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[31278] Re2:図鑑>国際フィッシングショー 
2007/2/14 (水) 22:09:59 小西英人HomePage
▼ たっちーさん

> 思えば、今の釣り&魚好きは「さかな大図鑑」をぼろぼろになるまで読みつくした結果ではないかと懐かしく感じますね。
>


 ありがとうございます!

 『さかな大図鑑』は、1985年、ぼくが29歳の時に初めて手がけた図鑑で、ほんとうに大変でした。

 当時、京都大学瀬戸臨海実験所にいた荒賀忠一先生に、1から教えてもらい、それでも分からないから、魚の組み立てなど、ほとんど荒賀さんに手取り、足取り、教えてもらいました。

 荒賀さんは、『魚類図鑑−南日本の沿岸魚』を、1975年にだしてはります。

 これは魚類学会に革命的な衝撃をあたえたのです。

『魚類図鑑−南日本の沿岸魚』
悪餓鬼三人組が魚類界を変えた!【遊魚亭】より
http://hideto.fishing-forum.org/001bookzukan/post_41.html

 これが、後の『日本産魚類大図鑑』(1984年)という、図鑑の中の図鑑につながっていきます。

 荒賀さんは、この1984年の大著を終えて、その無理がもとになり胃を手術しばかりのときでした。

 いまなら、どれほどの巨人かわかるのですが、そのころは、よく分かっていませんでした。

 東京大学の望月博士と、大分マリーンパレスにいた高松博士を紹介していただいて、研究者とのおつきあいが始まったのです。

 学名の原稿は大変だから、英人君が書いといてくれるか…。

 はいと、返事して、書いた物の、ターヘルアナトミア、解体新書を訳した杉田玄白の気持ちが分かりました。わけのわからないラテン語の綴りを、ただただ写していくのです。

 いまは、ぼくのパソコンに日本産すべての学名をデータベース化していれてありますが、そのころは、こういうことから、一歩ずつやるほかなかったのです。

 荒賀さんは、大の釣り好きですから、釣魚の洗い出しから、それを釣り種別に分けるのも、すべてお願いしました。ほんとうに、おんぶにだっこだったのです。

 釣り名人たちの魚知識が、いかに貧弱か、このとき痛感しました。

 釣り人が「かんなぎ」と呼んでいたのが、日本海でよく釣れる、マハタの老成魚だと、このときに分かりました。投げ釣り師が「尾長」とよんでいたネズッポがヨメゴチだとか、とにかく、荒賀さんとふたりで、ひとつずつ、突き止めていくようなこともしました。

 この図鑑が、ぼくの原点になっています。

 そうそう。

 中坊さんと知り会ったのも、この『さかな大図鑑』が縁でした。

 やっと出版して、ほっとしていたら、京都大学農学部の封筒で分厚い書類が届いたのです。

 あけてみると、そのころ京都大学にいた研究者のメモが、どっさり入っていたのです。

 『さかな大図鑑』の間違いを指摘するメモを、そのころ、京都大学農学部の助手だった中坊さんがまとめて送ってくださったのです。ぼく30歳、中坊さん35歳です。

 慌てて、荒賀さんに電話すると、「なにい、中坊が間違いをゆうてきた…」と、ご機嫌斜めだったのですが、とにかく送りますからと、コピーして転送しました。そうしたら、荒賀さんから上機嫌で電話がかかってきて、「はっはっはっ。中坊の言う通りや、悪いけど直してくれるか」ということです。

 ぼくは、お礼の電話を京都大学農学部にかけて中坊さんと初めて話をしました。「ええ図鑑やから、きちんとしとかなな…」と言われて、感激でした。それから、ヘダイの標本を集めて欲しいと依頼されて、いろいろ一緒に行動するようになったのです。

 中坊さんの先生が、荒賀さんと同級生という関係です。

 『さかな大図鑑』と荒賀忠一先生。

 これが、ぼくの原点でして、これが、ぼくの人生を決めてくれたんだと思います。というより、荒賀さんに手ほどきを受けたのですから、もっともっと高みを目指さなければいけないと、ぼくは励みにしています。

 荒賀先生は、いま和歌山県の白浜で、悠々自適の釣り人生を送っておられて、ぼくの図鑑のできあがりを楽しみにしてくれています。

 『さかな大図鑑』は、10万部を超える大ベストセラーになってくれました。

 釣り人のみなさんが受け入れてくれて、ほんとうに嬉しかったのです。

                            英人