映画>ライトスタッフ
『ライトスタッフ』(フィリップ・カウフマン監督/1983)。
仕事がつまってくると映画どころではなくなってくるわけで、一山越してどうにか自分を取り戻した時に、心身のリハビリを兼ねて何を最初に観るかというのは、けっこうむずかしい。とりあえず今夜は、一番好きな『幕末太陽傳』を観て、それからこの作品にした。
伝説のテストパイロット、チャック・イェガーの初の音速突破に始まって、マーキュリー計画のジョン・グレンらの飛行まで、空のフロンティアに挑んだ男たちの物語。日本公開は1984年秋で、入ったばかりの会社の先輩が、この映画の記事を書いていたのを覚えている。
もちろん当時も映画どころではなくて、今回、初めて観た。192分という大作なんだけど(日本公開時は160分だったらしい)、全然たるむこともない。こんなにいい映画だとは思わなかった。
こういうテーマの作品は、重くしようと思えばいくらでも重くできるし、何しろ無名のテストパイロットたちがどんどん死ぬ状況だから、誰かに感情移入させといて殺すという心のゆさぶり方も簡単なわけだけど、この映画はそういう野暮なことはしない。3時間を超す作品で、これだけ表現が軽いというのは、相当なもんだ。ぼくにとっていい映画というのは、(テーマではなく)表現が軽い映画なんだと思う。
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