2007年7月30日

映画>深く静かに潜航せよ

『深く静かに潜航せよ』(ロバート・ワイズ監督/1958)。

この映画は、小学生の頃にテレビで観た。内容は完全に忘れていたけど、たぶんこれが初めて観た「大人向け」の洋画だったんじゃないか。

太平洋戦争の中頃、米潜水艦の墓場(ということになっている)である豊後水道には、ニホンの駆逐艦アキカゼががんばっていて、ここを通る潜水艦を次々に沈めている。かつて一度、そのアキカゼに叩き沈められたクラーク・ゲーブルの艦長が、仲間のリベンジの思いに駆られて独自の戦法をひっさげて豊後水道に乗り込んでいく、というお話。

まあ、爆雷でやられた潜水艦の乗組員が、大勢で艦を脱出して海にぷかぷか浮かんで助かったり、それが敵国の海峡から母国に帰還し、さらにもう一度艦長として乗り込むという、映画の冒頭の設定からして、かなり無理があるのだけど、この映画はなにしろ邦題の美しさで救われている。『深く静かに潜航せよ(Run Silent Run Deep)』だもの。なんだか本格的な感じがするではありませんか。もっともこの映画には、潜水艦長が体験を基に書いたという原作があるらしい。

艦長と副長の対立、あるいは葛藤というのは、アメリカの海軍もの映画では時々見る設定だけど(ニホン海軍ではこういう設定を見たことがない。英国海軍ものでも知らない)、その副長役がバート・ランカスター。この二人の演技が、さすがにきちんとしているので、この荒唐無稽なお話が、それなりのものになっている。

でも、まあこの映画、やっぱりB級はB級だよね。ライバルのアキカゼ乗組員の日本語がひどい。敵潜を発見して「水中爆弾用意」なんていう。せめて「爆雷戦用意」くらいの漫画でも出てくるような用語は、おさえておかなくちゃ。しかも、その発音がなんだか中国の人みたいだし。

この映画が名作であると思う人がいてもかまわないけど、主演二人にあらかたの予算を食われてしまって、細かなディテールまでお金と時間が回らなかったことは確かなんだろうな。こういう馬脚の現れ方は、それなりにおかしい(いい意味で?)んだけど。

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