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[30647] ヤリタナゴ 
  【魚図鑑参照】
2007/1/19 (金) 21:23:00 MSHomePage
◆画像拡大
ヤリタナゴですね。筑後川水系で採集しました。
私は河川の流れが速い場所がフィールドなので
タナゴは余り採集できません。

しかし、ため池に魚がいるようなことがありますが
その様な場所の魚はどうやって来るのでしょうか?

[30649] 筑後川水系>コイ科>ヤリタナゴ 
2007/1/19 (金) 21:58:09 小西英人HomePage
▼ MSさん

> ヤリタナゴですね。筑後川水系で採集しました。

 おっしゃるとおりです。

> しかし、ため池に魚がいるようなことがありますが
> その様な場所の魚はどうやって来るのでしょうか?


 鳥の足に卵が付いて運ばれたとか、洪水で運ばれたとか、いろいろいいますね。しかし、辺鄙なところの沼や池の淡水魚は、ほんとうに驚きます。昔は類推するしかなかったのですが、いまではDNAを解析して、レコーダーの記録を読むように、過去の出来事が読めるようになってきていますものね。凄いです。

 それだけに、淡水魚を攪乱するよな放流は怖いです。

 しかし、中国のアルタイなどもいったことがありますけど、砂漠の真ん中に取り残された水たまりのような池に、ヨーロピアンパーチなどいたら、ほんと驚きます。

                         英人

[30650] Re:筑後川水系>コイ科>ヤリタナゴ 
2007/1/19 (金) 22:18:16 MSHomePage
▼ 小西英人さん

なるほど…

>いまではDNAを解析して、レコーダーの記録を読むように、過去の出来事が読めるようになってきていますものね。凄いです。

そんなことまでやっているのですか!驚きました。
移植されたものか、在来のものかもわかるようになるのでしょうね。

バラタナゴについても、「ニッポンバラタナゴ」として保護していたものが
調べたらタイリクバラタナゴだったりして。



[30651] Re2:筑後川水系>コイ科>ヤリタナゴ 
2007/1/19 (金) 22:32:00 小西英人HomePage
▼ MSさん

> そんなことまでやっているのですか!驚きました。
> 移植されたものか、在来のものかもわかるようになるのでしょうね。


 きちんと解析されたものは、分かっていますよ。難しいのは、いままでに遺伝子が攪乱されていて固有のDNAの分からないものが難しいようです。

> バラタナゴについても、「ニッポンバラタナゴ」として保護していたものが
> 調べたらタイリクバラタナゴだったりして。


 ニッポンバラタナゴとタイリクバラタナゴは、もともと亜種レベルの分化しかしていません。これは、ほんとうに、難しいようで、いまのようにニッポンバラタナゴが追い詰められると、どうしようもないのが現状のようです。

