあります。テラピアがわんさと居ますがその中にガーが
居ると聞いたことあります。「野良ガー」って言ってたかな。
しかしそこで竿振るのはちょっと・・・観光客たくさん居るし(^^;

>ヤマメのタマゴを配布するから、子供達に飼育させて放流
>しましょうとの案内がありました。


これも「?」ですね。
ご存知の様に日本の渓流にはヤマメ域とアマゴ域があります。
放流する魚はヤマメ域にはアマゴが放流されています。
成長度合がわかるから?しかし中流にはアマゴがいて上流に
はヤマメが居る・・・おかしなもんです。
人間の身勝手でヤマメを棲めなくして居なくなったから違う
ヤマメを放流する・・・やっぱしおかしい。
まあ居なくなった物は放流すれば見た目は同じ魚が泳いでいる
ので復活した!と言う方も居るでしょうが。

>問題がなければ、子供達に薦めてみようかな?あるいは問題
>であれば、そのことをちゃんと子供達に教えてあげたいと思
>っています。どなたか教えてくださいm(__)m


放流するより、なぜその川に魚が居なくなったか?を教えた
方がいいと思うんだけど。

  【竿徹@博多】 第一回カレイダービー石鰈王
     [九州アナゴ大王・博多雨男]
-- CMN v0.34β --

[8645] 放流の是非について 
2003/9/26 (金) 23:19:59 ぷいぷいユッケHomePage
▼ 竿徹さん

放流、困りますね。

今年の春に神奈川県立生命の星・地球博物館で、
昆虫の移入種問題に関するシンポジウムが開かれたのですが、その時に研究者の方が、

「飼育しきれなくなった個体は放さずに殺してくれ!」

と、熱弁していましたけど、確かにその通りだと思いつつも、
生命の尊さのみを視点に考えると矛盾するんですよね。

そこが「飼育個体を放す」という問題を難しくさせていて、
かつ、自然科学の認識の在り方に問題がある人が沢山出てくるのでしょうけど、
やはり大所高所から見ると、生態系を乱す方が罪悪になるのかなぁ。

ただ、サンフィサシュ科魚類以外の外来種についての放流に関する法規制がないことや、
漁協などが行っている、サケ科魚類やスズキ目魚類などの商業的な意味での放流、
こういったことから、「放流」が持つ意味について誤認してしまうケースも多いでしょう。

タマちゃん騒動とかもありましたけど(関西方面でもニュースになっていたのでしょうか?)、
北の海に返すべきだと主張する人と、そのままにしておくべきという人が、
世論調査で大体半々に出たという驚くべき結果が出たことも記憶に新しいところですけど、

その他にも高校の生物の教員をしている人ですら、放流されているコイについて、
「ヘドロを食べてくれるからいいんだ!」なんて言っちゃう人がいる世の中ですから、

人々の意識を改善していくことから始めないとならない問題だと感じると同時に、
簡単には解決していけない問題であることは間違いないと思います。


他の例では、多摩川でも飼育されていたものと思われるオヤニラミが、
托卵で有名なムギツクがセット放流されたようで、再生産して定着してしまっています。

メダカやサケ科魚類の遺伝子の撹乱に関する問題と含めて、
国内産の移入種についての問題については、
サンフィッシュ科魚類を始めとする外国産魚の移入種よりも認識が広まっていない感もありますし、
「放流」が抱えている問題は本当に山積みです。


また、飼育しきれなくなったから放すという考え方の他にも、
「自分の近くの川・海でもこの魚が見られたらいいのに!」
という考えで放流する人もいるのが恐いです。

例え商業的な理由であれ、子供はもちろん、大人にも、
その「放流」による目的だけでなく、その意味の恐ろしさを教えていくべきだと思いますけど、

私の複数の知人から聞いた話はどれも、
特に教育学部出身の生物の教師(中学、高校)が持つ自然科学の認識の在り方には、
疑問を抱かざるを得ない状況ですし、教える側がこれでは……
という危機感を私は2年前位から感じています。


> 皆さん、生き物を飼う時は成魚になったサイズも聞いて最後まで面倒
> をみてあげる覚悟で飼いましょうね。


私は現在、ウナギ、シマドジョウ、ヌマチチブ(全て相模川産で自ら採集)を飼っていますけど、
死んだら(若しくは飼い切れない状態に陥ったら)標本にするか、食べるつもりです。(^_^;:;

ここで「放流」という手段にとるかとらないかは、
個人の意識に関わってくる問題だけに放流は良くないという社会の流れを作るためにも、
こういった教育は徹底して欲しいと思います。

