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[10592] 標準和名>マゴチをめぐる冒険…2 
2004/3/13 (土) 09:39:16 小西英人HomePage
▼ びしまぐるいさん

■魚たちのお話●3 学会|標準和名

 読んでもらえました?

 それでは進めますね。

 ジョルダン・田中・スナイデルの『日本産魚類目録』 "A Catalogue of the Fishes of Japan" D.S.Jordan S.Tanaka and J.O.Snyder,1913 からマゴチの記載を見てみましょう。この本こそが、日本の標準和名の始まりだと思ってもいいのです。

 本書では、ふつう、和名はひとつなのですが、マゴチは、みっつ記載されています。

 Kochi;Magochi;Gingochi

 です。コチ、マゴチ、ギンゴチ ですね。

 ちなみに学名は Platycephalus indicus (Linnaeus) となっています。

 澁澤敬三の『日本魚名集覧』(角川書店・1958年)を見ますと、標準和名「コチ」の地方名として、10あまり紹介していますが、上記の本から引用して、ギンゴチと、マゴチを収録しています。ギンゴチは説明ありませんが、マゴチの説明として下記のようにしています。

 マゴチ(東京でイネゴチ類をコチというため、区別している)となっています。

 ちょっと、いい加減なところもあり、あまり好きな本ではないのですが、日本魚類学会が編した『日本産魚名大辞典』(三省堂・1981年)を見てみましょう。

 標準和名は「コチ」になっており、別名として「マゴチ」があげられています。この場合の別名は、標準和名に準ずる名前と思ってもいいでしょう。この出典として、高木正人の本はいいとして、富山一郎、阿部宗明、時岡隆の『原色動物大図鑑』(北隆館・1958年)をあげています。どうも、東京大学の田中は「コチ」をメインに提唱しているのですが、東京大学系の研究者の本で、「マゴチ」をメインに記載しはじめたようです。

 阿部宗明の『原色魚類検索図鑑』(北隆館・1963年)を見てみますと、標準和名の扱いは マゴチ(コチ)となっています。

 日本産全種の魚類を、写真でまとめた画期的な図鑑『日本産魚類大図鑑』(東海大学出版会・1984年)では、コチとなっており、ほとんどの日本の図鑑では、コチと扱われることが多いようです。

 中坊徹次が『日本産魚類検索』(東海大学出版会・1993年)をまとめたとき、いままでコチとされていたものを、図鑑でははじめて、ヨシノゴチと、マゴチの2種に分けています。この本は、日本産の全種を最新情報であつめていますので、ぼくは、簡単に言うと、これこそいまの標準和名の典拠にできるものだと考えています。だから、ここでマゴチが提唱されたのなら、ぼくは「マゴチ」が標準和名であって、コチは使わない方がいいと思っています。この辺の考え方は、ややこしいので、下記のお魚エッセイも、参考にしてみてください。

■魚たちのお話●5 書評|日本産魚類検索
http://fishing-forum.org/zukan/hideto/sakana/sakana5.htm

 ちょっと、用事があるから、つづきはまたあとでね。     英人