2008年5月20日

内閣支持率

朝日の速報で福田内閣の支持率が19パーセントだという。大体20パーセントを割ってしまうと、解散なり総選挙なり、なんらかのアクションを求められるものらしいのだけど、森内閣(最低は9パーセント。日本国民は聡明だ)の時とちがうのは、内閣だけでなく自民党そのものの支持率が民主に肉薄されている、あるいはそろそろ逆転されている状況で、いわば身動きとれないわけである。

福田首相は見識もありバランスにすぐれ、内外ともに政治を熟知したいい首相だとぼくは思っているのだが、今、この内閣を支持するかといわれれば、なるほどちょっと考えてしまう。特に大きな失点は見当たらないのだが(一連のどたばたはむしろ民主が政局に首をつっこんでくるという、これまでになかった新たなスタンダードの始まりに伴う地震動であって首相の責を問う性質のものではない。大連立問題はのぞく)、何しろ手に負えないようなことが起こりすぎている。

何より国民のフトコロ具合が悪すぎる。ここまで窮迫して、一人の政治家を一人の政治家として公平に正しく評価するほど、日本のコクミンは寛容というわけではない。責任者出てこいと言われれば、出ていかなくてはならない立場に、今このタイミングでいるというのが運のつきだともいえる。

で、民主はどうかというと、こちらも自ら切り札としてあれだけ騒いだガソリン税・道路財源問題への対応を「評価する」とした人は31パーセントにとどまっており、いわばそっぽを向かれている。自民のガソリン税の一般財源化案(これも矛盾だらけでわけがわからないけど)を評価するとした人は41パーセントいるわけで、むしろ民主を上回っている。

本来なら、すぐにでも総選挙をやるべきなのだが、7月のサミットが終わるまではその話はなしだ。いわば、よそからお客さんが来るんだから、座敷を掃除してみなで静かにしていなくてはならない。

仮に今、総選挙をやれば民主躍進、自民惨敗といわれているけれど、どうかなと思う。実際のところ、コクミンは日本の政治のキャパシティとか問題解決能力の低さとか、政治システムのあり方に失望しているわけで、自民党や福田首相個人に失望しているというのではない。

たぶん、来週選挙をやれば、野球でいえば貧打戦のようなものになるのではないか。今のこの状態では投票率が60パーセントを切っても不思議ではなく、しかも両軍とも実際のところ決めてはないように見える。

あるいは、自民党がしのぎきる可能性も十分にあると思う。それは、次の総選挙が首相選択選挙であるためだ。つまり、小沢一郎と麻生太郎とどっちを選ぶのだ。さあ、どうなのだという話になってくると、残念ながら小沢さんに勝ち目はない。というか、自民党が勝ちを見込める戦略はそれしかないだろう。自民にとって幸いなのは、このところの民主の躍進で小沢さんが代表を辞める理由が見つからないことだ。

しかし、小沢さんは自分が麻生さんとサシで勝負する展開になってはいけないことは知っている。そこでどんな手を打ってくるのか、ここから先はぼくにはなんにもわからない。いっそ再編という話になるのだろうか。それにしても総選挙の後の話であるはずなのだが、この頃は何でもありのようだから、そういう寝技状態に持ち込んでしまえば麻生さんも立ち消えてしまうおそれもある。

アメリカ大統領予備選で、ヒラリー・クリントンやバラック・オバマの主張を読んだり経歴にふれたりするごとに、彼らの政治家としての資質の高さや奥行きの深さに感心している。あのレベルの政治家は、残念ながら日本にはいそうにない。

成熟した社会において政治とは、ほうっておくよりは幾分かましな方向に国を持っていくことだ。それ以上のことをめざせばろくなことにならないのだから、そのくらいでいい。クリントンやオバマと互していけそうな人物が見当たらないのは残念だけれど、またアメリカの予備選のような盛り上がりはまったくないけれど、次の総選挙は日本の首相選挙になる。せめて幾分かましな人が選ばれますことを。

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コメント

日本のような年功序列式のように選ばれる首相であれば(たまに例外はあるけども)、どのみち誰がなっても周りに”気が利く”首相にしかならないのだから大差は無いのではないかと思ってしまいます。という風に思ってたら昨日木村拓哉のドラマを見ました。初めてみましたが、(といってもまだ2回目らしいですが・・)木村拓哉が首相になって・・・という展開のドラマらしいですが、昨日はその首相に「ならされる」経緯をやってました。間つなぎ首相だから、今の時期はだれも首相になりたがらない、だから、新人議員の木村拓哉に首相をやらそう・・・ということらしく、実際はもう少し奥の深い筋書きがあるのでしょうが、経緯的にはそういうことで首相になっていくらしいです。

ま、例えばそういうこともありかな・・とおもってしまいました。ドラマの筋書きはお子ちゃまっぽいですが、いまの日本にはそういうことも必要なのでは・・と。

サルモサラーさん

福田さんも、どちらかというとそういう流れで首相になった人ですね。小泉さん以降、爆弾男でも首相になれるという前例ができてしまいましたので、小沢一郎さんのような政界の爆弾が(あのくらい政党を壊した人も古来稀で)首相になるのも、なんだか嘘のような話ではありますけど現実の話として語られるようになってきました。

暫定税率が30年も続くような、放っておいてはいけないものを放っておいてしまったツケが、今出てきているわけですけど、経済さえ成長していればそういうものも押し包んでしまうのですから、やっぱり政治はモラルだけではどうにもならんのだなという気もしています。もはや、破壊に耐えられるほどの強度も、日本には残っていないようですので、新風はほしいけど無茶はしてほしくないというのが、今の空気かなと。

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