さかなBBSトップ
魚のことならおまかせ。WEBさかな図鑑
釣具の通販・Gear-Lab
HOME 似たもの検索  携帯版  | Gear-Lab

新コミュニティ(掲示板)オープンのお知らせ

WEB魚図鑑では、2013/7/25より新しいコミュニティをオープンしました。 「このお魚何?」というQ&A専用のページもあります。是非新しいコミュニティを使ってみてください。新コミュへの投稿はズカンドットコムへのアカウント登録が必要です。2013年1月以前にWEB魚図鑑へ投稿したことのある方はアカウントの引き継ぎを行うことができます。


[このスレッドを表示]

[14011] 書評>『性転換する魚たち』 
2004/10/16 (土) 19:19:03 小西英人HomePage
◆画像拡大
『性転換する魚たち』桑村哲生著・岩波新書・定価780円+税

 性転換する魚…というのは、みなさん、よく知っていますよね。

 だけど…。

 知ってるつもりになっていませんか?

 なぜ、性転換するのでしょうか?

 なぜ、雄から雌に性転換する魚と、雌から雄に性転換する魚がいるのでしょうか?

 これらの答えをを探るための、気の遠くなるような研究手法をご存じですか?

 行動生態学で、性転換の第一人者の著者が、ほんとうに丁寧に分かりやすく書いてくれている、本書を読むと、よく分かると思います。

 性転換を知るためには、性的2型と、性淘汰を知らなければなりません。

 ふつうの人には、あまり知られていないことですが、性淘汰というのは、あの『種の起源』のダーウィンが最初に考えついています。種の起源で、自然淘汰を説いたのですが、これで説明できない現象があったのです。

 なぜ、派手な雄が多いのか? 目立って捕食されやすくなるだろうに…。自然淘汰では性的2型を説明できません。

 これの答えとして、ダーウィンは1859年に『種の起源』を出版したあと、1871年に『人間の由来と性淘汰』として発表しています。性淘汰の発見ですね。

 しかし、これが完全に受け入れられ、精妙な理論として組み立てられたのは、比較的近年のことであり、その理論を検証するための、行動動物学的な研究はほんとうに大変ですが、面白そうでもあります。

 1972年の7月、京都大学4年生だった著者が、和歌山県白浜の瀬戸臨海実験所に立つところから、本書は始まります。

 今西錦司の強烈なリーダーシップのもと、サルの社会の研究をするために大学院に進学したいと思っていた著者は、ホンソメワケベラと出会い、魚にとひかれていく。

 そして、サルの研究で飛躍的な進歩をもたらした、個体識別による行動生態観察を、海でやりはじめるのです。

 海の中を区切って、マップをつくって、そのなかのすべての個体を識別して…。

 そういう研究から、なぜ性転換するのかという、進化の謎に切り込んでいきます。

 こういう海に潜水して、生態を粘り強く観察するような研究は、このころから始まっています。それからの、世界のさまざまな研究者たちによる、さまざまな研究、そして提出されるさまざまな理論、それへの批判、議論。性淘汰の研究の、近年の始まりから、最先端まで、わくわくするような人間ドラマとして描いています。一研究者のパーソナルヒストリーが、性転換の研究史として、書かれているのです。

 詳しい内容は書きません。

 難しいことを、ほんとうに、やさしく、また誤解されないように、著者は注意深く書いています。岩波新書としては、ちょっとやさしすぎないかと思うほどです。

 なぜ、魚は性転換するか、これで分かると思います。

 どうぞ読んでみてください。            英人