 1997年に書いた、書評記事ですが、まあ読んでやってください。

                            英人


=================================================
よみがえれ日本産淡水魚! 誰がために鐘は鳴るや

書評■ぎょぎょ事典 番外


『日本の希少淡水魚の現状と系統保存』
●長田芳和・細谷和海編●日本魚類学会監修●緑書房


■そのとき、そこに、ぼくはいた。たったひとりの釣り人として、研究者や、行政担当者のなかに、ぽつんと座って、不思議な熱気に包まれていた。1994年4月1日、東京水産大学。日本魚類学会年会が終わった翌日に開かれた「日本の希少淡水魚の現状と系統保存」という1994年度日本魚類学会サテライト研究集会のまっただ中に。
            ■
■そして『よみがえれ日本産淡水魚・日本の希少淡水魚の現状と系統保存』という本が、このたび緑書房から刊行(※1997年である)された。編者の長田芳和・細谷和海両博士の「はじめに」から少し引用してみよう。
            ■
■(前略)依頼した12人の話題提供者は、希少淡水魚の系統保存にかかわる活動を、生息地、実験室、および行政において経験された方で、それだけに示唆に富む話題が次々と提供された。参加者からも熱心な質問・意見・提案が述べられ、午前10時から午後5時までの予定時間内にはとても収まるようなものではなかった。会場全体が淡水魚の存続の危機感にあふれ、期待感と絶望感が交叉した一種独特の雰囲気がかもしだされていた。このままでは終われない。これが当研究集会の結論であったように思う。本書はその証である。(後略)
            ■
■ほんとうに研究集会会場の熱気はすごかった。
■交雑し遺伝子がぶれたニッポンバラタナゴ、いったいどういう個体がニッポンバラタナゴなのか分からなくなったという長田博士の問いかけは重すぎ、会場を、饒舌に沈黙させた。絶滅した沖縄のリュウキュウアユを戻すための放流活動に、鋭い批判がわきおこり、返す刀で、湖産アユの全国規模の大量放流に批判が集中した。あるオブザーバーがすくと立ちあがった。「アユは経済種である、議論の必要なし」と彼は断じた。白熱していた研究者はいっせいに興ざめし、議論をうち切った。
            ■
■淡水魚は地理的隔離によって独自の分化を遂げようとする遺伝的固有性と、異なる集団間でときどき交配して変異性を回復しようとする遺伝的多様性という、いわば相反する特徴を併せもつ−と細谷博士は書いている。
■地理的隔離によって固有種が生まれてくる。これは現在同種とされている種内でも、そうであり、たとえば、琵琶湖のアユは固有の遺伝子プールを持ち、日高川にのぼってくるアユも固有の遺伝子プールを持つ。自然は数十億年をかけた微妙なバランスの中で、これらの種を地球に残してきた。日本人はたかだか、ここ数十年で、何も考えず、このバランスを崩そうとしている。
■基本的にはすべての「放流」はいけない。淡水魚とは風土が創ったものであって、その風土固有の遺伝子プールなのだ。日高川のアマゴは、あくまでも日高川のアマゴであって、わけのわからん種苗からとったアマゴは、あくまでもわけのわからんアマゴであって、これを放流してしまうと、日高川のアマゴの遺伝子プールは攪乱され、下手をすると永久に失われてしまう。
■保護というなら「放流」ではなく「産卵床」の整備などをして、その地域個体群を保護しなければいけなかった。日本の社会は安易で危険な道を選んでしまった。
■釣り人は、この危険を知らない。知らなさすぎる。知らないまま、いつのまにか圧力団体と化して日本の風土を破壊している。「アユは経済種」という言葉は、そういう意味で、とても恐ろしい響きを持つのだ。
            ■
■海水魚も問題は同じ。ただ器が大きいから、問題が顕在化しにくいだけで、放流はすべて「悪」なのである。そして科学的検証を受けない放流は自然保護ではなく自然保全でさえなく、遺伝子の攪乱、または汚染という、取り返しのつかない生物学的被害をあたえる。
■知らないというのは、現代では罪悪である。
            ■
■系統保存を考えるとき、遺伝的固有性と多様性という矛盾が問題を難しく、見えにくくしているのは事実だ。本書は、研究者が最大限に「ふつうの言葉」で書こうとしてくれている。しかし、集団遺伝学的な知識が下敷きにないと、ちょっと分かりにくいかもしれない。しかしこの本に詰まっている、あの会場の熱気と、研究者の血を吐くような言葉に、釣り人は耳を傾けてほしい。
            ■
■『トゲウオのいる川』(森誠一著・中公新書)から引用する。『淡水魚保護』が1992年で終刊になった。十数年にわたって刊行されてきた淡水魚保護協会(理事長木村英造)の機関誌が存在しなくなった。しかも、協会自体も解消された。これは大変なことだ。この出来事は多分、きわめて近い将来において、われわれにその事の重大さを一層痛感させるだろう。これで全国レベルでの情報誌はなくなるからであり、誰が何をどのようにやったかは知られないままになることがより多くなる。記録として残ることもなくなり、淡水魚保護の過程や歴史の証言が個人の記憶だけという羽目に陥ってしまうのだ。
            ■
■研究者や魚好きをとりまく行動環境も悪くなった。淡水魚保護協会の解消は微妙な陰影をおとした。このサテライト研究集会の発端も『淡水魚保護』終刊号の座談会にある。淡水魚好きのネットワークがなくなった。
■それに代わる、いや、これからの出発点にしなければならないのがこの本『日本の希少淡水魚の現状と系統保存』だと思う。買うという経済行為によって連帯できることがあり共通の土俵にあがれることがある。われわれ魚好きは淡水魚保護協会を、そういう意味で見捨ててしまったのかもしれない。同じ轍は踏まないでほしい。
            ■
■河口湖にクルメサヨリやクサフグが泳ぐという。ブラックバスが漁業権魚種に認定され、北浦や霞ヶ浦のブラックバスを買いあさり放流を続けるからである。河口湖は放流釣り場でもなければプールでもない。放流義務の伴う第五種共同漁業権というのは、成果はおさめたと思うが、もう、見直さなければいけないのだろう。
■細谷博士は本書で釣り具メーカー、漁業協同組合、釣り団体にミチゲーションをもとめる提案をしている。
■ミチゲーションとは、簡単にいうと「補償」である。自然を使わせていただいて損ねてしまうのなら、その分を補償しましょうという考え方である。
■釣りは悪いことだとは思わない。水辺の環境を五官で知ることができ、魚を好きになる。しかし、知らず知らず、すさまじい環境負荷をわれわれは水辺にかけてしまっている。ローインパクトをこころがけて、なおかつ、われわれの補償をも真剣に考え、議論しなければいけない時代なのだ。そして漁業権魚種のみ、どぼどぼ放流したら資源は守られ、人は幸福だという二十世紀は、ぼくらの、頭と口と手で、終わらさなければいけない。
            ■
■希少魚は絶滅すべくして絶滅しているのであって、それを守ったからといって、人の役には立たないという議論もある。そういう人は、人も生物であって、環境に厳密に規定されてきたということを忘れている。日本の風土が産んだのが「日本人」であって、その自然は、美しく多様であった。川は「どぶ」と化し、さまざまな日本の固有種をあっというまに消し去ってしまうような風土に育つ「新日本人」など、想像もしたくはないのだ。
■耳を澄ませてほしい。釣り人なら、はっきりと聞こえるだろう。葬送される日本の魚たち。その弔鐘を。
            ■
■ゆえに問うなかれ
■誰がために鐘は鳴るやと
■そは汝がために鳴るなれば


