映画＞続拝啓天皇陛下様
『続拝啓天皇陛下様』（野村芳太郎監督／1964）。
『拝啓天皇陛下様』の翌年に製作された続編で、こちらは戦後の話も多くなる。人が地獄と呼ぶ軍隊も、主人公山口善助（渥美清）にとっては極楽。そのくらい、この人は幼少時からエライ目にあって育つ。
極貧の家庭に生まれ、一家は拾って食べた魚に当って全員死んでしまう。その日、悪さをしてメシを抜かれた彼をのぞいて。それから親戚の家に預けられるが、極貧であることは変わらず、盗み食いの毎日。親切にしてくれた女先生に恋心を抱くも、アプローチを知らずに強姦未遂で少年刑務所へ１年。出所後は、ウンコ取りの仕事に就き、「ウンコのゼンさん」と呼ばれる。そこへ赤紙。
「これでもう大丈夫じゃ。わしの親方は、明日から天皇陛下様じゃ」と意気揚々と出征して軍犬部隊に配属。やがて敗戦となり、大阪城の焼け跡に暮らし始めたところで、頭のあたたかい女（宮城まり子）に出会って...。というお話。
友だちの華僑、王万林（小沢昭一）が抜群。ほかに、藤山寛美、岩下志麻、佐田啓二、南田洋子、久我美子とキャストも豪華。黒人兵役で、あの盗塁王三回の阪急ブレーブス、ロベルト・バルボンも出てくる。
いつも必死で、懸命なのだが、おかしい。悲惨なんだけど滑稽でもある。そしてカメラのこちら側にいる人間の視線の優しさ。こんな日本映画、この後にあるのだろうか。
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