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[4080] :シマガツオ>なぜエチオピアなのか… 
2002/12/30 (月) 07:22:45 小西英人HomePage
▼ さとうさん

 シマガツオ情報ありがとうございます。

 魚の地方名や流通名で、由来の分からないものは多いのですが、この「えちおぴあ」に関しては、かの澁澤敬三が『日本魚名の研究』のなかの、ひとつのモデルとして、かなりしつこく追跡調査して、かなり詳しく論考しているので、ほぼ間違いなく突きとめられている珍しい例です。

 この話を、どこかに書いたのですが、いま、その原稿が見つかりません。ぼくが釣りサンデーに連載している『似たモン魚譜』の「シマガツオ vs ヒレジロマンザイウオ」に、ちらりと書いているので、それを転載しておきましょう。

■週刊釣りサンデー『似たモン魚譜』より

■魚名の中には、何に由来するのか、見当がつかないものもいる。シマガツオに「ぴあ」という「あだな」がついた経緯を、澁澤敬三が『日本魚名の研究』で論考している。
■シマガツオは関西では狙わないが関東では深場釣りのターゲット。シマガツオ科は日本産で10種いて世界の大洋に分布する。シマガツオは両眼間隔域が前方にかなり突出し尾鰭の後縁は白くない。ヒレジロマンザイウオは尾鰭の後縁が白い。釣るとすぐ黒くなる。
■シマガツオは、なかなか標準和名で通らず流通名の「えちおぴあ」とか「ぴあ」で通ることが多い。いまも標準和名にチカメエチオピアとツルギエチオピアが残る。澁澤によると昭和9年にエチオピア皇太子妃候補に黒田雅子さんが決定して日本がわいていた(後にイタリアの干渉で破談、その後、伊エ戦争はじまる)ころ、大磯で豊漁された色の黒い魚があり、神奈川県三崎の魚市場と東京魚河岸で連絡をしている間に東京の若衆がエチオピアといいだし略してピアにもなったという。黒いからエチオピアは失礼であろう。いまはコガネガレイになったが、これはロスケガレイとされていた時期もあった。 小西英人■

 という経緯らしい。色が黒いから、そのころ話題になっていた黒人国のエチオピアを連想して、それがあだ名になったようなのです。来年から、瀬能さんたちが中心になって魚類学会内に和名委員会が立ち上がるでしょうけど、この「エチオピア」系の名前も問題になるかもしれません。

 この伊エ戦争でイタリアは北アフリカを手に入れて、それを巻き返されないように、ムッソリーニはヒトラーに援軍を依頼し、ヒトラーは、気乗りはしないけど、ロンメルを北アフリカに送ったのです。これが「砂漠のキツネ」ロンメル伝説の始まりです。連戦連勝で、イギリスのモントゴメリーなど、あほに見えますが、地中海の補給線を切られて敗退、フランス上陸作戦阻止の責任者になるけどノルマンディーに上陸をゆるしてしまいます。のちヒトラー暗殺計画に連座したとして、毒を飲んで自殺したら国葬に、拒否したら銃殺と二者択一をせまられ服毒自殺をしています。

 ひやあ、大脱線。

 とにかく昭和初期に、エチオピアと日本で、こんな話があったのですね。東京オリンピックのマラソンでアベベが英雄になったとき、日本がエチオピアに暖かかったのも、こういう経緯があったせいかもしれません。それにしても黒いからというのはいけませんよね。

 「露助がれい」も、思わず笑ってしまいますが、「正露丸」も、もともとは「征露丸」であって、超超強大国、ツァーリの軍隊を相手に存続をかけて戦った、極東の弱小国としては、まじめに、そういう名前をつけて、がんばろうとしていたのでしょう。これ、標準和名ですから、学術論文にも「ろすけがれい」ってでてきます。このネタを書きたいから、コガネガレイの写真を撮したいのですが、まだ撮れていません。動機が不純なのがいけないのかしら。

                          英人