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[75297] 琵琶湖のブラックバスは駆除できますか? 
2011/7/14 (木) 20:08:24 御坊茶
別に駆除しなくてもいいと思います。
どうせ駆除できませんし、単に次の平衡状態に移行するだけだと思います。


トキ保護センターはもっとひどいです。
環境が変わったからトキが住めなくなったのに、むりやり中国から強制連行してきて
檻の中で観賞魚のごとく飼っています。やってることが意味不明です。
わかりやすく言えば、人が住めなくなった双葉町に中国人を強制連行して強制的にすまわせるようなものです。いくらなんでもトキがかわいそうです。

種が絶滅してもその隙間に新たな種が出てくるだけだと思うのですが、なんで絶滅することは悪であると、我々は小学生の頃から散々洗脳されてきたのでしょうか。

[75320] Re:琵琶湖のブラックバスは駆除できますか? 
2011/7/16 (土) 15:25:19 ぷいぷいユッケ
▼ 御坊茶さん

初めまして、生物多様性保全を目標とする保全生態学・保全生物学という学問領域を専攻している者です。


> 別に駆除しなくてもいいと思います。
> どうせ駆除できませんし、単に次の平衡状態に移行するだけだと思います。


確かに、現在の対処療法的なやり方では限界があり、また農業用のため池では干して根絶も可能ですが、それもできない大きな水域では、根絶の例もありません。

しかし、「どうせ駆除できない」と諦めてしまうことで何が生じるかというと、
ご指摘のように、在来個体群の絶滅、在来種種の絶滅が生じてしまいます。

> 種が絶滅してもその隙間に新たな種が出てくるだけだと思うのですが、なんで絶滅することは悪であると、我々は小学生の頃から散々洗脳されてきたのでしょうか。

外来生物によって生じる、在来個体群・在来種の絶滅が何故、悪いこととされているのか?
主要な三点を列挙していきます。

とりわけ、第一点こそが、生物多様性保全の場では最近重要な観点であり、長くなりますが、ぜひ、目を通していただければ幸いです。


●第一点
生態系機能の不可逆的な改変が起こること、何億年とかけて進化してきた生物種の絶滅という不可逆的な喪失が起こるためです。

とりわけ、外来生物の侵入によって生じる生態系機能の改変は、御坊茶さんの言葉を借りるならば、「その隙間」があまりに大きくなってしまう例がある、ということが問題となります。

人の手が加わらずとも、生物個体群・種の絶滅は生じるものです。
この自然に生じる絶滅というプロセスは、その大半が気が遠くなる年月を費やし共進化してきた生物同士の競争によって生じているものです。
(隕石の衝突はともかくとして、火山が起きやすい場所では、そのような無機的環境に対する抵抗性も在来生物は進化上、獲得しています。)
そのため、生物種の自然絶滅では、生態系機能が損なわれることはありません。

しかし、人為的に外の系から持ち込まれた外来生物は、その共進化のプロセスを経ない状態で、競争に加わることになります。
在来生態系に、持ち込まれた外来生物と既に同じ様な生態的地位(エコロジカル・ニッチ)にいる種が存在する場合は、外来生物が定着することはありません。
一方で、在来生態系に持ち込まれた外来生物と同様の生態的地位にある種が存在しない場合、その外来種に対して天敵として機能する種がいなかったり、在来生物の防御システムが働かなかったりするため、生態系内のエネルギーや物質の流れが大きく変わります。
生態系内のエネルギーや物質の流れが大きく変わると、種の絶滅だけでなく、景観までもが変わってしまいます。さらに、隣接する他の系へも大きな影響を与えます。

これが、人類の生存にも大きな影響を与える可能性があるというのが第一点です。
これは、地球温暖化や砂漠化等のような一般的に耳にする環境問題と同等のレベルの問題です。
そして、どれほどの影響が生じるのか、未だに科学的にとらえきれていないにも関わらず、世界的に急速に進行していることが、さらに問題となっています。


●第二点、ここからは簡潔にいきます。

また、在来種・在来個体群、ひいては在来生態系と織り成すように発達してきた人間の文化が、種や個体群の絶滅によって失われてしまいます。これが第二点。


●第三点
さらに、科学・技術・科学技術は未だ不完全なものであることを前提として、将来的に、医療や生活の知恵(衣・食・住etc.)として、役立つ生物である可能性が、すべての生物種で捨てきれないにも関わらず、現代世代の我々の身勝手で、不可逆的に喪失させてしまうことは良いことなのか?

これが第三点です。


> トキ保護センターはもっとひどいです。
> 環境が変わったからトキが住めなくなったのに、むりやり中国から強制連行してきて
> 檻の中で観賞魚のごとく飼っています。やってることが意味不明です。
> わかりやすく言えば、人が住めなくなった双葉町に中国人を強制連行して強制的にすまわせるようなものです。いくらなんでもトキがかわいそうです。


外来生物問題もそうなのですが、飽くまで他の生物の生息環境を奪ったり、生息を脅かしたりしているのは人間です。

日本のトキ個体群の遺伝子系統が失われないための保護策の一つですね。
苦し紛れのような状況でかつ、トキにも可哀そうなことをしなけれならなくなった背景・経緯を、考えなくてはなりません。

多様な生物を絶滅に追いやるような行為は、徐々に人間の存続、そこまではいかないにしても、豊かで多様な生き方や暮らし方を制限していく行為に繋がっています。

生物多様性保全というのは、現在世代だけでなく、将来世代にも人間としてより豊かな生活を保障するための世代間倫理に基づく価値観です。

これでも噛み砕いて説明したつもりですが、生物多様性のすべてはとても、こういう掲示板で説明しきれるものではありません。


何故、外来生物の導入が問題なのか、何故、在来種を守ることが問題なのか?

こういうことに疑問を感じているならば、生物多様性保全に関する専門書を是非、手にとって勉強していただきたいです。

私の指導教員の著書で、一般の方向けの平易な入門書がありますので、最後にご紹介しておきます。
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%88%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7%E3%80%89%E5%85%A5%E9%96%80-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88-785-%E9%B7%B2%E8%B0%B7-%E3%81%84%E3%81%A5%E3%81%BF/dp/4002707857

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