私はちぬとは数十年間、年中付き合っています。 そこで、私の体験を述べます。 記述している時期に関しては地方により水温が異なるのでずれる場合があります。 ここでは倉敷や熊本有明海の時期です。
1)ちぬの太りの違い ちぬは年間変化に下記の条件が加算されます。 a)養分の多い濁った所のちぬは太りが良い。 透明度の高いところのちぬは太りが悪い。 汽水域や牡蠣養殖場のちぬは太りが良い。 b)産卵をしない小さなちぬは味の低下が少ない。
2)ちぬの年間変化 ちぬは年間を通じて下記の変化をします。 但し、良く似ているきびれはこれより五ヶ月程度時期が前にずれます。
5月末〜6月初旬 産卵。この時期は激痩せで全く食えない。 体力も落ちており、岩の隙間などでじっとしているのが多い。バクテリアに食われて命を落とすのも居る。
8月初旬 体は身が付いてマルクなってくる。しかし、まだ脂肪が付いていない。 まれに少し脂肪が付いて味が良くなったのもいる。 餌は動物性をがつがつ食べて太る。 10月 全員脂が乗って旨くなる。 しかし水温も高いので臭いが気になる人も居る。 これから11月頃が脂の乗りのピーク。腹の中は脂肪で満杯状態。 1月 水温が下がる12月頃から食べ物の主体が植物性に変る。海草を腹一杯食べる。従って身まで青海苔の臭いがすることがある。 腹の脂肪を徐々に消費していく。 2月下旬 腹の脂肪を全て使い切る。 しかし、身の脂肪は残っているのでまだ食べたら旨い。 3月中旬 身の脂肪を使い切る。この時期に急に一気にまずくなる。 卵が太るので体はどんどん丸く大きくなる。 これから産卵までがのっこみで大形が良く釣れる。 食べてもまずいが釣り人は喜ぶ。 5月末 産卵。これで1年間の周期
おいしいちぬは 栄養豊富な汽水域やかき養殖場で、臭いが少なくなる12月から1月につかまえたもの。 一番まずいちぬ 産卵直後の6、7月のちぬ
これほどうまい、まずいが大きく変る魚は珍しいと思います。
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