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[23473] 分布>問題をひとつ 
2005/12/25 (日) 23:12:20 小西英人HomePage
▼ みなさん

 最近、分布の話が、ぼつぼつでていますね。

 そこで、問題をひとつ。

 エソ科に、テナガミズテングというのがいます。

 いちおう『日本産魚類検索』には載せられており、日本産魚ということになっています。

 しかし、どこまでが日本の海域かという話はおいておいたとしても、このテナガミズテングは、黄海、東シナ海、南シナ海、インド洋にはいるけれど、日本の近海からは報告されていませんでした。日本産魚といっても、東シナ海からの漁獲物に混じるから、まあ、日本産魚とされていただけです。

 ところが、1997年に有明海で発見されたのです。

 テナガミズテングは、大河の河口域の浅海にすみます。

 日本からいちばん近い、主分布域は中国の長江河口です。

 これが、なぜ、有明海で発見されたのでしょうか???

 考えてみてください。

 答えは、しばらくしてから書きますね。          英人

ps
 これ、むっちゃおもろい話です。ぼくは、そう思います。

[23519] Re:分布>問題をひとつ 
2005/12/28 (水) 09:31:04 小西英人HomePage
▼ みなさん

 こういうの、あまり興味ないのかな?         英人

[23520] Re:分布>問題をひとつ 
2005/12/28 (水) 10:43:08 管理人Mitsu
▼ 小西英人さん
> ▼ みなさん
>  考えてみてください。
>  答えは、しばらくしてから書きますね。          英人


と書かれてたので、答えを待ってました。(^^ゞ
自分は、どこかの海洋だか環境だかの研究機関が持ち込んだと考えました。

[23521] Re2:分布>問題をひとつ 
2005/12/28 (水) 10:45:48 小西英人HomePage
▼ 管理人Mitsuさん

> 自分は、どこかの海洋だか環境だかの研究機関が持ち込んだと考えました。

 これ、論文があるのですが、人為的な移動ではないと思われます。

 あすにでも答えを書きますね。

                            英人

[23524] Re:分布>問題をひとつ 
2005/12/28 (水) 12:06:53 野村 智之
▼ 小西英人さん

あいも変わらず仕事におわれまくっております。
年末年始もすべて出勤です・・・・

大陸変動により環境が残されたことと、漁業対象魚ではないため
報告がされなかったことが原因ではないでしょうか?

アリアケスズキと同様なのでしょうね。

[23526] Re2:分布>問題をひとつ 
2005/12/28 (水) 12:34:46 小西英人HomePage
▼ 野村 智之さん

> 大陸変動により環境が残されたことと、漁業対象魚ではないため
> 報告がされなかったことが原因ではないでしょうか?


 たしかに、エツ、ムツゴロウ、ハゼクチなど、大陸遺存種が10種ほど有明海にはいまして、大陸遺存種がいても不思議ではありません。

 しかし、有明海には、テナガミズテングと生息環境の似たエツの漁をはじめ、さまざまな漁業が営まれており、そういう意味では調査が行き届いているにもかかわらず、知られていなかったのです。

 そういう意味では大陸遺存種ではなく、どうも偶来種になるようなのです。

                             英人

[23528] Re3:分布>問題をひとつ>もしかして洪水 
2005/12/28 (水) 12:58:51 syou
▼ 小西英人さん
▼ 野村 智之さん


こんにちは

>
> > 大陸変動により環境が残されたことと、漁業対象魚ではないため
> > 報告がされなかったことが原因ではないでしょうか?
>


私もこう考えてました
違うとなると

長江に氾濫に伴って河口域に生息するテナガミズテングの稚魚もしくは成魚が
有明海まで押し流されてきたとか?

昔先輩がやっていましたが、ハチュウ両生類などの分布では、こうした大河川の氾濫がひとつのキーになるという結果が出てました。

[23530] Re4:分布>問題をひとつ>もしかして洪水 
2005/12/28 (水) 16:20:26 小西英人HomePage
▼ syouさん

> 長江に氾濫に伴って河口域に生息するテナガミズテングの稚魚もしくは成魚が
> 有明海まで押し流されてきたとか?


 さすがあ…。

 その可能性が高いのです。あとで、また詳しく書きます。

                           英人

[23532] Re5:分布>問題をひとつ>もしかして洪水 
2005/12/28 (水) 16:46:32 syou
▼ 小西英人さん

魚の話ではないのですが・・・

昔1年上の先輩がやっていたヌマガエルがそう言う話になっていました。

日本本土、沖縄島、八重山、中国大陸のヌマガエルを形態的に比べると、

日本本土→沖縄島と形態的に近いんですが、

何故か八重山の個体群は中国大陸に近くなるんだそうで・・・

まだ琉球列島が黄河河口の影響が近かった折に、ラフティングで八重山諸島に入り込んだのでは?との推論をしておりました。

まあこれはもっと昔の話ですけど(年代は忘れました)。

大陸の大河川は想像を絶する大きさですからねぇ。

[23533] 分布>テナガミズテングは長江大洪水で有明海に… 
2005/12/28 (水) 17:37:08 小西英人HomePage
▼ みなさん

 テナガミズテングは、syouさんが、こたえはったように、長江の大洪水で有明海に偶来した可能性が高いのです。

 西海区水産研究所研ニュース、1998年1月号にある『日本初記録種 テナガミズテングの国籍を尋ねる』山田梅芳・大阪幸男・林宗徳 から書いていきます。

 1)有明海湾奥部 六角川河口で1997年10月14日、全長23cmのテナガミズテングが採集された。

 2)このテナガミズテングは、黄海、東シナ海、南シナ海、インド洋にはいるけれど、日本の近海からは報告されていない。日本初記録種になる。

 3)テナガミズテングは、大河の河口域の浅海にすむ。日本からいちばん近い、主分布域は中国の長江河口である。


 4)これは在来種か、偶来種か?

 5)有明海には、ムツゴロウ、ハゼクチ、エツなどの大陸と地続きであった時代の証拠といわれる大陸遺存種が多く、テナガミズテングが在来種であっても不思議はない。しかし有明海にはテナガミズテングと似た生息環境にすむエツの漁があり、ほかにもさまざな漁があって、いままで調査出版されている有明海産魚名リストにもない。そのため在来種であったとは考えにくい。

 6)ここから有明海は、約800キロ離れていて、それほど遠くはないかもしれないが、テナガミズテングは大きな移動はしない。そのために自力による遊泳偶来の可能性は極めて低い。

 7)1997年には長江に豪雨はなかった。調べてみると1995年の6月に大洪水があり、このときの規模は1954年以来のものだった。

 8)このとき海に吐き出された大量の淡水は、東シナ海表層で幅100〜200キロ、北東方向へ少なくとも600キロににもなる巨大なプルームをつくり、対馬海峡を抜け日本海に侵入したらしい。このことは、さまざまな研究機関の対馬海峡の塩分分布でも認められている。

 9)テナガミズテングの産卵期は6月で、分離浮性卵を生む。

 10)以上のことから、1997年に有明海で発見されたテナガミズテングは、1995年に生まれ卵の状態で日本まで流されてきて、生後2年間を有明海で過ごし全長23cmになったと考えられる。

 11)あと、コウライマナガツオにも、似たような記録がある。

 というようなことです。

 ふつう大陸遺存種といわれ、地続きだったときの名残のように思われるが、こういう洪水による拡散も考えておいたほうがいいかもしれないようです。数千年、数万年の時の流れの中では、これより規模の大きな大洪水があったと思われます。

 種の拡散は、あらゆる状況を考えておかなければならないようです。

                            英人

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