十日えびす
毎年1月10日の夜は、宮崎市中村町の恵比須神社に出かけることになっている。30歳頃から自営業ということになっているので、十日戎は欠かせない。熊手もササも買った記憶はほとんどないけど、長女がほんの小さな頃から、寒い寒いといって出かけていく。
ここは、小さな小さな恵比須神社なので、祭りもごく小規模なものなのだが、歴史はそれなりにあるんじゃないかと思う。神前で柏手を打ち、富くじを引いて、20軒もない露店をぐるりとめぐると、それきりやることもないので、とっとと帰ってくる。
この頃は、子供もちょっと大きくなってきたので、おねだりにも落ち着きが出てきた感じなのだが、それでも「綿菓子買って」などといってきたりすると、「ほーかほーか」と、ちとうれしい。大体、求めるものは可能なかぎり買い与え、甘えてくればとことんまで甘やかす主義なので、かえって子供は早くから落ち着いたようなところがある。
甘やかすといっても、外食に出て子供が騒ぐと、まだ注文した品が届かないうちから、さっさと席を立って、お金だけ払って帰ってくるようなことを繰り返してきたので、そのへんは甘くない。食べものの多い少ないなんてことでモメたりすると、烈火の如くイカりもする。こういう親をもつと、子供もなんとなく呼吸が飲み込めてくるのだろう。案外、早くからわがままをいわなくなってしまったようなところがある。
大体、親などというものは、第一義的には子供に食べものを買い与えるために生きているようなものなので、子供が何か食べるものを買ってとねだってくるというのは、うれしいものなのだ。よそは知らないが、おれはそうなのだ。だから、祭りの露店というのは大好きなのだが、何しろ小さな祭りであるから、ぐるりとめぐっておしまいになる。
サラリーマンから自営業に転じると、世の中のいろいろが、まるで傷のかさぶたがとれたみたいに、じかにしみわたってくるものだ。小さな長女を抱いて、初めてここに来たときに、おれはどんな思いで神前に手を合わせたか。それから、何年も何年も、少しも変わらない暮らしの形の中で、おれはこの小さな神社に、どんな誓いを立てたか。
たくさんのおれのような者たちの夢や願いや怖れや痛みを、あの小さな神社は聞いてきた。霊験だの、御利益だの、図々しいことはいわない。とにかく今年も、ここに家族と来れた幸せを思う。
コメント
いきなり失礼致します。
十日えびすの今日、私は鹿児島に居て
宮崎の家族を想っています。
きっと私に良く似た末っ子が綿菓子をねだったのでしょうね。
情景が目に浮かびます。
小さかったという私も、とうとう今年で二十歳です。
時が過ぎるのは早いものですね。
偶然ブログを見つけたのでお邪魔致しました。
それでは失礼します。
Posted by 朋 at 2009年1月11日 02:59
朋佳、お前が二十歳になるということは、あのベルリンの壁がぶっ壊れて20年になるということだ。1989年11月9日という日が、どんな意味をもつ日だったか、おいおいわかってくるだろうが、まさにその日にお前が生まれてきたわけで、知る通りそれがお前の名の由来になっている。
Love together.であり、仲良きことは美しき哉、である。壁をぶっ壊して、人と人の手をつなげていく。
そんなことはいいが、子どもはもっと早く寝なさい。
Posted by JUN at 2009年1月11日 10:52
優しいお嬢さんに育ってくれて羨ましい。
ウチは幼稚園の時からステージを撮っています。
幼稚園では主役でしたが、今はコミックバンド(もろ関西の)でBa.。
http://jp.youtube.com/watch?v=asL2V8wHLwg
帰省した折、歩いていただけで秋葉原の駅前交番に連行されたようです。眉毛を剃られて(罰ゲームらしい)長髪ですから(^_^;
高1でモヒカンにした時は流石に叱りましたけどね。
Posted by 秋山 at 2009年1月11日 15:17
まいったな。ちょっとうるうるしてしまいました。
すでに飲んでるから。
うちの長女も今年受験で家を出て行くのです。
下に男が二人と末っ子に暮れに初潮を迎えた(^^;)犬が一匹。
釣りは老後のために温存しちょります。
Posted by しん at 2009年1月11日 18:12
私のブログでは絶対書けないような美しい情景ですが
私も今日神戸の柳原えびすへ行って来ました。
まあ、福玉焼きのことを考えたら明石の岩屋神社が近いし
いいのですが、どうも神戸に少し住んでた時からの習慣で
柳原えびすに子供が出来る前も出来てからも来ています。
同じく、露店の食べ歩きは大好きなのですが、ここ柳原えびすは
かなり大がかりな恵比寿さんで、神戸界隈の方がわんさと
押しかけ、露店の数たるや凄いものがあって、囲いを付けた
ちょっとした居酒屋みたいになってる露店もあります。
そんなところで嫁などは腰を据えて本格的に食おう!・・・
なんて言うのですが、私は腰を据えてまでは露店で飲み食い
するのは遠慮したい・・・・、そういういざこざでいつも恵比寿さん
では嫁とケンカしながら帰ってきます。(;^_^A
ま、そんなこんなでも、JUNさんとおなじように家族みんなで
来ることの幸せをかみしめながら、毎年行ってるのですけどね。
Posted by サルモサラー at 2009年1月11日 21:47
秋山さん
キョンシーズってバンドなんですね。うちも少しずつ楽器が増えてきて、この頃はオクサンが電子ドラムまで導入してしまいました。何にせよ、熱中してやるのはいいことで。
しんさん
宮崎と鹿児島で、地理的に近いせいかもしれませんが、子どもが出ていったといって特に何の感慨も湧きませなんだ。まあ、元気で、やりたいことをやっていればそれでいいので。ほとんど演劇中心の生活を送っているようです。
サルモサラーさん
十日えびすは、特に寒い時期だというのがいいのでしょうね。お正月のどたばたがすんで、ぼちぼち仕事しなくてはという頃に、一年を見通すいい機会になっています。この神社の露店は、「10軒以上はあるようだが、20軒は全然ない」という規模なので、腰をすえるほどの場所もありません。大きな祭りにも、たまには連れていかないとなあ。
Posted by JUN at 2009年1月12日 23:36
おはようございます。
自営業してます。
仕事の合間に
ちょこっとだけ、見させてもらいましたぁ~
また、今度ゆっくり拝見させていただきます!
自分にムチ打って営業に行ってこなくては・・・
失礼します。
Posted by SLOWLIFE at 2009年1月17日 11:22
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