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[13743] 書評>『決定版 日本のハゼ』>Aハゼにはまろうぜ! 
2004/10/1 (金) 18:40:16 小西英人HomePage
◆画像拡大
■『決定版 日本のハゼ』より、マハゼとアシシロハゼのページ。

▼ みなさん

 縦が20cm、横が13cmほど、ややコンパクトな縦長の判型の本書は、全536ページのオールカラーになっています。

 釣り人には、なじみがありますが、ハゼ屋さんには面白くない、マハゼと、アシシロハゼのページを引用してみました。

 基本的には、このように、1種1ページのレイアウトになっていて、写真が1種に2葉あります。持ち運べるくらいの判型でありながら、写真同定するのに十分な写真の大きさを確保しています。

 これは、ほんとうに嬉しいことです。

 また、水中生態写真といえば、美しくても、同定に使えないのものが多いのですが、本書の、こだわりは、半端ではありません。そのほとんどの種が、水中でいながら、鰭をめいっぱいに立てて、写真同定のテキストになってくれます。

 種の解説は、【WEB魚図鑑】でも、おなじみの鈴木寿之さんが書いてはりますが、ストイックな短い文章で、生息状況、分布、特徴、文献をいれてあります。

 特に、近似種の見分けは、きびきび、書いてくれてはります。

 30年間、西表島に通い詰めて、西表島に青春のすべてをかけているあいだに、見かけは、ただの、おっさんになってしまった鈴木寿之さん。彼の手元には、その青春と引き換えにした膨大な標本と、膨大な写真と、膨大なフィールドノートが散乱しているはずです。(行ったことはないので、人から聞いた噂からの伝聞推定ですが…)

 その膨大な散らかった青春、じゃなかったデータを見直して、他の研究者のデータ、論文をすべてあたって、頭の中に入れてから、これだけ簡潔に書くのは、ほんとうに大変だし、ほんとうにストイックだと思うのです。

 けれども、そのように情報を刈り込んで、エッセンスだけ470並べてくれているからこそ、ほんとうに、この本は、いま、ハゼ亜目魚類の原点に立てる本だと思います。

 巻末の参考・引用文献リストだけでも308あります。これだけでもハゼ学の文献リストとして貴重です。

 鈴木さんは、単なるガイドブック図鑑としても、ハゼ入門書としても、ハゼ専門書としても、かっこうのものになったと自画自賛していると書かれていますけど、ほんとうにそうだと思います。

 釣り人はハゼを知らない!

 ほんとうに、知らなさすぎると思います。

 ハゼ屋さんをマニアックだと書いてきましたが、魚の好きな連中は、みんな知っているのです。

 ハゼの多様さ、その面白さ…。

 研究者が、ハゼ屋さんたちに、いろいろ言うのは、一種の妬みなのです。そら、あんな面白そうなこと、やっているんですもの。

 釣り人よ、ハゼなんて、それほど釣れないから、知らないなんて思うのが間違いです。あなたの足元に、いろいろなハゼが、ひしめいています。磯のゴロタ石のところでも、ちょろちょろ伏流水が流れていたら、めくってみたらいいよ。ひょっとしてミミズハゼ属の未記載種が、あなたに発見してもらうのを待っているかもしれないのです。

 ハゼの魅力に、矢野さんの写真と、鈴木さん、渋川さんの解説で、はまってみてください!

 そうそう。

 鈴木さんの青春だった、西表島の浦内川が、えらいことになっています。

 浦内川の河口にリゾートホテルが建ってしまったのです。

 琉球大学で行われた、公開シンポジウムで、鈴木さんは、このリゾートホテルによって、日本一多様な生態系を保っている浦内川の危機を訴えました。

 台風の影響で、連絡がついたひとだけが集まった、非公開シンポジウムになっちゃったのは残念でしたが、それでも、いろいろな人が集まり、鈴木さんの講演の後、熱心な討議がありました。

 日本に、これほどのところがあることを、みんな、知らない!

 鈴木さんは嘆いてはりました。

 魚類学会でも要望書をだしています。
 http://www.fish-isj.jp/info/030612b.html

 矢野さんは、西表島でダイビングをしてはります。

 いま、「ハゼ学」が、まとめられたのは、多様性にかけては世界一の、西表島、浦内川が基礎にあったからです。「西表学」があったからこそ、まとめられたのです。

 その辺にも、ちょっと心してほしいなと思います。

                        英人