幻の歌
3年ほど前に、こちらで書いたけれど、19の頃にレコードが手元から消えて以来、ずっと頭の中で鳴り続けていた曲があった。アマール・アマンドという。
パソコン通信に参加し始めた時は、ワールドミュージックの専門フォーラムでも質問してみた。インターネットになってからはAMAZON やYahoo!オークションや、海外のダウンロードサイト、CD通販サイト,YOU TUBEなど、とにかく手当たり次第に「AMAR AMAND」と検索してみるのだけど、そこにあるのはGinamaria Hidalgoなどの、巨匠・メジャーばかりで、それはそれでいい歌ではあったにしても、あの声ではなかった。
フォルクローレのなんとかベストというレコード、B面の1曲目。情報としてはこれだけだったけれど、どこか、幻の初恋を追うような純粋さと執拗さでもって、ぼくはあの歌を探していた。そうしようと思わなくても、無意識のうちに指は、AMAR AMANDと打っていた。何しろ、頭の中で曲が鳴っているのだから、これは意志とか趣味とか志向以前の問題だったのだ。
大体、フォルクローレというジャンルは、ここ数十年あまり変化がない。現地ではあるのだろうけれど、そのシーンが日本には伝わってこない。だから、今売っているベスト盤CDの曲名や演奏者を見ても、30年前のラインナップがそのままだったりする。
曲としては、「花祭り」「コンドルは飛んでいく」「素焼きの甕」「トゥクマンの月」「太陽の乙女たち」「灰色の瞳」、演奏者はクリスティーナとウーゴ、ケロ・パラシオス、ウニャ・ラモス、アントニオ・パントーハ、ロス・キジャ・ウアシ、アタウアルパ・ユパンキ...。
大体、西半球のほぼ半分を占めるあの広大な中南米の音楽を、アルゼンチンもボリビアもパラグアイもペルーもチリもエクアドルも、みんなひっくるめて「フォルクローレ」というのだから乱暴な話ではある。しかもその音楽は、純粋な伝統音楽というよりは、むしろ伝統音楽の流れの上に立つポピュラー・ミュージックなのだから、もっとさらに星の数ほどの曲があり、演奏者がいるのだろうと思う。
その中の、おそらくは無名の女性が歌って、たまたまベスト盤に加えてもらったAMAR AMANDなのだった。それを約30年、探していた。想っていた。
前置きが大変長くなりましたが......。
わたくし、とうとうそれを見つけたのであります。
Yahoo!オークションで目に止ったのは、こんなジャケットでした。
30年前の一時期に手元にあっただけなので、そのデザインには見覚えがなかったのだけど、なんだか胸騒ぎがしたものであります。まさか、この中に「アマール・アマンド」という文字が入っているのではないかと、わたくしは子牛のようにうるんだ瞳をして、ジャケットを見つめたわけです。
文字が小さくてわからなかった...。
でも、この村山実に似たハーモニカおじさんの顔には見覚えがありました(ウーゴ・ディアスという人です)、そして三人組の若者の右端、ギターを抱えた青年の、奄美出身の友だちに似た顔だちにも(ロス・ライカスというグループです)見覚えがありました。
おお、これは...。まさに、これは...。
で、本日、これが届きました。夢はかなうものであります。ただし、時間がかかるものもあります。三十年ぶりに、ひとつの小さな夢が、ぼくのターンテーブルでくるくると回っているのを見ると、なんだか抱きしめたいほどの愛おしさがあるわけです。歌っていたのは、ラウラ・イネスという女性でした。アルパ奏者でもあるそうです。
あの頃、ものすごくミステリアスで大人の女性に聞こえたラウラの歌でしたが、今聴いてみると、むしろ優しく、稚なささえ感じる声でした。とても近づけない、遠くにいた憧れの女性が、今、こちらがつつみこんでやれるような気すらします。時を経てふたたび出会ったひとつの歌。今夜、彼女と昔話でもしているような気持ちでオサケを飲んでおります。
コメント
JUNさん
村山実のような顔、ってのが良かった(^_^;)
別所の様な顔だったらもっと凄いが(^^;
昔好きだった唄、でも今ではぜんぜん流れてこない唄、
そういうのありますな。
JUSさん好きなモコ・ビーバー・オリーブの海の底で唄う歌
なんてのもその類で。おいら好きだった真冬の帰り道なんて
唄ももう30年も聞いたことがありません。
いつも酔っぱらっていて、フォルクローレに関係なくて申し訳
ないのですが、先日、高校の同窓会で、18歳のあの日以来
37年ぶりに逢ったM子さん、会った途端においら思わず
M子ちゃん、昔いっぱいHしたなあ(^_^;)と言ってしまった。
M子ちゃん曰く、あれ、三ちゃんとはHした記憶がないけど・・・
そっちは無くてもおいらにはあるのだよ。ちみを想像して
何回××××したと思っておるのだ(^^;。
で、おいらの天使M子ちゃんは厚化粧でひび割れた能面
みたいな顔をしておられたのでありました。・・・
下品ですいましぇんm(_ _)m 。
Posted by 三本岳 at 2008年6月28日 23:39
三本岳さん
高校の同窓会、去年行きましたけど、やっぱいろいろ感慨深いものはありますね。みんな元気そうなのが何よりでしたけど。
今日はターンテーブルの下に敷く4cm厚の石板が届きました。音が変わったかどうか、比較試聴をするにも23kgもあるので、一度敷いたら敷きっぱなし。たぶん良くなっているのでありましょう。
真冬の帰り道です。
http://jp.youtube.com/watch?v=YkOmATkVs7c
Posted by JUN at 2008年6月30日 00:22
JUNさん
いつも酔っぱらって変なこと書き込んですんません(ーー;)。
真冬の帰り道、どうもです。
聴きに行ったら、赤木圭一郎の霧笛が俺を呼んでいる
を見つけました(^_^;)。懐かし。
Posted by Anonymous at 2008年6月30日 00:56
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