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新コミュニティ(掲示板)オープンのお知らせ

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[▲前のスレッド]

[1703] センニンフグ 
2002/7/29 (月) 22:03:23HomePage
◆画像拡大
軽めのメタルジグで釣れたヤツだと思います
奄美大島産です

[1705] センニンフグ>わかりません 
2002/7/29 (月) 22:26:57 小西英人
▼ 忠さん

 はじめまして。魚のアップありがとうございます。

 さて、センニンフグですけど、昔は簡単な同定だったのですが、2001年から、もう一種、カイユウセンニンフグというのが報告されており、背中の斑紋を見なければ、同定ができません。

 参考のために、カイユウセンニンフグが提唱された『黒潮の魚』という魚類図鑑の週刊釣りサンデーのために書いた書評記事がありますので、転載しておきます。

                             英人

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■黒潮に新顔ふえた!

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イブリカマス■カイユウセンニンフグ■日本初記録が2種報告された
魚類図鑑がでたぞ!!!


=================================================================
■「新種発見!!!」なんて夢とロマンがある。二十一世紀になっても、どんどん
魚の新種は発見されていくのだろうか?
■このほど大阪海遊館から一冊の魚類図鑑が刊行された。非常にユニークな図鑑で
ある。その図鑑で「日本初記録種」が2種報告された。われわれの黒潮の仲間に
「ふたつ」の新顔が増えたのである。イブリカマスとカイユウセンニンフグの2種
だ。日本初記録種ってなんだろう。新種とどう違うのだろう…。
       ■
■おもしろうてやがて悲しき水族館、なんていわれることがある。楽しみに来たの
に、なんとなく閉じこめられた魚ばかり見て厭になっちゃったというわけである。
こういう人は水族館を知らない。水族館とは博物館法で博物館の一形態とされる。
そしてその活動は@資料の収集、A展示、B保存、C調査研究が柱とされ、これら
を通じて生涯教育に対応し、環境保護を啓蒙し、種保存の活動などをしていく。大
阪海遊館はでっかい見せ物小屋だけではない。それを釣り人なら分かっていてほし
い。水族館の研究活動というのは市民の理解によって支えられる。「娯楽」の裏に
「研究」があり「苦労」がある、これこそほんとうに重要なことなのだ。
■大阪海遊館は、あの大水槽を支えるため高知県の土佐清水市の以布利に、199
7年、海遊館海洋生物研究所以布利センターを開設した。大型水槽と研究管理棟の
あるそのセンターで、三年間にわたって、海遊館スタッフと京都大学と高知大学が
共同で大敷網を中心に採集した以布利の海産魚を研究した。
       ■
■『以布利 黒潮の魚 ジンベエザメからマンボウまで』という本書はその成果で
ある。まずジンベエザメとマンボウの概説がある。この2種は、ほとんど生態の知
られない謎の魚だったが、大水槽で飼育研究のできる海遊館ならではの新知見に満
ちている。あと、以布利周辺の潜水観察による生態写真図鑑と大敷網に入った魚を
中心にまとめた標本写真図鑑の二部構成。生態図鑑は66科253種、標本図鑑は1
30科434種、あわせて136科567種が載る。
■日本産カマス科カマス属魚類は、いままで9種報告されていた。なじみの魚だ
が、互いによく似ていて見分けの難しいグループでもある。このうち以布利で獲れ
るのは6種で、ふつうに見られるのはタイワンカマス、アカカマス、ヤマトカマス
の3種、このタイワンカマスのなかに「変な」カマスが混じっていた。それがイブ
リカマス、発見された以布利にちなんで命名された。いままでタイワンカマスと混
同され日本にはいなかった種なのだから「日本初記録種」だ。次に、このイブリカ
マスの学名がいままで記載されていたかどうか世界中を調べなければならない。本
書で土居内龍さんは「未記載種と思われ、学名については現在検討中」と書いてい
る。平たくいえば「新種の可能性がある」のだ。「新種」とは新しく発見されて、
これまで論文として学名の記載されていないものをいう。イブリカマスの場合、珍
しくもなく、ふつうにいるのだが、混同されていたため未発見であった。こういう
形の新種は、これからもかなり出てくると思われる。まったくの未知種がでてくる
…シーラカンス発見物語のような…新種発見は、そうないだろうけど。
       ■
■フグ科サバフグ属は日本産で6種報告されていた。見分けの難しいものもいる
が、センニンフグはメーターを優に超える大型種で、遊泳性が強く、沖合に多く、
間違えようもなかった。幼魚や若魚では背面に複雑な模様があるのだが、成魚にな
ると背面の模様は小黒点になると考えられていた。ところが、以布利では、複雑な
模様を持った個体と、小黒点を持った小型個体が、ほぼ同サイズで同時期にでた。
そうなると同種ではない。調べてみると「複雑な模様」の個体は外国で報告されて
いた。これは「日本初記録種」だけれど未記載種ではない。海遊館にちなみカイユ
ウセンニンフグという標準和名が提唱された。
       ■
■釣り人は、この日本初記録種を含む「標本写真図鑑」部は面白くためになると思
う。たとえば幼魚類など圧巻である。幼魚は同定が難しいが標本として精査した個
体の写真でのみ構成されている本書では可能なのだ。シマアジも2型あるといわれ
ていたが本書ではじめて2型の写真が示された。じっくり見ていくと、いろいろ発
見は多い。
■以布利の三年のもうひとつの成果は、水族館スタッフと京都大学と高知大学の若
手研究者と漁師さんが交流し、話しあったことだろう。本書は以布利の地方名は必
ず収録されている。
■一地域の標本に基づき、すべての標本番号が明記され勝れて学術書でありなが
ら、日本語も併記して普通の魚好きに読みやすい…漁師と研究者を合わせて繋い
で、成果を市民にも報告する。「娯楽」と「研究」を合わせる海遊館ならではの
「活動」がこの魚類図鑑であろう。


