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[1021] 乱麻>高知県★にぎやかな甲浦港で驚きの発見の巻 
2002/5/29 (水) 12:08:52 小西英人
◆画像拡大
写真は高知県甲浦港■「モルフォ」ネズミゴチ

 このまえの甲浦の青斑を『怪投乱麻』の来週発売号で書きましたので、転載しておきますね。

                         英人


■小西英人■週刊釣りサンデー6月16日号より転載
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モルフォ。妖しく輝くネズミゴチ


高知県
にぎやかな甲浦港で驚きの発見の巻


■「空飛ぶ宝石」「太陽の落とし子」などと愛でられるもの知っているだろうか。熱帯アマゾンの密林に多いモルフォ蝶。妖しくも美しくブルーメタリックに輝く羽を、ひらひらひらひらさせながら、深い深い熱帯雨林を舞う姿は、コレクターを痺れさせ、狂わせてきたのだった。十九世紀の終わりにフランスの大標本商、ウージェーヌ・ル・ムールトが採集法を発見するまで、それは貴重な蝶であった。ギリシャ神話の女神アフロディーテに贈られた名、ギリシャ語で美しいという意味の「モルフォ」が名の由来。蝶の研究者たちは粋な命名をするもんだ。
■このモルフォに思いがけず出逢った。熱帯雨林ではない。にぎやかな高知県の甲浦港で。
       ■
■さてさて鱚のシーズン。どこに行こうか悩んでいた。もう夏やで、などと言いながら意地悪な海の底は、まだ春になったばかり、だいたい海水温は気温より二ヵ月ほど遅れる。ちょっと手堅く狙おうなどと柄にもないこと考えていた。ぼくの学生時代、手堅く鱚なら徳島県南から高知県にかけての海岸だった。国道五十五号線を走る。カリフォルニアを目指す夢に満ちたアメリカ横断ハイウェイ「ルート66」の連想からか明るい感じがあった、「ルート55」も。ぼくの少年時代、牟岐から南に行くのは大変だった。徳島県境を、ちょっと超えた甲浦には大阪から船便があり、徳島より大阪からの方が楽だった。それから五十五号線はつけかえられ、室戸岬を回って高知に抜ける重要なルートになった。よく走った。いまサーファーで、ごった返す生見が浜など、人っ子ひとりいない美しい砂浜だった。よかったよなあ…。あの頃は。
■などなど、ぼんやり考えていたら悪友が、甲浦フェリーのあと、えんちゃうかという。ぼくこんなとき単純で、そやと思ってしまう。甲浦フェリーは、さんざんお世話になったけど、去年なくなった。そや行こう。
■大鱚を狙いたかったので夜釣りをメインに組み立てた。早朝に大阪を出て、のんびり走り、昼過ぎに到着である。慌てることはない。夕方の潮と、翌日の早朝の潮回りが最高なのだ。
       ■
■「なんだこりゃ!」
■大声をだしてしまった。フェリーが着かなくなって、のんびりした、深い港を想像して走ってきたのだった。いままで甲浦の港で釣ろうなんて思ったことないから、どんな所か覚えていなかった。フェリー埠頭は磯釣り渡船が並んで静かだったけど周りはうるさく、油とごみのたゆたう海であった。大阪から何時間も走って、なんでこんなとこで釣らなあかんねん。しかし海はまだ春。だだっ広い砂浜で太平洋に向かって投げるには早い。那佐湾に戻ろか浅川港に戻ろか、迷いに迷う。けど、ちょっとだけ投げることにする。
■車の横から一本、二本、三本と扇形に投げ、とりあえず餌を見てみようと、一本目を巻きあげにかかる。ちょいと重い。
■ん?????!!!!!!
■ネズミゴチらしい魚が二尾ぶらさがっている。口が黄色い。ふんふんふんふん鼻息も荒く、震える手で背鰭を立ててみる。ぱっと明るくなった。ブルーメタリックに輝いたのだった。
■あああああああああああ!
■いきなり。あらわれたのだった。ここにいたか。すぐ残りの竿を巻く、また一尾。竿を放りだし、とにかく三尾をバケツに生かしつつ撮影である。早く撮影しなければブルーメタリックは黒く沈む。この「感激」を釣り人のみんなと、京都大学の中坊徹次博士に見せなきゃ…。
       ■
■「がっちょ」の第一背鰭を立ててごらん。そこから華麗な世界が開ける…などNiftyの釣りフォーラムで呑気なことを書いていた。釣りフォーラムのSYSOP、JUNさんこと宮崎の山出潤一郎さんが一九九九年の梅雨明けの頃、油津港から携帯電話してきたとき、ぼくは寝惚けた声を出していたことであろう。彼の文章から引く。
■「英さん。第一背鰭の斑紋の青いネズッポっている?」
■「さあ。おらんと思う」
■「青いんだ。ブルーメタリックに見える」
■「なんやろネズミゴチ?」
■「どうみてもネズミゴチなんだけど、背鰭が青い」
■「ふーん」
■この、ぼくの「ふーん」って信用していない「ふーん」だった。後で電話して魚どうしたと聞くと天麩羅で食べたという。やっぱり。しかし気になり京都大学総合博物館の中坊徹次教授に電話する。それは面白い欲しいという。二〇〇〇年。JUNさん、嘘つき呼ばわりされないように宮崎沖でがんばり、ブルーメタリックに輝くネズミゴチは中坊研究室に届けられた。
■「英さん、こりゃ凄い」中坊さんの電話の声は弾む。いかんぼくだけが蚊帳の外である。
■二〇〇一年、宮崎に押しかけ日向沖で出逢った。二尾の「変なネズミゴチ」である。早朝なのに海上から中坊家に「凄い凄い輝いてる」と電話して羨ましがらせた。仕返しだもんね。
■第一背鰭に白縁取りのある大黒斑があるのはネズミゴチの雌の特徴である。その黒斑がモルフォ蝶のようなブルーメタリックに輝く。ふつう雌の臀鰭は真っ白で薄い黄色の斑紋がある。ところが、変なネズミゴチは臀鰭の先端部が黒く、そのうえ、頬が黄色く青色波状線があるという雄の特徴を持っている。そして口だけが異様に黄色い。
      ■
■ふんふんふんふん。甲浦港で興奮しつつ撮影している。三年がかりで追っていたネズミゴチにいきなり逢えたのだった。
■生きているネズミゴチを撮影板に置き、鰭を拡げるのは難しい。すぐ閉じる。何度も何度もやらなければならない。撮影にかなり時間がかかる。撮らなきゃ。釣らなきゃ。焦る焦る。
■慌てて釣り再開。変なネズミゴチ、また竿を放りだし撮影。また釣り、ふつうのネズミゴチの雌、また撮影。あれあれという間に暮れなずんだ。鋭い魚信でシロギス。二十五センチであった。よし夜釣りが楽しみ。
■夜になっても忙しい。ハナアナゴ、クロアナゴ、アミメウツボ、クロホシフエダイ、オオモンハタ、などなど。朝になっても忙しい。オニカサゴ、トラギス、キタマクラ、シロギスなどなど。釣っては写真、撮っては釣り、あっという間に終わり。長物はまとめて大阪市立自然史博物館の波戸岡清峰さんとこ、それ以外は京都大学総合博物館の中坊徹次さんとこに送る。
       ■
■「泳ぐ宝石」「黒潮の落とし子」の物語がいま、始まった。