アクアリストの中には、
「飼育魚自体、買わずに自ら採集しゅべき!
 買うから、絶滅危惧種、危急種や外国産魚を扱う店が儲けられるんだ!
 そして、飼い切れなくなって放流して、また買うという悪循環が生まれる!」
という意見を言う人もいます。

売る側も大きくなる魚とわかってて売るのも確かに悪い気もしますけど、
やはり、個人の意識かな。と思いますね。

個人でできることって言ったら、やはり地道に周りに訴えていくことだけなのでしょうかね?
それで間に合うものなのか、疑問で仕方がないです。

[8646] Re:放流の是非について 
2003/9/27 (土) 00:09:05 竿徹
▼ ぷいぷいユッケさん
> 放流、困りますね。

放流と言うのは便利な言葉ですね。博多では「放生会(ほうじょうえ)」
という祭りが有ります。生き物を殺して来た事を哀れ放つ…だったか(^^ゞ
生態系を壊すなんぞ考えなくて殺さずに生かす、これで捨てる人は救われ
たと思う。捨てる人には罪悪感はないです。

> 「飼育しきれなくなった個体は放さずに殺してくれ!」

これ、判りますねえ。悲しい事ですが。
あたし等、小さい時昆虫や小魚を沢山殺して今偉そうなこと言ってますが
経験しないと言えないかもしれませんね。

> ただ、サンフィサシュ科魚類以外の外来種についての放流に関する法規制
> がないことや、漁協などが行っている、サケ科魚類やスズキ目魚類などの
> 商業的な意味での放流、


種子類、たとえば果物等は海外から持ちこみまで関税でしっかりチェック
しているけど、魚に関しては大西洋で捕ろうが黄海で捕ろうが持ちこみ
出来るんですね。って、漁師が捕った魚ですよ。海には国境が有るけど魚に
はないからだろうけど。
開高 健の「フィッシュオン」に竿を消毒する国の話しが有りましたが
意味有るようで無意味?の感も。

> アクアリストの中には、
> 「飼育魚自体、買わずに自ら採集しゅべき!
>  買うから、絶滅危惧種、危急種や外国産魚を扱う店が儲けられるんだ!
>  そして、飼い切れなくなって放流して、また買うという悪循環が生まれる!」
> という意見を言う人もいます。


なるほど。良い話しですね。ってあたしもアクアリストです(^^ゞ
輸入魚は綺麗なんです。ついそれにひかれます。
しかし、国内の魚もじっくり飼うと綺麗ですよ。家の水槽にエンゼルと
一緒にスジエビやチチブが棲んでます。近くの池でボウズが掬って来た
んですが、飼えば飼うほど美しい色に成るんです。
ヤマメも水槽で飼えれば素晴らしい色を堪能出来ると思うんですが。

[8652] 放流>第五種共同漁業権について 
2003/9/27 (土) 10:13:25 小西英人HomePage
▼ ぷいぷいユッケさん

 たぶん、ぷいぷいさんは、間違えていないと思いますが、知らない人が誤解したらいけないので、ぷいぷいさんの文章の下のところの「商業的な」に蛇足をいれておきます。

> 漁協などが行っている、サケ科魚類やスズキ目魚類などの商業的な意味での放流、
> こういったことから、「放流」が持つ意味について誤認してしまうケースも多いでしょう。
>


 内水面の放流を漁協の「商売」だと思っている人が多いのですが、内水面の漁業権は、第五種共同漁業権といい、漁業法に、きちんと規定されています。

 いわゆる放流義務の伴う漁業権で、内水面の漁業権は、これしかありません。

 漁協は、自然の川を区切って、商売のために放流して、客から金を取ってもうけることはできないのです。

 漁協は、増殖をしたいとおもう魚種のみ、知事の認可を経て、遊漁を制限することができるのです。そして増殖をしなければなりません。

 だから、漁業権魚種を決めなければならないし、だから、ブラックバスを、漁業権魚種にした場合は、法律で、漁協は、放流して増殖しなければならなくなります。

 この辺が、問題になります。

 まあ、放流=増殖という形だけできたことも問題ですが。

 また、鮎釣りも、渓流釣りも、漁協が商売して、釣り人が客で、どんどん放流して釣らせろというものではないのですが、この辺、いくら書いても、釣り人はわかってくれません。いわゆる名人たちもそうです。釣ったら偉いのです。連中は。

 日本の川を、すべて、放流釣り堀にしたのは、ぼくは釣り人の責任だと思っています。

 まだ、若い頃、関西のある漁協が、アマゴの発眼卵放流にとりくんでいました。自然のアマゴを取り戻そうとしたのですね。それで、解禁日に、まったく釣れなくて、釣り人が、金返せと漁協におしかけ、大騒ぎになって、後日に成魚放流を約束させてしまった騒動がありました。

