2009年4月20日

映画>ヤッターマン

おそらく、ぼくらリアルタイム世代にとって、タイムボカンシリーズというのは、今の子どもたちが名探偵コナンを追うほどの熱中もなく、あるいは団塊の世代が平凡パンチを思うほどの郷愁があるわけでもなくて、何気なくそばにあったものが、ふと気づいてみると、たしかに自分たちの時代を語る何かであったのだというような、そんなものなんだろうと思う。

いつの時代にもマニアはいるので、タイムボカンシリーズのマニアも、たしかにいたように思うのだけれど、当時のマニアというのはほんとのマニアであって、いわば日陰者としての自覚があり(これがないマニアは気持ちが悪いというような感覚は、今でもある)、うっかり身分を明かすようなことはしなかった。

大体、70年代前半から半ばというのは、まだアカデミズムや政治や芸術といったものが、大手を振って歩いていた時代であって、そんなさなかに、いい若者がタイムボカンシリーズを、人並みならぬ興味をもって見るなどというのは、とても口に出しては言えないようなことでもあった。ように思う。

そんな作品が、今になって実写版で出るというのは、マーケティングの成果か、作り手の思い入れか、その両方かなのだろうけれど、なかなかいい狙いではないかと思う。それにあっさりと乗っかって、めったに行かない映画館に、いそいそと出かけていった。

何にひかれてワタシが映画館に行ったのか。ひとつには安心感だろうと思う。もとがタイムボカンシリーズなのだから、どんな馬鹿映画に仕上がっていても許せる、ということもある。原作は、決して人を傷つけない、史上最高に脳天気なアニメなのであるから、それに匹敵する脳天気さを実写で出すのは無理としても、やはり決して人を傷つけないものにはなっているだろうということ。

出来の悪い映画は、人を傷つける。『ローレライ』はワタシのトラウマであり、『ミリオンダラーベイビー』は、ここ数年消えない悪夢だ。そういう心配は、100%ないだろうということ。

で、実写化で避けて通れない問題の、典型的な例として深田恭子のドロンジョが、ちとあまりに重量級のゴージャスボディであったことがあるのだが、それはそれとして。ほかにも、実写化の問題は数々あったのだが、すべて、それはそれとして。といえるものだった。むしろ、実写のハンディを逆手にとった、いい演出だったともいえる。

ただ、原作の軽みは、もう少し表現してほしかったな。少し、現代風に流れがくどいところがあった。また、案外、笑いの少ない映画だったかもしれない。爆笑させるのか、くすくす笑わせるのか、どっちつかずのところがあったように思う。

今風の、微妙な笑いを狙ったのかもしれないけれど、微妙な笑いというのは、実はあんまり...まあ、野暮はこのくらいにしときましょ。

この作品を実写で作るというアイデアだけでも、非常によろしいかと思います。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://fishing-forum.org/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/138

コメント

実写版で言うと、釣りキチ三平を何とかして下さい。(爆)爆)爆)爆)

言われてみると、タイムボカンシリーズはさほど熱中した覚えのない、しかし記憶には鮮明に残ってるアニメ・・ですよね。

ただ、JUNさんが実写版ヤッターマンを見に行くとは思わなかった。^^;

釣りキチ三平は、あららさんによると、なかなかいい映画だったという話でしたけど、申し訳ないことに、まったくひっかかってこなかったです。こちらよりヤッターマンの方に向かってしまうのは、やっぱり映画はビジュアルそのものの魅力なのでしょうか…。

客席もだいぶすいていたそうなので、それなら観に行ってやらないとなあと思っております。

実写版「宇宙戦艦ヤマト」ができたら見てみたいです^^;
(真面目に作るとスゲー金かかりそうですね)

沖田艦長:役所広司
古代進:妻夫木聡
森ユキ:香椎由宇

なんてどうでしょう^^;?

それは私のトラウマです><

ヤッターマン映画版は、カミサンと子供が行ってきたようです。二人とも、それなりに楽しんできたらしい。カミサンとしては、ドロンジョとヤッターマン1号が恋愛関係(?)になったのと、脳天気とは言い切れない内容が不満だったようです。
ロードショー映画で言えば、レッドクリフは面白かったですよ。三国志演義の「赤壁の戦い」がモデルなんだけど、三国志を知らないカミサンでも楽しんでたからね。娯楽作品としては80点位付けてもイイと思います。

じゅん坊さん

レッドクリフは1を見逃しているので、2から先に見てもいいのかなと、ちょっと迷っているところでした。続編というよりも、長すぎたので分けたというものらしいですね。

ヤッターマンは、たしかにもう少しちゃんと脳天気であってほしかったな。

コメントする