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[4254] 放流>移植・放流についての基本的なスタンス  
2003/1/6 (月) 06:31:09 JUN
ぼくの文章もありました(^^;)

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移植・放流についての基本的なスタンス
FFISH SYSOP 山出 潤一郎

釣りフォーラムで10年近く、さまざまな立場や考えの人たちとともに移植・放流について議論してきた。釣り人としてある種の痛みを感じつつも、なべて魚の放流は「悪いことである」というところから、議論は始まらなくてはならないというのが、今の時点の結論であり始点である。

生態系という言葉はここ20年ほどの間に急速に広がり、人間の営みのあらゆる局面においてそれが考慮され、あるいは考慮されなくてはならないという風潮が出てきたが、言葉として一般的なわりには、これをわかりやすく理解するイメージがなかなかない。

生き物は個別に存在するのではなく、またバス対タナゴなどというような単純な図式に描けるような相互関係の中で存在しているのでもなく、バクテリアなどごく微細なものたちも含めて、人間に実感不可能な長い時間をかけた、想像不可能な精妙な平衡の上で存在している。これを乱すことで生じる結果もまた、予測が不可能だが、少なくともよくなることはない。

私がここで生きて、息をしているという事実自体が、生命誕生以来35億年の間、先祖が一度も絶えずに血を伝えてきた証拠であり、結果として自然がこしらえた精妙な平衡の上を危うく生き抜いてきた、ひとつの生物の進化の歴史でもある。そしてすべての生き物は同じように、平等に自然の手にゆだねられてきた。

それを乱すことが「悪い」ことであることは、論を待たない。
ひとつの生態系にある人為が加えられ、仮にそれが1000年間、何の変化ももたらさないようにみえ、しかしそれが原因となって2000年目にある種が絶滅したとする。それは生物の時間のスパンからみれば「一瞬」なのだ。しかもその種は「人間」であるかもしれない。

さて、なぜ放流が生態系を乱すのか。

これには大きく二つの側面がある。
ひとつはブラックバス問題に顕著なように、本来そこにいなかった種が持ち込まれることによって、長い時間をかけたその場の平衡が乱されること。
もうひとつは、鮎やサケ、ヤマメ、マダイなど広範な魚種で行われている放流が、その生息場所に適応した在来の魚たちの遺伝子プールを撹乱することである。

ヒラメはすべてが同じヒラメなのではない。他の生物を含めた生態系が長い時間をかけて平衡に至るように、生存競争という長い時間をかけた種内の競争の中で「残るべき遺伝子」が残り、その結果、東京湾には東京湾のヒラメが、鹿児島湾には鹿児島湾のヒラメがいる。当然、その遺伝子プールは異なるだろう。それを放流の名のもとに「混ぜて」しまった時に何が起こるのか。また、人工産卵や増殖によって血が濃くなった時に何が起こるのか、ということに、これまであまりに人は鈍感でありすぎた。まして、外来種の放流においてをや。

かといって、このwebページはすべての魚の放流に反対するために開設したのではない。いったん、「原則的に悪いこと」としておいて、後はそれをやるかどうか、やるとすればどのようにやるのかは、その魚種や範囲、規模や方法などを含めて、社会の選択にゆだねられるべきことだろう。その際の議論の基礎的な資料としてわずかでも役立てば、というのがわれわれの願いである。

ただし、釣り業界に時おり見られる牽強付会や基礎的な知識に欠けたプロパガンダについては、その影響力から放流以上に問題があると考えている。こうした事柄については釣りフォーラムとして必要な意見表明は行っていきたい。

釣り人は水辺の番人だという好意的な見方がある。
番人であるならば、自分の楽しみのために水辺を乱すことをよしとしないだろう。
そうであることを信じたい。