 これに、がっかりして、ぼくは渓流から遠ざかりました。

 まあいま、法理念や、理想はともかく、現実として、内水面漁協は商売やろ、金取ったら、魚をいれんかいという釣り人が、ほとんどになっていますけどね。

 どちらにしても、近畿大学の細谷和海教授が『日本の希少淡水魚の現状と系統保存』(長田芳和・細谷和海編・日本魚類学会監修・緑書房・1997年)のなかで提案しているような、ミチゲーションを、第五種共同漁業権のかわりに考えていかなければならないのですが…。

 ちょっと、ぼくの文章から引用しておきます。

            ■
■河口湖にクルメサヨリやクサフグが泳ぐという。ブラックバスが漁業権魚種に認定され、北浦や霞ヶ浦のブラックバスを買いあさり放流を続けるからである。河口湖は放流釣り場でもなければプールでもない。放流義務の伴う第五種共同漁業権というのは、成果はおさめたと思うが、もう、見直さなければいけないのだろう。
■細谷博士は本書で釣り具メーカー、漁業協同組合、釣り団体にミチゲーションをもとめる提案をしている。
■ミチゲーションとは、簡単にいうと「補償」である。自然を使わせていただいて損ねてしまうのなら、その分を補償しましょうという考え方である。
■釣りは悪いことだとは思わない。水辺の環境を五官で知ることができ、魚を好きになる。しかし、知らず知らず、すさまじい環境負荷をわれわれは水辺にかけてしまっている。ローインパクトをこころがけて、なおかつ、われわれの補償をも真剣に考え、議論しなければいけない時代なのだ。そして漁業権魚種のみ、どぼどぼ放流したら資源は守られ、人は幸福だという二十世紀は、ぼくらの、頭と口と手で、終わらさなければいけない。
            ■

 ブラックバスも、サケ科魚類も、コイ科魚類も、すべてをきれいに考えなければいけませんね。大変です。

 それでは、最後に漁業法から内水面の部分を抜いておきます。


                              英人


 (内水面における第五種共同漁業権の免許)
第百二十七条 内水面における第五種共同漁業権は、当該内水面が水産動植物の増殖に適しており、且つ、当該漁業の免許を受けた者が当該内水面において水産動植物の増殖をする場合でなければ、免許してはならない。

 (遊漁規則)
第百二十九条 内水面における第五種共同漁業権の免許を受けた者は、当該漁場の区域においてその組合員以外の者のする水産動植物の採捕(以下「遊漁」という。)について制限しようとするときは、遊漁規則を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。
2 前項の遊漁規則(以下単に「遊漁規則」という。)には、左に掲げる事項を規定するものとする。
 一 遊漁についての制限の範囲
 二 遊漁料の額及びその納付の方法
 三 遊漁承認証に関する事項
 四 遊漁に際し守るべき事項
 五 その他農林水産省令で定める事項
3 遊漁規則を変更しようとするときは、都道府県知事の認可を受けなければならない。
4 第一項又は第三項の認可の申請があったときは、都道府県知事は、内水面漁場管理委員会の意見をきかなければならない。
5 都道府県知事は、遊漁規則の内容が左の各号に該当するときは、認可をしなければならない。
 一 遊漁を不当に制限するものでないこと。
 二 遊漁料の額が当該漁業権に係る水産動植物の増殖及び漁場の管理に要する費用の額に比して妥当なものであること。
6 都道府県知事は、遊漁規則が前項各号の一に該当しなくなったと認めるときは、内水面漁場管理委員会の意見をきいて、その変更を命ずることができる。
7 都道府県知事は、第一項又は第三項の認可をしたときは、漁業権者の名称その他の農林水産省令で定める事項を公示しなければならない。
8 遊漁規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。その変更についても、同様とする。

[8667] Re:放流>第五種共同漁業権について 
2003/9/28 (日) 02:58:44 びょんびょん
>  日本の川を、すべて、放流釣り堀にしたのは、ぼくは釣り人の責任だと思っています。

多くの釣り雑誌のたぐいにも責任がありますよ。

啓蒙なんて二の次ですから。

[8668] Re2:放流>第五種共同漁業権について 
2003/9/28 (日) 06:35:46 小西英人HomePage
▼ びょんびょんさん

 ぼくが、釣り人というのは、社会に対しての釣り人であって、社会が悪いのでもなければ、漁協が悪いのでもなく、ぼくたちみんながつぶしてしまったといっているのです。もちろん雑誌も、もちろん名人も、もちろんふつうの釣り人も。

 無知蒙昧を啓かなくても、常識の問題だとも思うのですけど、目の前の欲望に流されると言うこともあるのでしょうね。

                            英人

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