==============================================================
『以布利 黒潮の魚 ジンベエザメからマンボウまで』

編者    中坊徹次 町田吉彦 山岡耕作 西田清徳
著者    上田俊一 遠藤広光 岡崎哲也 小畑洋 甲斐嘉晃 神田優
      久保美佳 御所豊穂 後藤友明 佐藤友康 世古晃義 下村稔
      角田慎一郎 高田陽子 土居内龍 鳥居高志 鐘俊生 永友繁
      平田智法 平田しおり 平松亘 前田充穂 馬渕浩司 村井貴史
      柳下直己 山川武 吉村美紀
発行    大阪 海遊館
体裁    A4判上製本 総302ページ
定価    6000円(本体5714円+税)
販売場所  有名書店 海遊館ミュージアムショップなど 郵送は送料520円
問い合わせ 海遊館(06・6576・5501)

[1716] センニンフグvsカイユウセンニンフグ 
2002/7/30 (火) 10:48:21 小西英人
▼ 忠さん

 ホームページ見ましたよ。がんばってはりますね。

 センニンフグとカイユウセンニンフグを、週刊釣りサンデーの『似たモン魚譜』で書いていますので転載しましょう。写真も別ファイルでアップします。

                          英人
================================================
カイユウセンニンフグ Lagocephalus suezensis
   VS
センニンフグ Lagocephalus sceleratus

■カイユウセンニンフグ
背面には複雑な形の斑紋がある

■センニンフグ
背面には小黒点が散在する

========================================================
■ははははははははは…と思わず笑ってしまう。これほど違う斑紋なのに日本では同種と考えられていたのだから。研究者も釣り人も漁師さんも、みんなの目は「節穴」だったんだ。大阪海遊館が発刊した魚類図鑑『黒潮の魚』で京都大学の中坊徹次教授が日本初記録種とし、カイユウセンニンフグという新称を提唱するまで誰も気づかなかった。まあ「発見」とはこんなものなのだろうと思う。
■カイユウセンニンフグの背面は複雑な斑紋でセンニンフグの背面は小黒点である。見分けは一目瞭然。中坊博士によるとカイユウセンニンフグの方が体前半部の幅が広く眼が大きく背面の茶色味が強いという。写真のカイユウセンニンフグは父島産、センニンフグは高知沖ノ島産で若魚だが全長50cmもある。
■センニンフグは黒潮域の外洋表層を遊泳する大型フグでメーターを優に超える。その幼魚の背面には複雑な斑紋があるが、成魚になると小黒点になると「勝手に」理解されていたのだろう。カイユウセンニンフグは現在のところ15.8cmが標本で確認された最大の体長であり小型種なのかもしれない。思いこみは目を眩ませるという好例だろう。小西英人■


[1717] カイユウセンニンフグ>背面 
2002/7/30 (火) 10:50:02 小西英人
◆画像拡大
東京都父島産■カイユウセンニンフグ Lagocephalus suezensis
背面には複雑な形の斑紋がある

                        英人

[1718] カイユウセンニンフグ>側面 
2002/7/30 (火) 10:50:47 小西英人
◆画像拡大
東京都父島産■カイユウセンニンフグ Lagocephalus suezensis

                        英人

[1719] センニンフグ>背面 
2002/7/30 (火) 10:52:47 小西英人
◆画像拡大
高知県沖ノ島産 TL50cm■センニンフグ Lagocephalus sceleratus

背面には小黒点が散在する

                          英人

[1720] センニンフグ>側面 
2002/7/30 (火) 10:53:28 小西英人
◆画像拡大
高知県沖ノ島産 TL50cm■センニンフグ Lagocephalus sceleratus

                      英人

[1733] Re:ありがとうございます 
2002/7/30 (火) 22:18:12HomePage
>小西 英人さん
細かい解説ありがとうございます
たいへん勉強になりました
私個人的にカイユウセンニンフグのような斑紋は見た事ありません
“黒潮の魚”ですが、私も著者の一人に薦められて購入しようとしたのですが
手にはいりませんでした(^^;
それから私のサイト見ていただいて、恐縮です
素人なので間違いばかりです
これからも時々こちらに勉強に来ますので指導して下さい。

[1862] 図鑑>センニンフグ・カイユウセンニンフグ>登録しました 
2002/8/12 (月) 13:32:54 小西英人
 センニンフグとカイユウセンニンフグを図鑑に登録しておきました。

                            英人

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