初出●『週刊釣りサンデー』1997年10月12日号


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[30652] 書評読みました。 
2007/1/19 (金) 22:57:57 MSHomePage
▼ 小西英人さん


書評記事よみました。
10年も前から魚の種苗放流について問題視されていたのは驚きました。
今でもまだ放流しているようですが。

難しい問題ですね・・・

[30653] Re3:筑後川水系>コイ科>ヤリタナゴ 
2007/1/20 (土) 00:13:55 MKTHomePage
▼ 小西英人さん


「漁業権魚種のみ、どぼどぼ放流したら資源は守られ、人は幸福だという二十世紀は、ぼくらの、頭と口と手で、終わらさなければいけない。」
小西さんのこの言葉、まさに共感します。

私ごとですが、サクラマスに関わる、とある活動をしている方のサクラマス稚魚
放流活動をしている理由について、

「放流は自然に対する還元になります。」
「放流すれば確実に対象魚が増えます。」
「細かいことは気にせず、どんどん放流すればいいのです。」

に対して、つっこみを入れ、疑問を投げかけましたが、ほとんど受け入れられず、
むしろ、資金をやりくりし、県の許可をもらい、頑張って行動しているのに水を
差す余計な者との扱いを受けました。

その方のサイト内BBSでのやり取りであり、話に全く接点がもてなかったので、
最後は相手に花をもたせて退散しましたが、しかし、知名度のある方ですら魚類
に対しては、そんな程度の認識なのかと落胆しました。

絶滅危惧種を保護や繁殖させるのはわかりますが、普通種で肉食性の魚の稚魚を
川に大量に放流し、満足する考え、ほんと、過去に置いてきて欲しいものです。



[30654] Re4:筑後川水系>コイ科>ヤリタナゴ 
2007/1/20 (土) 07:26:35 小西英人HomePage
▼ MKTさん

 放流は善である。養殖は善である。

 そう社会は思いこんでいるのですよね。いや、思いこまされているのかな。

 マスコミ関係者なんて、ほんと、何も知らないのに、すぐに、いいように書きまくるから困ります。

 園児がなんでもいいから放流したりしたら、夕方のニュースのトップか、夕刊対社面のトップが一丁上がりですからね。

 怖いくらい単純です。

 また、研究者も、ほんとうに厳しく考えている人もいるのだけど、ふつう研究に科研費などのお金が出るのは、社会に有用でなければいけないから、養殖、放流なんて、いちばんでやすいのです。

