2007年9月16日

映画>独立愚連隊西へ

『独立愚連隊西へ』(岡本喜八監督/1960)。

前からずっと観たかった作品。最近、DVDがレンタルされるようになった。前作の『独立愚連隊』はビデオで観ていて、佐藤充にしびれたものだけど、今回は佐藤の上官として加山雄三小隊長が登場し、主役となる。

この独立愚連隊の連中は、手違いで戦死広報が出されて全員死んだことになっている。要するに一度戦死と認定されたけど実は生きていたという連中で、訂正すれば良さそうなものだけど、建前が優先されて原隊復帰はならず、いわば幽霊部隊となって危険なところへどんどん追いやられていくわけだ。

ところがこの連中、なかなか死なない。なにしろ佐藤充軍曹と加山雄三少尉だからして、そう簡単にはくたばらない。

今回は、全滅した連隊の軍旗を救出せよという命を受けて、八路軍が雲霞のごとく群がる中国大陸のどこだかを右往左往する。

そこへ日本陸軍中尉を名乗る敵スパイが潜入したり、軍旗奪還の功を焦る腹黒き曹長がまぎれこんだり、日本側スパイが、視察に訪れた参謀中佐を個人的に制裁したり、衛生兵と看護婦が恋仲になって二人とも結局はとなったり、敵軍大隊長のフランキー堺が、まあ、あれこれしたりするわけである。

一級品の岡本喜八アクション。あり得ないけど面白かったり粋だったりするんだから、それでいいじゃんという映画。もちろん、それでいいに決まっている。

サスペンスとか爽快感、かっこ良さは『独立愚連隊』の方が上だけど、今回は何しろ出てきたばかりの加山雄三が大変よい。加山はこの映画が二作目のはずで、若大将シリーズもまだ始まっていない。それでいきなり主役を張るだけのものを、やはり持っていると思う。

前作の主役である佐藤充は、今回はやや脇に回ってしまったのが惜しかった。あの人の強さ、渋さ、笑顔は何度でも観たい。

このシリーズ、ずっと続けばよかったのだが、作られたのは二作だけ。というより、続編のようなタイトルがついていて、キャストもかぶるけれど、まったく別の作品だ。今ではちょっと撮れない面白い映画。おすすめです。

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