 ぼく、下の放流の問題点の記事を書いたとき、たとえば学生や研究者からの反発が、けっこうあったことに驚きました。

 http://hideto.fishing-forum.org/008fishgyogyo/post_25.html

 とにかく、ペレットやら、売り物にならない汚れた海で獲れた小魚を大量に投与した養殖魚がいて、それをマスコミが持ち上げて、いいことにしてしまいます。

 脂は、あらゆる化学物質を溶けこましやすく、けっこう危ないのです。

 ペレットや、売れない魚を与えて、腹腔内まで、脂でぎとぎとになった魚が美味しいとまでいいますし…。

 天然ハマチは、身がぱさぱさだと評判が悪いそうです。養殖ハマチのように、脂が、こてこてにのっていないと食通には駄目なようです。

 全身トロ…、なんていうと、もう最高のキャッチフレーズで、あらゆるマスコミがこぞって、「未来を開く、全身トロ…」とニュースのトップ見出しにまでしてしまいます。

 あああ。

 ぼやきはじめたら、きりがありません。

 こういう状況を打開するには、どうしたらいいか、とにかくできるだけ正確な魚の知識を持ってもらうことだ…、それには…、そうだ、魚の名を知ることが第一歩だ…。

 と、ぼくは単純な男ですから、そのために、ボランティアで【WEB魚図鑑】をやることを決意し、毎日毎日、いろいろやっているのです。

 なんか、日暮れて道通し…という感じもしますが、それにしても、外来魚法制定の時には、多くの研究者が「環境」や「生態」という、お金にならないもののために立ち上がり、あの水産庁まで「環境」や「保全」を言い出したのには驚くとともに嬉しかったです。

                              英人

[30659] Re5:筑後川水系>コイ科>ヤリタナゴ 
2007/1/20 (土) 12:44:36 西村
こんにちは^^
放流問題は私の管理するウェブサイトを立ち上げた理由でもあり強い関心があります。
紙媒体において在来種の放流が生態系と遺伝の両面で問題視されたのは知る限り、
「浪貝茂和, 1984. 変異の保護. 淡水魚, 10:41-43, 淡水魚保護協会」
が日本で最も古いと思います。他にあればご教示ください。すでに22年余りも経ちます。
この機関誌を拝読したのは1993年頃だと思いますが当時の私は気に留めていませんでした。
私が放流を問題として捉えるようになったのは1996年にH先生からご教示頂いてからでした。
22年余り経った現在でも相変わらず安易な放流は各地で行われていますね。

放流が手っ取り早いことや自然に帰すことは善行という意識など色々あると思います。
最近は放流問題を指摘される方も増えましたがそれを無視してまで続ける場合も多いです。
例えば、MKTさんのサクラマスについてもサクラマスを増やしたいので放流する。
よくある近所の川でホタルを見たいので放流する。放流は問題だと指摘して対立する。
放流者は違法行為をやっているわけでもないですしむしろ近所から喜ばれています。
また遺伝子が云々とか難しいことはどうでも良くてその生物がいれば良いという価値観です。
この価値観の違いは放流者との話し合いで簡単に埋められるものではないと実感しています。
こうした場合に私など指摘する側は放流しなくても近所の川でホタルが見られる
代替案(妥協案ではない)を出さないといけないと思うのです。ただそんなのないですよね。
そのため将来的には効果のある法令によって放流を規制するしかないと思います。
この機運を高めるためにも私は放流問題の啓発に微力ながら力を注いでいます。
では。失礼しました。

[30666] Re6:筑後川水系>コイ科>ヤリタナゴ 
2007/1/21 (日) 00:40:25 MKTHomePage
▼ 小西さん
▼ 西村さん



 色々なお話、本当にためになります。
放流、遺伝、病気感染・・・・
自分にとっては、あまりに難しく、あまりに根が深い問題です。
正直、自分の脳内能力不足による思考のオーバーフローで、処理落ちしている
事柄が多々あります。


 ですが、親魚から卵をとり、人が加工した餌を撒いて育て、苦労なく育った稚魚
集団を放流することはおかしいと思いますし、彼らは本来、人間が「保護」なんて思いつく以前には、狡猾、巧み、俊敏、免疫力・・・体をはって代々生き抜いて
きた英雄たちであったはずです。


 またサクラマスに戻りますが、そもそも、
「山形県の魚はサクラマス」って決めごと、何の意味があるん?って思います。
山形県の赤川は、山形県によってサクラマスの釣堀と化したと思っています。


 たとえ譲って(譲ってはいけないでしょうが)遺伝や感染を抜きとして考えた
としても、魚の棲み難くなった川に、降海すると限らなく、極めて母川回帰率
が低い魚を増やすために養殖場をつくり、大量放流を繰り返す行為は悲しい
くらい愚かであると思います。
「でも回帰率は1%とか、そんなもんだよ。」
と言う人もいますが、川を下りながら大量の稚魚が色々と起こす行動、そして
海へ出て・・・・その「1%」になるまでの経緯を想像すると、何か恐ろしい
ものがあります。


 ほんとキリがないし、魚たちだけの問題ではないし、落ちつくところも見つけ
られない問題ですが、魚の生息現場最前線に立つ釣り人たちには、せめて水の
中にはこんな魚がいるんだよってことを知ってほしいと思いますし、こんな意見
や問題があるんだよってことを知って欲しいと思います。


「引きが弱くて食べてマズい魚なんか、別にどうでもいいよ。」
自他認める"釣り人"たちに、そんな人があまりに多すぎます。



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